余白

明白な独白 潔白な君への告白の科白

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明白な独白 潔白な君への告白の科白

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私信

あの子の好きなものは、お金、かわいい顔、愛のないセックス、きれいな体と腕の傷。あの子の嫌いなものは、他人からの執着、ネギ、男、かわいくない生き物と、首の詰まった服。 その程度だ。その程度だったんだ私達は、きっとあの子は私を何も知らないし、私が知ってるあの子も人格の一部みたいな小さなちいさな表面上のことだけ。誰にも言えないと泣いていた声もこっそり教えてくれた本当の名前も突然送り付けてきていた自撮りも全部、もう忘れたし偽物だった。 きみだけは嫌わないで、きみだけは捨てないで、き

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      なんかもう本当に虚しい以外の感想がない お金はない、車は事故った、同じ職場の友達は退職するしわたしの仕事は見つからないし生理は始まったし最近ずっとねむれない もう成人したのに親に言えずにいる煙草を朝5時に窓に座って吸ってる今の外の音とか明るさとか匂いが、なにもわからないまま家族旅行の日の早朝に眠い目を必死に開けてわくわくしながら外見てた小学生くらいの頃と変わらなくて 自分から無くなってくれない欲望が気持ち悪いし、ずっと友達と思えない同級生は毎日幸せそうなストーリー投稿しててつ

      • 404_X

        突然綺麗になにもかも消えてしまうということが現実に起こる世界だ。  絶対にここにいるのにどこにもいない、不確かで実在する証明もできない存在(と言っていいのかもわからないもの)が、絶対に干渉できないきみが観測すらできないどこかへ行ってしまうらしい。 ヴァーチャルの世界で息をしていたきみはいつしか歳も取らない永遠になっていて、 いよいよどこか見えないところに隠れてしまう。 ずっと救われていました。いかないでほしいよ。 きみの言う7月28日が100万年後の7月28日だったりしない

        • am

          きっときみが初恋だった。 きみはかみさまのお気に入りだったんだろうなと思う。 周りの誰よりもずぅっときらきらしてて、目に見えて他と違う特別な生命体で なのに人並みの幸福も得ることなく苦しんで苦しんで結果四半世紀も経たないうちにきえてしまった。かみさまがきみを特別にして、孤立させて、さっさと攫ってしまったんだろうな。かえしてほしいけど勝ち目がないな。

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          汚い部屋で暮らして汚いベッドで眠って汚い服に着替えて汚いことたくさんしてるのに自分より汚いと思った途端簡単に見下してじゃあおまえはそんなに綺麗なのって言われたらなにも言い返せなくて汚いよ汚いんだよ人生まるごと汚いんだよなにもかもだれも信じられなくてなにも信じたくなくてでもなにかに縋りたくて無理やり縋って鬱陶しいわたしはずっとひとりで泣きながらまた汚い場所で汚いことしながら無理やり息してわらって自分が一番惨めで情けなくて可哀想でどうしようもないと思いながらすぐ下を見つけて嫌悪し

          軽忽な呪いのこと

          さいあくだ最近まいにち自殺する夢を見て目を覚ます 夢のわたしはかわいくてきれいな顔と声で、けどやっぱり強迫観念と希死念慮はかわらなくて それで何故かわたし含む親しい人間が世界の重要人物らしくて誰かが死ねばたくさんの人が助かって、これも何故だかわたしのことを大切にしてくれる人がたくさんいる それでもいつもわたしは自分の意思で高いビルから転落するみたいに飛び降りて、落ちる時はやっぱり怖いし落ちた時はやっぱり痛いんだけど、死んだわたしの身体はそこには残らなくて、小さい小さい塵みたい

          軽忽な呪いのこと

          クロニクル

          時刻は夜でここは田舎だというのに外は明るい。住宅街は人が沢山いて、けれどこの街ではみんな眠ってるから、服の1枚すら息苦しくて下着で過ごす癖のあるわたしはレースのカーテンを1枚隔てるだけで安心して窓を開けることができた。家はどうも居心地が悪い、職場も友達の前もどこもそうなんだけど、みんなが休まる場所であろう家すらくるしい現実がつらくて せまい窓にのぼってちいさくなって外の音を聞いている。友達も家族もいないみたいなものだった、恋人なんてもちろんいないし。 いつからか離人感を酷く

          クロニクル

          4.19

          海に来た。 ここ数年間、確か友達が死んでしまった前後くらいから毎年冬になったら1人で海に来るんだけど、今年は環境が変わっていままでどこにも行けなかったから今更来てみた。 わたしの住んでるところには海がないから毎年電車で海まで出てたけど、今年は車に乗って、高速道路が怖いから下道をゆっくり走って、案外簡単に来れたから帰りは高速道路で帰ろうかな、とか思いながらいま海辺でこれを書いている。 4月の海はコート着なきゃ行けない真冬の海よりもあきらかに人が多くて、砂浜にいたけど早々に知ら

          熊猫と苹果

          夜食にオムライスを作っていた。もう数時間で次の日が来るというのにランチみたいな量のそれを平らげるあいだ、なんとなくわたしは死んだともだちのことを思い出した。 ともだちはとても顔が可愛かった。声も可愛くて、字も可愛くて、その子から届くLINEのフォントすら可愛く見えた。あとは嘘が上手で、約束も破る。繊細で、それでいて痛みに鈍い子だった。 わたしがその子と出会った時、たしかわたしは14歳くらいだったと思う。まだバカ丸出しの着崩したセーラー服で学校の非常階段を駆け上がって、大好き

          熊猫と苹果

          微々たる乙女の話

          さやぴがZOCを脱退した。兎凪さやか、うなぎさやか。ミスiDの時の名前はさやか。白色担当。アイドルのさやぴが好きだった。アイドルじゃないさやぴも好きだった。キラキラのふわふわの薄くてかっこいい女の子だった。ミスiDの時からアイドルみたいで可愛くて、だからZOCのメンバー発表の日は騒いだなあ。アイドルみたいな女の子がアイドルになったんだから、夢みたいだなんて思った。これで会いに行ける、生歌が聞ける、踊ってる姿が見られる、チェキが撮れる、なんて。 何も叶わなかった。 脱退理由は未

          微々たる乙女の話

          i

          アイドルになりたかった。 ステージに立つのが好きだった。誰かを救う音楽は好きじゃなかったけど、わたしを救う音楽は好きだった。キラキラした衣装に憧れてきたし、歌うことも踊ることも好きだった。誰かの好きになりたかったのだ。ミュージカルに出てもバトントワリングのステージに出ても、部活のソロを毎度友人から勝ち取ってもやっぱりわたしはアイドルになれなかった。アイドルになりたかった。 初恋の人はどこかへ行ってしまったし、親友とは連絡が取れない。知らない花が風の匂いが空が鳥がバイト先の