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搭乗ゲートに辿り着くためのチケットは

就活体験記第四章:民間就活最終章、開幕。

ガチャピンのYouTubeやら友達やらハローワークの力で、何とか前向きになれた私は惰性ではあるが、面接に向き合う気力を取り戻すことができた。

その中でやっぱり、二次面接は落とされ、一次面接は通った。

面接を毎日こなしていく中で気付いたことがある。

「なんか毎日バイト経験の話してる気がする。」

バイトでは個別塾の先生をしている。無意識にガクチカや自己PRでその話をする傾向にある気がした。
今思うと、それ以外の「志望動機」や「御社でやりたいこと」は事前に言いたい要点をまとめて「思いが面接官に伝わること」を目標にガチガチに話していた気がする。感情を出さないのではなくて、おそらく出せていなかった。
その言葉に私でなければいけない理由が足りなかったんだろう。
同じ言葉を他の子が言っても同じ説得力だったかもしれない。

ただバイトのエピソードのことは感情を出してスラスラと話せるし、改善点や今後の思いもパッと出てくるのだ。
困ったときには必殺技、バイトエピソードだ。

「教育業界、受ければいいじゃないですか。」

人材業界の人事の方…?金融?忘れてしまったが面接官に言葉をいただき、返答に詰まってしまった。

バイト先が塾なのにも関わらず、教育心理学を専攻しているのにも関わらず、教育業界はノールックだった。
理由は、バイト先の社員を見ていて、男性が多く体育会系の職場であり、非常に忙しそうだと感じたから。

実際その立場に立たないと分からないこともあるだろうし、企業にもよるだろう、と今なら思うが。
当時は今まで携わったことがない他の業界に興味があったのだ。

どこまで自身の思いで話せるのだろう、と興味本位で地元の教育系の選考に参加してみた。

最終面接。面接会場は高校三年間毎日通い続けた塾だった。
制服姿の後輩がたくさんいた。リクルートスーツは目立った。

4年前、正月もお盆も、制服を着て勉強に向き合っていた場所でリクルートスーツを着て社長と向き合っていた。

縁ってこういうことね、人生って面白いなと思った。

オンラインではない、対面面接は初めてだったため心臓はバクバク。
夢にまで出てくるほど企業のHPを見て研究したため社長を目の前にして「HPで見た方だ!実在するんだ…」
と意味の分からない感想を抱いてしまった。オーラに圧倒されそうだった。

就活バッグに押し込んできた応援しているアイドルグループの公式写真。笑顔でピースをしている推しに背中を押された気がして、ありったけの想いを本心で話すことができた。
この想いを言葉にできて話せるのは私だけなんだ、って。笑顔で。
気分はソロLIVEのMCさながらである。アイドルってすごい。

この塾に通ってて懐かしいという話から今までの生徒にかけてきた想いとか、やりがいをこれからも感じたい話とか、したいことを伝えさせていただいて、業界全体の弱点と改善点について社長とも意見を交わした。

嘘は一切、つかなかった。
選考状況も全て事実、想いも本音100%でお伝えした。
公務員の挫折も教育業界を見ていなかったことも全て伝えた。

正直、結果を受け取ることが怖かった。
自信なんて、手応え、どころか緊張で記憶も無かった。
時間もすごくオーバーしてしまったし。最後のお礼の位置を間違えてしまったし、履歴書も書き間違えた。訂正したが、ボロボロだった。
期待をせず、何社かそのあともエントリーし、ハローワークの方にも「たぶんダメです。」と伝えた。

そんなさなか「内定」がメールで知らされた。あっさりきた。
電話でくるかな、と思っていたためメールで来た時点でダメかな、と思っていたが連絡間違えではなさそうだ。

よかった。私でも社会人になれるんだ。よかった。

そのあとの人事の方との面談で「普段なかなかゴーサインを出さない社長がShibaさんを採用したいとゴーサインを出したんです」と言われて耳を疑った。本当だろうか。本当だったらすごく光栄だ。
なにより「想いを100%本音でお話されていたのが伝わったため採用しました」というお言葉をいただいたことが嬉しかった。

すごくそれは自信になった。この道で間違ってなかったと思えた。
きっと年収が高くて社会の中でも「すごいね」といわれる企業に内定を頂いたとしても想いが本音でなければ、いつか限界が来てしまう気がするのだ。

私なりの搭乗ゲートにたどり着けたんだな。長かったなぁ。
社会人の旅が始まるのは来年の4月から。それまでは卒論をしっかり仕上げて学校を卒業してせっかく手にした搭乗券を紙屑にしないようにしよう。

長い間お疲れ様でした。

【あとがき】

就活は本当に大変で、もう二度とやりたくない。
人事の方は、毎年この緊張感が付きまとうイベントに携わっているということに尊敬する。全社会人を心から尊敬する。

社会に出るための関門だったと今なら思う。
たくさんの業界で活躍している方とお話して「御社に入りたいんです」と自分をアピールする機会なんて人生にそんなない。つらいことのほうが多いけど、広すぎる社会のことを身をもって知るには一番効率がいい手段なのかもしれない。
この経験が無ければ、私はきっと思い出の場所ではたらくことにはならなかっただろうし、もっと消費的に生きていただろう。
そして何よりNoteを始めていなかったと思う。就活は自分の想いや言葉にも価値があるのかな、と思えたきっかけになった。

おわり




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