#29 【ゲスト回】ただの観光リゾート地ではない。深い歴史と精神が創り上げたハワイのしあわせ〜ハワイ在住:樋口拓也さん
日本人に人気の観光旅行先であるハワイ。美しい自然の中で、ゆったりと波の音に癒され、各々の時間を楽しむ人々が思い浮かびます。ハワイ独特のしあわせそうな雰囲気がありますが、そこにはどんな要因があるのでしょうか。今回はハワイ在住の樋口拓也さんをゲストにお迎えして、「ハワイのしあわせ」について対話しました。
導入部分はメンバー2人とゲストによるトークでお届けします。再生ボタンを押してぜひ放送をお聴きください✨
日本とハワイの関係
アジアで一番、ハワイ好きな日本人!
ハワイは、日本人にとって本当に人気な観光地ですよね!最近同年代の友人はハワイで結婚式を挙げている人も沢山います。旅行や挙式、短期留学など多岐に渡る渡航者がいますね。
そうですね。やはりイメージにもあるように、ハワイを訪れる渡航者は他国と比べ日本からが多いようです。観光客のみならず、日本とハワイは深い関わりがあります。歴史を遡ると、明治元年に初めて日本から移民が入国し、米国への日本人移民が禁止されるまで20万人もの日本人がハワイに移住したというデータもあります。
僕が出張でよく行っていたときも、日本で有名なうどんチェーン店をはじめ、日本食がとても多くて驚きました。他にも、ハワイで暮らしていて日本らしさを感じることはありますか?
沢山あります。例えばアロハシャツは、もともと着物を参考に作られていますし、昔ながらの盆踊りもハワイではよく知られていますよ。
へ〜、ハワイで盆踊り、おもしろい組み合わせですね!日本文化や伝統がハワイにも流れているんですね。ハワイに住む人々に関してはどうですか?彼らから日本らしさは感じますか?
そうですね。コミュニケーションの取り方がなんとなく日本らしさと似ている気がします。特に日系人コミュニティでは、欧米の人のように直球に物事を言わず、遠回しに相手を配慮しながら言うような印象がありますね。
先住民と日本人。それぞれのルーツ
へ〜!場所が変わっても、日本人らしさが残る点もあるんですね。
拓也さんはハワイでお仕事をされていますが、周りは日本人が多いんですか?ハワイの先住民の方々もいらっしゃいますか?
そうですね。もちろん業界によりますが、僕の周りでは大体20%くらいは日系人だと名乗っていたはずです。ハワイの先住民への取り組みも多くされていますが、先住民やハワイ語を話す人たちが減ってきていると感じます。
そうなんですね。色んな方がいるとは思いますが、ハワイではそういった民族的ルーツを聞くことはタブーではないんですか?僕がいるオランダではあまりそういった話はしません。「どんなルーツを持っていたって関係ない」という考えの傾向が強く、どんなルーツの人でも「オランダで生まれたらオランダ人」というような雰囲気があります。
おもしろいですね。ハワイは自身のルーツをオープンに言う人が多い気がします。デンマークは国際色が薄いイメージがありますが、その点はどうでしたか?
そうですね。確かに移民の受け入れが比較的消極的ですし、アジア人は本当に少ない印象を受けます。私は気にせずオープンに話していましたし、そのことで居心地の悪さを感じることはありませんでしたが、国際色が薄い面から見れば、受け入れられる人と、受け入れ難い人も実はまだまだいるんじゃないかなと思います。
そこに住む人々
ホームレス、暮らし方の違い
ハワイと北欧は、気候は真逆ですが「しあわせそうなイメージ」がある点では共通していると感じます。ただ、私が一つ気になっていたことが福祉の面です。ハワイはホームレスが多いと聞きますが、実際はどうですか?
