色褪せない至極の名作!全てのホラーはこれ以前以降に分かれる「悪魔のいけにえ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(460日目)
「悪魔のいけにえ」(1974)
トビー・フーパー監督
◆あらすじ
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1973年、テキサス。夏休みになり、ワゴン車でドライブ旅行に出かけた若者5人は、途中でヒッチハイカーの男を乗せる。その男は自らをナイフで傷つける等の異常な言動を繰り返し、身の危険を感じた一行は男を車から降ろす。やがて、彼らは1軒の洋館に立ち寄り、そこで想像を絶する恐怖に襲われる。(公式より引用)
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•凶器として電動工具(チェーンソー)を使用
•犯人が大男、顔が分からない
•若者たちが次々と殺害される
等など、当時としては斬新な要素を多く取り入れた
スラッシャーホラーのパイオニアと言っても過言ではない名作です。70年代後半以降のホラー映画はジャンル問わず、ほぼこの作品の影響を受けているのではないでしょうか。
と言いつつも実は
“チェーンソーで惨殺”、“吹っ飛ぶ生首”、“眼球えぐり出し”等の直接的なグロ描写は一切なく、せいぜい序盤でヒッチハイカーがフランクリンの手を切りつけるシーンくらいのものです。血飛沫が上がるのもワンシーンくらいです。(カークがレザーフェイスにハンマーで撲殺される際の痙攣する様子などは強烈なインパクトを残していますし、拷問シーンもかなりエグいです。)
『その直前までを描いて後は視聴者に想像させる』
という手法でとてつもなく恐ろしい印象を植え付けられます。
製作費4000万円で全国で60億円以上(2006年時点)を記録したこの作品でフーパー監督は全米進出しました。
1969年に発表したデビュー作「Eggshells」が興行的に芳しくなかったフーパー監督は低予算でもやりようがあるホラー映画に目をつけました。
映画学校の生徒たちをスタッフにする、無名役者を起用、機材のレンタル費を抑えるために一ヶ月近くほぼ休み無しで撮影、肌に接着剤を直接塗って特殊メイク、小道具で本物の刃物を使用して怪我人続出、炎天下の撮影にも関わらず洗濯をしなかったため衣装からは悪臭、料理は腐敗臭を放つ、カットの度に嘔吐するスタッフ、予定や段取りが毎日のように変更される、劣悪過ぎる環境に逃げ出すスタッフetc…
この作品を調べると低予算あるあるやヤバいエピソードが山のようにでてきます。
その中でもヒロイン•サリー役のマリリン・バーンズは特に酷い目に遭っており、箒でボコボコにされたり雑巾を口に突っ込まれたりと散々で、どれだけ叫ぼうが一向にカットがかからないことに気が狂いそうだったと証言しています。
車の荷台に乗って逃げる際の気が触れたかのような笑い方には心が抉られました。心に傷を負っていなければいいのですが…
これらの苦難を乗り越えてこの傑作が生まれたわけですが、昨今の風潮を鑑みると決して手放しで賞賛はできないです。
もちろん名作であることに変わりはありませんが。
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渋谷裕輝 公式HP↓