バキバキ気狂いおじさん、電動ドリル片手にリア充ぶっ殺し祭り開催!「スランバー•パーティー大虐殺」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(640日目)
「スランバー•パーティー大虐殺」(1982)
エイミー•ホールデン•ジョーンズ監督
◆あらすじ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
両親が留守になる週末、高校3年生のトリッシュはバスケットボール部のチームメイトを自宅に招き、男以外は何でもアリのパジャマ女子会を開くことにする。時を同じくして、学校の周辺に怪しい影がチラつく……精神病院を脱走した殺人鬼のラス・ソーンであった。血に飢えたラスは肌も露わにはしゃぐ女の子たちの匂いを嗅ぎつけ、トリッシュの家へと向かう。女子会に侵入したい男子高生たち、仲間になりたい転校生のヴァレリーとその妹が入り乱れ、波乱含みの週末が幕を開ける。狂った電動ドリルの餌食になるのは誰だ!?(ttcg.jpより引用)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『精神病院から脱走した殺人鬼がパジャマパーティーを楽しむ若者たちを血祭りにあげる』
という、シンプルにも程がある80年代ど真ん中のスラッシャーホラーで、ノンクレジットではありますが製作はあの“B級映画の帝王”ロジャー・コーマン氏です。
•若い男女がターゲット
•着替えシーンやシャワーシーンなどエロ描写がたっぷり
•来ると思ったら来ない、来ないと思ったら来る
•犯人の個性的な凶器
•一人また一人と殺されていく
•全然助けが来ない
といった王道の要素や展開をこれでもかと押さえており、以前この企画で視聴した「バーニング」(’81)と同じく、いわゆる「13日の金曜日」インスパイア作品に分類されると思います。
75分とかなりコンパクトにまとまっているので気軽に見られますし、古き良き80年代の映像や緊張感を煽るBGMが個人的には相当ハマりました。ちなみにタイトルにもあるスランバー(slumber:まどろみ)パーティーとはパジャマパーティーのことで、いわゆる友達同士で集まっての楽しいお泊り会のことだそうです。
また、この手の作品の見所の一つとして、『どんな凶器で襲いかかるのか』というところが楽しみになってくると思います。
例えば「13日の金曜日」のジェイソンなら
ナタや斧などのシンプル凶器を使いつつ、その怪力をフルに活かして若者たちを襲います。
「バーニング」のクロプシーなら
植木バサミです。これもこれで中々にあれですが、ゾンビ映画の巨匠ジョージ•A•ロメロの右腕トム・サヴィーニ氏による特殊メイクのお陰もあって、切断されて吹き飛ぶ指や腹部にズブリと刺さる描写が生々しく、非常に恐ろしかったです。
そして!
今作の殺人鬼であるラス•ソーンは
そうです。電動ドリルです。
絶対に使いづらいと思います。まどろっこしいことこの上ないです。その武器を使う明確な理由やアイデンティティなどはそこにはなく、『絵的に映えるし、他の作品でやってなさそうだから電動ドリルにしようぜ』とその場のノリで決めたのは歴然で清々しさすら覚えます。ちなみに中盤でナイフも使ってます。
ちなみに今作の続編として「チアリーダー・マサカー ~戦慄の山小屋~」(’03)、「チアリーダー・マサカー ~裂かれたユニホーム~」(’11)という作品が存在しますが、話の繋がりや関連性は薄いそうです。戦慄の山小屋の方はロジャー・コーマン氏が再び製作を務めています。
日本では長年劇場公開スルーされておりましたが、未体験ゾーンの映画たち2023としてヒューマントラストシネマ渋谷などで上映されました。アマゾンプライムでは最近視聴可能になりましたが、日本での劇場公開が2023年だからなのか
2023年の作品ということになっておりますが、正しくは1982年の作品です。ということで現在アマゾンプライム、U-NEXTにて配信中です。
若者側の登場人物は、自宅をお泊り会の会場として提供するトリッシュや彼女のバスケ部の友人たち、女子会にどうしても混ぜてほしいスケベな男子2人、引っ越してきたばかりでまだ馴染めていないヴァレリーとおませな妹などで構成されています。失礼な言い方になってしまいますが、トリッシュやヴァレリー以外はほとんど殺され要員なので名前や顔を覚えておかなくても内容の理解度にほとんど差はありません。
クライマックスでラスは暖炉の火かき棒でボコボコにされた後、トリッシュにナイフで腹部を刺されて致命傷を負います。しかし、この手の作品の殺人鬼は異常なまでにタフなのでラスはそれでも立ち上がり、トリッシュに対して「愛してるよ。あふれる愛を受け取っておくれ」、「殺されたら満足だろ」など支離滅裂な言葉を投げ掛けます。
その後は大ナタを持って駆けつけたヴァレリーと壮絶なバトルを繰り広げ、最後はその大ナタに貫かれてようやく死亡します。
75分ほどの作品ですが、露骨なまでにエロいシーンが多く、内容云々よりも『本編の尺に対してエロいシーンの比率多過ぎないか?』という印象を持たれる可能性も大いにあると思います。
この頃のホラー映画にはエロの供給という側面もあったことでしょうし、仕方が無いとは思います。ですが、シャワーシーンではバストやヒップにゆっくりとアップしていったり、突拍子もなくいきなり大勢で着替え始めたりと『なんとかエロをねじ込もう精神』が凄まじかったです。
犯人であるラス•ソーンは中々に硬派な描かれて方をしており、
デニムに原色赤Tシャツという組み合わせが如何にもな感じで良かったですが、ジェイソンほどのインパクトは無く、絶対に人気がでなさそうなのが残念です。
過去には5人を殺害した罪で逮捕。精神に異常があることから精神病院に収容されるも脱走。ターゲットの女性が一人になったところを狙って犯行を繰り返し、トリッシュたちが両親の不在中にパジャマパーティーをすることを聞きつけて、トリッシュやその友人たちを一人また一人と電動ドリルであの世行きにするというホラー映画の典型的な殺人鬼です。
精神に異常があるからなのか終盤のワンシーン以外は一言も喋りません。彼がどんな人生を歩んで来たのかなどのバックボーンも一切描かれていないため、なぜ凶行に及ぶのか、なぜ凶器が電動ドリルなのか等も明らかにはされません。なもんでシンプルに精神に異常があるヤバいおじさんとして襲いかかってくるので相当怖いです。
電動ドリルを用いた殺戮シーンは直接的な描写こそないものの、脳天を貫かれたり、両目をくり抜かれたり、どうやったのかは分かりませんが首を切断したりと、意外にもレパートリーが豊富で、このあたりもかなり好感が持てました。
80年代のスラッシャーホラーをさくっと見たいなという人にはもってこいの作品だと思います。ちょいちょい笑えるところもあって個人的には結構楽しめました。
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?