ホームレス、多いですね。僕が住んでいるエリアにもたくさんのホームレスの方がいます。最近ではホームレスではなく、ハウスレスというのが正しいとされているようですが。
確かに、ホームレスの方々にとって、屋根や窓がある家というハウスはなくても、ホームと言う居場所はある場合もありますもんね。デンマークではホームレスの方々はほとんど街で見かけませんでした。国民が家を失う前にしっかり救えるよう、税金が多く充てられるんだと思います。
すごいことですね。けれどさっき言ったように、ハウスレスなだけで、ホームレスという形の自由さを選んでいる人もいるかもしれませんよね。デンマークで、ホームレスでいることが心地いい人たちはどうするんですかね?
僕もデンマークについての記事を読んだことがありますが、首都のコペンハーゲンにクリスチャニアという独特なエリアがあるんですよね。もともとヒッピーと言われる人たちが自由に生きるために作ったエリアだと聞きました。暮らし方や生き方に違いはあれど、「そういうのもいいんじゃない?」といういい緩さも兼ね備えていることはいいことだと思います。
そうですね。コペンハーゲンのど真ん中ですが、デンマーク政府から独立した自治区であり、そのエリアではドラッグも黙認されているんです。もちろん色々問題が起こることも無視はできませんが、このエリアが浮いてるわけでもなく、むしろ少し観光地化して賑わっていました。一見違和感に思えるようなエリアが、しれっと共存していましたね。
ハワイがホームレスの人たちが多いのはなぜなんでしょうか?
やはり、天気の面は大きいと思います。本土では寒くて耐えられないと思いますが、ハワイは年中温かいので。
今いる場所が好き
なるほど。本土とハワイ間の往来もありそうですね。
そういえば、僕が昔好きだった漫画「いつかのメイン」を思い出しました。浅草生まれでハワイ留学した主人公が、「次はいつの日かメインランドであるアメリカ本土に行って一旗上げてやるんだ」というストーリーなんですが、ハワイに住んでいる人たちはそういった考えの風潮はありますか?
どうでしょう、本土に行くことが成功と考える傾向は少ないと思います。ハワイではハワイなりの成功の価値観がある気がしますね。本土でも基本的にアメリカ人は「自分のいる州が一番だ」と考える人が多いように感じますし、みんなそれぞれ自分のいる場所への愛が強いように感じます。
へ〜、すごくいいですね。日本では多くのモノやヒトが東京に集中しているがゆえに、色んな分野において「東京がいい」状態になっていますよね。地元に居たいけれど、やりたいことのために好きな場所を離れなくてはいけないということが起こっていると思います。私も地元愛は強い方ですが、その土地を愛するってしあわせなことだなと感じます。
そうですね。一極集中型に関しては、どちらかと言うと僕は反対派です。一つの場所に集まりすぎてしまうと、人の価値観までも一本化してしまうと思います。「東京の、この大学に行くこととが成功」とされているような共通認識って、「それ以外の道は失敗だ」という考えに陥ってしまいそうで、とても恐ろしいです。
ハワイアンスピリット
なるほど。アメリカは特にそういった傾向は少なく、特にハワイの人はハワイ愛が強いと感じます。何よりハワイアンスピリットを日頃からみんなが大事にしているように感じます。
さっき、「ハワイアンスピリットが法律で決められている」って言ってましたよね。びっくりしました。どんな内容なんですか?
ハワイのあいさつは「アロハ(ALOHA)」ですよね。それはハワイアンスピリットの頭文字になっているんです。
へ〜!知らなかったです。どれもとても素敵ですが、「ahonui 忍耐強さ」は少し意外です。ハワイのおっとりした雰囲気からは忍耐さのイメージはあまりないですね。
それはきっと島国ならではの発想ではないでしょうか。日本も島国なので理解しやすい部分があると思いますが、やはり自然災害の影響を受けやすいですよね。そういった、自分ではどうしようもできない状況下で強く生きていくための忍耐力なんじゃないですかね。
あ〜、なるほど。忍耐力というと勝手に人間関係や職場での忍耐や我慢を想像してしまっていました。実際に、現地の方がこのハワイアンスピリットを大切にしていると感じることはありますか?
