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【化学基礎】8時限目 熱運動

マルハニチロの鯛だしラーメンという冷凍食品をご存じだろうか。

これがまあ美味しくて美味しくて!
冷凍なのに生麺のような歯応え。
鯛の旨味を余すことなく感じさせるスープ
最近のラーメンには珍しい麺と汁の不思議なほどの一体感。

しばらく鯛だしラーメン過激派よろしく
「いいから食べてみろ、飛ぶぞ」
と人にお勧めするくらいにはリピートしてたんだけど、
近所のスーパーで突然扱われなくなった。

「在庫切れかな、次の入荷はいつかな、工房主、わくわく!」

そうして1年の月日が流れた。
が、待てど暮らせど一向に入荷しない。
しびれを切らして製造元HPを今になって確認し判明した事実がこちら。

まさかの
【 生 産 終 了ガビーン 】

ううっ、残念です。

ということで、こんばんは!
工房主です。
今日も化学の授業を始めます。
よろしくお願いします。

【前回までの復習】
化学者達の努力の蓄積が【検出反応】という道を開いた。

今回は教科書的な表現で言うところの第1章の最後の部分、
【物質の三態と熱運動】を扱う。

但し【物質の三態】については
【分離操作】【昇華(法)】で既に学んだので簡単に触れるだけにする。

では早速始めて行こうか。


工房主ヌシからのお願い※
動画先は私のチャンネルではありません。
動画を作るのも楽ではありません。
時間と体力とある種の自己犠牲が必要な作業です。
貴重な結晶を無料で公開して下さっている動画先に対して
感謝の good 評価ボタンを押すことで活動を後押し下さいますよう
どうぞよろしくお願いします。


物質の三態さんたい

全ての●●●物質には3つの物理状態がある。
【固体】【液体】【気体】の3つだ。
これを【物質の三態さんたいという。

三態さんたい温度依存である。
つまり、温度変化によって物理状態が変化するのだ。

加熱方向で言えば
【固体】 ゆうかい 【液体】 じょうはつ 【気体】
冷却方向
で言えば
【気体】 ぎょうしゅく 【液体】 ぎょうこ 【固体】
である。

凝縮凝固ぎょうの字は間違えやすいから注意だ。
カタカナ語呂っぽく捉えるとンヒヤマアだな。

また、全ての●●●物質といったが、一部の物質では【液体】を経ずに
【固体】⇄【液体】のダイレクト変態をする奴もいる。

それぞれ
【固体】からいきなり【気体】になることを昇華しょうか
【気体】からいきなり【固体】になることを凝華ぎょうか
という。

マトンの羊諸兄は
「え?両方とも【昇華】じゃないの?」
と驚くかもしれないが、
2017年の教科書改訂時に修正されたということを伝えておく。
一方、ラムの羊諸兄は素直に昇華アゲ凝華サゲで覚えよう。

ここまでは4時限目で扱った通りだ。
本日はここから更に掘り下げて、
【物質の三態さんたい原子・分子の運動もとい
温度依存粒子●●がどのように動いているかを考えていく。


【熱運動】に入る前に超大事●●●なことを断っておく。

私も化学者の端くれ。
信用第一、真実第一の化学業界において捏造や偽証は死刑だ。
真実さと正確さが大大大大前提の学問せかいにおいて至極当然だな。
明らかに糞データしか取れないだろう雑な実験でもしようもんなら
コメント欄ですぐぶん殴られるのはそういうこと。
だから、被害者ぶって「でもでもだって私悪くないもん」みたいな
糞愚かで醜い真似はしない。
訴えが事実である場合に対しては羊は黙って潔く謝罪みとめてせっぷくだ。
過失って時も勿論あるが、そういうのは先人が糞ほど経験してきて、
既にリンゴおろしみたいにして頭下げてくれてる前例がある。
りリンゴした先駆者に比べれば
頭空っぽの方がつみ詰め込める私ら後続羊達の頭のなんて軽いことよ。
全部含めて一から再起リスポーンしてまたコツコツ信用を取り戻したらええ。
羊諸兄せんくしゃと同じそういう覚悟を持ってやってます。

が、しかし。

それは私がプロだからキメられる覚悟であって、
化学初心者の高校生むかきんユーザーに同じ覚悟を求めるのは無理だ。
勿論そういう覚悟が必要なんだと情報として知っておくのは大事だけど、
初心者に入口の段階で即死罠そくしわなガチガチの無双攻むそうぜめリスキル上等じょうとうかまして
これも勉強だ。良い経験になっただろうおまえにもかぞくがいるだろう、いなかへかえるんだな
というのは、アリかナシでいったら絶対死ねだと思うの。
そんなん誰も化学を好きにならない。
なる筈がない。

