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ゾンビに噛まれて若返り!?欲にまみれたダメダメ家族のゾンビビジネス大儲け物語「感染家族」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(731日目)
「感染家族」(2018)
イ•ミンジェ監督
◆あらすじ
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田舎の寂れたガソリンスタンドで、定職もなく、その日暮らしを送っているパク一家。そんな彼らの前にある日、ゾンビが現れる。そして、そのゾンビに噛まれた父親マンドクが若返ったのを見た一家は、そのゾンビを利用して金儲けに乗り出す。若返りを求めてやってくる人々は日に日に増え、稼いだお金でガソリンスタンドを再建することにも成功した一家だったが、ゾンビに噛まれて若返りを果たした人々に思わぬ副作用が表れはじめ……。(映画.comより引用)
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『田舎の廃れたガソリンスタンドで暮らす主人公一家はひょんなことからゾンビの青年を匿うことに。彼に噛まれることで若返ることを知った一家は村人相手に大儲けするも、副作用により大勢のゾンビが誕生してしまう!』という韓国発のゾンビコメディ映画です。
“ゾンビに噛まれることで若返る”というオリジナル要素が上手くハマっており、それを軸に組み立てたおバカな脚本がよく出来てます。笑いどころもしっかりありつつ、ゾンビパンデミックも迫力満点に描いており非常に良い作品でした。
個人的にはBGMが尽くハマらず、この手のホラーコメディにしては尺が110分と少々長いというところだけ気になりましたが、逆に言えばそれ以外にほとんどマイナスになるような要素がありませんでした。これがテンポよく90分に収まっていたら私はベタ褒めしていたと思います。
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いくつか回収されていない要素をうやむやにしたまま終わらせており、道理が通っていないなとも思いましたが、基本的にはコメディなのでパワープレイで押し切っています。こういう時にコメディは有利ですよね。
あと、主にコミカルなシーン(スローモーションになったり、セリフが具現化して口から飛び出す等)の演出が少々クセつよで、ここは好き嫌いが分かれるかもしれません。私はあまり気にならなかったんですけど、最初の10〜20分を見て「なんかハマんねぇな」と思った方は最後までハマらないかもしれません。グロ描写もほぼないですし、くだらなさと胸熱のバランスが良いのでホラー映画が苦手な方にもオススメできます。
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あと、物語の鍵となる青年ゾンビのチョンビと主人公一家の末娘•へゴルによるゾンビと人間の叶わぬ恋の行方という一見“絶対いらないだろ!”と思う要素を違和感なくストーリーに絡めていき、なんなら中盤以降はこの二人がメインとなっていくのがめちゃくちゃ面白いです。
チョンビ役のチョン・ガラム氏は王道の韓流イケメンですし、へゴル役のイ・スギョン氏もおさげが似合う可愛らしい方なので映像映えもしますしキャラも非常に良いので、この2人を凄い応援しちゃいます。
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今作の監督•脚本を務めたイ•ミンジェ氏はチャン・グンソク主演のラブコメ映画「待ちくたびれて」(’08)など数多くの作品に編集として携わる凄腕の映画マンで、今作が映画監督•脚本デビュー作となります。構想はおよそ10年に及んだそうで、同氏は「このシナリオが映画になると聞いた時は信じられなかった。俳優陣の演技によって完成していく過程を見られて感激した」等と語っており、その謙虚で優しいお人柄が伺えます。
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これ以降、監督としては活動していないようですが、個人的には今作が好みだったのでまた他の作品も見てみたいなと思います。ちなみに共同脚本としてクレジットされているチョ•ソイン氏はミンジェ監督の奥様です。
現在アマゾンプライムとhuluにて配信中です。
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◇製薬会社の大手であるHIB社の薬を服用した患者が仮死状態に陥るなど、重大な副作用が報告された。同社は高額な報酬を餌に学生やホームレスなどに違法な臨床試験を行っており、さらにはデータの改ざんなど様々な悪事が明るみにでてしまった。そんな折、同社の研究所から様子のおかしい青年が脱走し、当てもなく彷徨っていた。
所変わって、とある田舎の村で廃れたガソリンスタンドを営むパク一家は夜な夜な事故を誘発し、その相手の車の修理を請け負い、代金をぼったくることでほそぼそとその日暮らしを続けていた。そんな彼らの住む村にあの様子がおかしい青年がフラフラとやってくる。パク一家の父親は突然襲いかかってきた彼に噛まれて頭部を負傷。ガソリンスタンドの物置に彼を閉じ込めてしまう。父親はその日から高熱にうなされるも、翌日には元気になるどころか、なんと若返ってしまう!“彼に噛まれたら若返る”と睨んだパク一家は村人相手に若返りビジネスを始めて大儲け。父親は意気揚々とハワイ旅行に行ってしまう。しかし数日後、噛まれた村人は次々とゾンビ化し、周囲の人間を襲い始め、さらには続々とパク一家のガソリンスタンドに押し寄せるのだった。