そうですね。「A akahai 思いやり」の部分で言うと何か作物を育てる時もとても愛情を注いだり、「L lōkahi 調和、ハーモニー」 では、何か問題が起きた時に対話をして解決するのが伝統的手法らしいです。「調和」に加えて、「ホ・オポノポノ」というハワイ古来の精神概念からきている考えのようです。
日本でもスピリチュアルキーワードとして流行っていますね。現実的な問題に直面したとき、あるいは不安や恐れや捗りや悲しみなどのネガテイブな感情が生じたときに、「ごめんなさい。許してください 。愛しています。ありがとう。」を、自分の心の中で繰り返し唱える手法ですよね。
そうなんです。対人と問題が起こったときなどに、ホ・オポノポノの精神で、お互いを許しあうことが問題解決につながると考えられています。
なるほど。デンマークでも対話は大切と考えられていますが、ハワイの対話というのは、人と人との対話というより、まずは自分自身と対話することを大切にしているのではないでしょうか。
ゲストにとってのしあわせ
まずは自分のわくわく、そして周りも
せっかくのゲスト回なので、「拓也さんにとってのしあわせ」をぜひ聞いてみたいです。言語化するのは難しいとは思いますが、ふとしあわせだと思う瞬間や出来事ってどんなことがありますか?
ん〜、色々ありますね。「自分がやりたいことができていて、他の誰かを喜ばせている状態」というのは、僕にとってとても大事な要素かもしれません。ただただハッピーな状態だけというのは、それはそれでしあわせなのか?と思います。色んなことを乗り越えながら、自分自身と周りにとって、よりよい状態を目指していたいなと感じます。
だから色んな挑戦をされているんですね。立教大学で、TEDx の初期メンバーをされていた時も大変だったとは思いますが、やはりしあわせという部分も大きかったですか?
そうでしたね。一緒に頑張った仲間とは、また何かしたいねと話しています。社会人になって上司から言われたことだけをやっている場合、自分の思考が止まってしまう気がして、僕はそれが違和感に感じるんですよね。人間が人間らしくあるための一つのして、思考を続けてワクワクしていたいです。
いいですね。僕もワクワク感ってすごく大事だと思います。思考のワクワクとは違いますが、例えば、旅の準備をしている瞬間など何かが始まる前って僕はすごくしあわせな気分になります。我々のしあわせ探求庁もゼロから創り上げている真っ最中ですが、ワクワクと共に頑張っていきたいです。
点と点はきっと繋がっていく
思考し続けていたいとのことですが、今後何か新しくしていきたいことや進む道を考えていらっしゃるんですか?
そうですね〜、方向性はなんとなく考えています。ただどちらかといえば、今、目の前の事にワクワクしていたいですね。大学の時に出会ったスティーブ・ジョブズのスピーチがとても心に残っていて、大きく分けて三つのテーマを話されていたんですが、一つ目の「点と点をつなげる」という話に感激しました。
僕もその考え方とても好きです。「点と点をつなげる」は、しあわせ探求庁のロゴに込めた想いでもあります。キャリアでいうところのアンカー型は、将来をあらかじめ見据えてそれに沿って生きていくため、失敗は許されない風潮になってしまうんですよね。逆にスティーブ・ジョブズが言ったことに似ているプラントハップンスタンス型の方は、偶然起こる出来事に向き合いながら生きていくので、僕はこっちの方がしあわせを感じやすいんじゃないかなと思います。
そうですね。人生で起こる出来事のうち8割は偶然といわれている中で、日々偶発的に起こることを楽しみながら、それがいつかつながると信じて生きていたいなと思います。今日、こうしてしあわせ探求庁で対話をする機会ができたのも、沢山の偶然の積み重ねがあったからだと思います。
そうですね。偶発的であり、どこか必然的でもあったこのご縁に感謝しています。今日は本当にありがとうございました!引き続き、ハワイ満喫されてくださいね!
「 今ここで、しあわせを繋ぐ意味がある」〜 しあわせ探求庁でした✨
また来週水曜日にお会いしましょう!
(2024年10月30日)