五目並べRTAくらって頭痒くなるくらい発狂しても
諦めずに最後まで頑張ったみこちは偉い。
み俺誇。

何が言いたいかっていうと、
私の授業は面白さをかなり強めエンジョイましましを意識して展開してるってぇこと。

【熱】の話は本来は【物理学】の範囲だから
【化学基礎】で扱う【熱運動】の話はもともと大した量ではない

だけど【熱】関係の話にはどうしても粒子の衝突の話が必要で、
そこに正確性を求めていくと・・・

・・・みたいな話まで究極的には説明しなくちゃならなくなる。
大した量じゃなかったものがあっという間に糞膨大な量になっちゃう。
初心者対象の授業でそんなの捌ききれないし扱うべきじゃない。
殆ど全ての羊が白目いて泡吹いちゃうよ。

今後の彼らの【化学】の伸びを考えるなら、ほどほどに
「へぇ~なんかよく解らんけどおもろ」
と思ってもらえる程度に抑えた授業の方が絶対にプラス。

クラス運営をするにあたって
上・中・下のどこに目線を置くかはいつも重要な事であり、
絶対に下に目線を置いてはいけないごくつぶしルートはきんきであり、
水が低きに流れるのを防ぎ、少しでも成長させ続けるためには
現状より上の目線を設定するのは当たり前だ。

だが、【化学】【物理】がクロスマッチするこの範囲においては
ちょっと目をつぶってほしい。

下も下、足のつま先しか見てない
誇張マシマシほぼ偽証のスカスカ授業エンジョイぜいのためのじゅぎょう意図的●●●にするから。

お前ら正論パンチでコメント欄を燃やすんじゃねえぞってことを
予め是非ともよろしくお願い申し上げます。

(記事を見て下さっている羊諸兄の民度が凄く高くて
幸いにも今までボヤ騒ぎすら1度も無かったので助かってますけぇど。
ほんと感謝してます)

なんやかんやそんな訳で【熱運動】ってモロに【物理学】っていうか、
まだ解ってない事が多いし証明できてないけど成り立っちゃう
伝説の【量子力学】の触りの部分みたいなもんだからさ。
もともと超難解な学問だし?
だからまああれだ、ほら、
諸兄が失神したり白目剥いたり泡拭いたりしても

私は悪くない!

では本題に入る。


熱運動ねつうんどう

この世界の全ての【物質】【粒子】で出来ている。
粒子同士は常に衝突して回っている。

【物理】の世界では
【運動】【力】であり【エネルギー】であり【熱】であるとされている。

運動】=【力】=【熱】=【エネルギー】

具体的な証明は【物理学】の記事で行うので今は簡単に説明する。

【例】 ニュートンのゆりかご

【ニュートンのゆりかご】はもともとは
【物理学】における【エネルギー保存の法則】【運動量保存の法則】
視覚的に捉えやすくするためのデモンストレーション実験だ。

粒子同士が衝突すると【運動】伝播でんぱすることから
それって【熱】伝播でんぱするのと同じだよね、
を説明するのに理解し易いので【化学】でも良く用いられる。

【運動】が大きければ大きい程に【熱】も大きいという訳。

パンチされると殴られたところがぶっしつとぶっしつがぶつかると赤く腫れて熱くなるやろ?
あれはある種の火傷やねん。

新品の靴って固いやろ。
最初の内は靴の中で薬指とかに何度もぶつかって
なんや痛い思いした羊もおるんちゃうの?
靴擦れゆうんやけど、あれもある種の火傷やねん。

目玉焼きつくろ思てフライパンに生卵落とすやろ?
ジューゆうてるときな、
あれ、火という【エネルギー】がフライパンをぶん殴ってん。
ぶん殴られたフライパン、鉄 Fe か?
まあ何でもええけどフライパンがぶん殴られて
鉄 Fe 原子が【振動】して、【振動】は粒子の【運動】やから、
隣り合う次の粒子、次の粒子と【ニュートンのゆりかご】よろしく
フライパン全体に【運動】伝播でんぱ
すなわち【熱】がどんどん伝播でんぱして貯まって行くんや。
そこに冷たい生卵が来たもんやから
【熱】高いところから低いところへ一気に流れ込んで
ジューってなって目玉焼きの完成ちゅうわけ。
あれもある種の火傷・・・んなわけあるかい!
いや立派な火傷やわ!