というのが今作の大まかなあらすじです。
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全編通して「この事象を描くならその前にこういうシーンが無いと駄目だな」というのを熟知しているように感じました。やはり編集出身の監督だけあり、展開や構成が非常に巧みでした。ただ、冒頭でも触れましたがBGMがコメディ過ぎて、ちょっとクドかったです。十分に面白いのでもう少し控え目でもいいように感じました。
中盤以降のゾンビパンデミックも相当見応えがありますし、パク一家のやること為すこと全てが裏目に出てしまい、ガソリンスタンドに爆音がガンガン流れ、ライトもギラギラについてしまったり、挙句の果てには大量の花火が打ち上げてしまったりと、不注意によってどんどんゾンビが押し寄せてくる展開はゾンビコメディらしくて非常に面白かったです。
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チョンビ以外の男性キャラはだいたいクズでだらしないんですけど、その中にどこか憎めない愛らしさや人間味があってとても魅力的でした。ただ長男のジュンゴルがあまり主人公としては機能しておらず、中盤以降は末娘のへゴルと青年ゾンビのチョンビが物語を引っ張っていくため、最初からへゴルを主人公にして描いた方がスッキリするように思いました。
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コメディなのでパワープレイで押し切っているものの、いくつか気になるところもありました。
だいたいがチョンビ周りのことなんですけど、なぜナムジュ(長男ジュンゴルの妻)はチョンビの歯を全部抜いてしまったのでしょうか。まだ若返りの効果を発見する前だし、噛まれたら危ないから全部抜くというのも分からなくはないんですけど、せめてその件でへゴルが激怒した時に「だって危ないじゃない!」くらいのセリフは欲しかったです。ただ目を逸らすだけで自分が犯人と名乗り出ることもなく、些か中途半端に感じました。
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この後、歯が無いと噛めないからと村一番のジジイの入れ歯をチョンビに装着することで、『チョンビが次から次へと村の爺さんたちを噛む』というパク一家による若返りビジネスが始まります。
たぶんなんですけど、入れ歯にしたほうが面白くなるという部分を先に考えて、「じゃあチョンビの歯を全部抜く展開にしなきゃ」みたいに逆算で考えたんじゃないでしょうか。
でも、入れ歯による笑いもそんなに無いし、それ以降“チョンビの入れ歯設定”がストーリーに活かされることも無かったので、個人的にはこの入れ歯のくだりごと無くても別に良かった気がします。
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そもそも『ゾンビに噛まれたら感染する』という王道設定は入れ歯でも成り立つのか些か疑問でした。噛んだ傷口からゾンビウィルスを含んだ唾液なりが入り込むことで感染するわけですから、入れ歯でも成立するんでしょうけどなんか腑に落ちなかったです。あと“キャベツしか食べない”という設定もそこまで活きてないように思いました。
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そもそもチョンビはHIB社の治験によってゾンビ化し、たまたま脱走してパク一家の元へやってきましたが、チョンビとそれ以外のゾンビで明らかに知能や動きに差があり過ぎるのが気になってしまいました。チョンビはかなり理性が残っているようで、喋れないまでもへゴルのことを認識していたり、彼女に好意を持っているようにも見えます。
へゴルを助けるためにガソリンスタンドまで自力で戻ってきたり、クライマックスでは自分を犠牲にしてパク一家を逃がしたり、ライターでガソリンに火をつけて自分もろともゾンビを爆発に巻き込んだりと明らかに賢こ過ぎます。
『治験による副作用でゾンビ化した人(チョンビ)はある程度知能が残るけど、その人たちに噛まれることで感染した人(チョンビ以外)はいわゆる普通のゾンビになる』
みたいな明確な説明が無いので少し引っかかりました。コメディなので全然良いんですけど、流石に都合が良すぎるように思いました。
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◇ハワイから戻ってきた父親はなぜか感染しておらず、なんと抗体を持っていることが明らかになる。事態が収束していく中、“父親が感染者を噛んで人間に戻す”という新ビジネスで再び大儲けするパク一家。その中には人間に戻り娘婿となったチョンビの姿もあった。
というハッピーエンドも素晴らしいですが、それ以上に“ゾンビに噛まれて若返る”から最後は“人間に噛まれてゾンビが人間に戻る”という風に、最初と最後でひっくり返っているのがすごく上手いなと思いました。
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これは誰が見ても楽しめる良作だと思います。クセはちょっとありますが、慣れるとそんなに気にならないのでもしよかったら見てみてください。オススメです!
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