という事で、【熱】と粒子の【運動】には密接な関係がある。
ではそこに物理変化もとい【物質の三態】を合わせて考えてみよう。

【例】 水 H2O の【三態】【熱運動】

NHK高校講座は普通におもろいんだけど、
動画リンクがないので代わりにサイトリンクを張っておく。

❶【固体】氷
は H2O 分子がギュッと詰まった状態で存在している。
H2O 分子同士は完全密で完全停止という訳ではなく、
極僅ごくわずかにだが【振動】している。
【振動】が少ないという事は【熱】【運動】も少ないということ。
つまり、粒子に流動性が殆ど無いほぼうんどうしていないので
氷に指を突っ込もうとしても、指は氷の表面でカッと止まる。
指は H2Oの密集団を掻き分けて侵入することは出来なかった訳だ。
また、氷よりも指の方が温度が高いので
【熱】温度が高い方から低い方へ伝播する性質によって
指は【熱】を奪われて冷たさを感じ、
氷は【熱】を奪って部分的に溶ける。

【液体】水
に徐々に熱を加えて行くと
氷の融点ゆうてんである0℃を越えた瞬間から融解ゆうかい始まる●●●

氷 Δt 水  (Δデルタ加熱という意味)

になると H2O 分子の【振動】よりも圧倒的に活発になり、
分子の集団の中を自由に泳ぎ回るくらいには【運動】している。
分子同士の結合力ひきつけあうちからは非常に弱く、
指という異物が突っ込まれた時には分子同士の結びつきは簡単に切れる。
指は H2O の密集団に簡単に侵入することが出来る。

徐々に加熱●●●●●という言葉の意味にも注意する。
【物質の三態】の単元においてお決まりのグラフがあって、
縦軸に温度、横軸に加熱時間を示した折れ線グラフが登場する。
やっつけで作ったグラフだが貼り付けておく。

【H2Oの三態】温度と加熱時間の関係

注目してもらいたいので繰り返すが、
氷を徐々に加熱して融点ゆうてんである0℃に達した瞬間に融解ゆうかい始まる●●●

融点に達した瞬間に全てがシュワッと水へと溶け切るわけでは無い
短い時間ではあるが氷と水が共存している時間帯がある。

この時、加熱を停めたわけでは無いのに
温度が0℃一定で維持される期間がある。
これは何故か。

既出情報だが、ヒントを幾つか提示しよう。
【運動】=【力】=【熱】=【エネルギー】である。
【運動】は伝播する。
【熱】は温度が高い方から低い方へ伝播する。
【粒子】本能的には純物質でいるよりも混合物でいたいいえからとびだしてざっとうにまぎれたい

もうお気付きだろう。
が共存している時、温度が低いのはであり、
【熱】低い方へと流れていく。

加熱はずっと続いているのに全体の温度が上昇せず一定なのは
が存在する間は加熱で得た【熱】
隣接する粒子同士の伝言ゲームで最終的にに流れ込み、
が融けてになることに【熱】が使われてしまうからだ。

そもそもまだ氷がいるという事は
全体として融点ゆうてんに達していないという証拠である。
だから分子全員が融点ゆうてんに達した瞬間から
初めて全体の温度が再び上昇するのに【熱】が使われ始めるってぇわけ。

【気体】水蒸気
に更に【熱】を徐々に加えていくとやがて水蒸気になる。
水の沸点ふってんである100℃を越えた瞬間から蒸発じょうはつ始まる●●●

水 Δt 水蒸気 

水蒸気になると H2O 分子は分子同士の引き付けあう力なんか全無視で
空間を自由に飛び回るようになる。

無色透明なので肉眼で見ることは出来ないが、
空気中には水蒸気以外の種類の分子が既にいて密になっているから、
【粒子】は自由に飛び回ると言っても弾丸のように直線的にではなく
あっちの人とぶつかり、こっちの人とぶつかりしながら進んでいく。
だから水蒸気を始めとした各種【気体】分子は
モワモワゆらゆらしながらそれぞれの重さに従って漂うってぇわけ。
で、漂ううちに自分よりも温度が低い物質に触れると
【熱】を奪われてしまうので【気体】から【液体】に戻る。
都会で孤軍奮闘するも資金が寂しくなって大人しく実家に戻る感じ。
お風呂場の壁や天井の水蒸気が正にそんな感じ。

【熱】を奪われる=【振動】が低くなる=【運動】が低くなる、
であるから、【気体】の分子【運動】よりも大人しい【液体】になる。
ということで【物理学】的にもちゃんと説明できる。

また、氷と水の共存状態の時と同じ理屈で、
水と水蒸気の共存状態の時に全体の温度が上昇しないで一定なのは、
全ての水がまず水蒸気になるのに【熱】が使われるためである。


絶対温度ぜったいおんど

【熱運動】について学んだなら【絶対温度】についても知っておくべきだ。
そのためには説明すべき前提知識3つあるので
順番に1つずつ消化していこう。

【前提知識①】 【気圧】について

1気圧の定義

【気圧】とは海抜0mから宇宙との境界線までの間にある
【気体】の重さによる【圧力】のことである。

平野●●における羊諸兄の上から宇宙までに存在する
莫大な数の【気体】粒子達の重さを1気圧という。

の上に行けば頭の上に乗っている【気体】粒子の
海抜0mの時よりも少なくなるので【気圧】1気圧よりも低くなる

谷底に行けば頭の上に乗っている【気体】粒子の
海抜0mの時よりも多くなるので【気圧】1気圧よりも高くなる

【前提知識②】 【気化熱】について

水は100℃でなくても沸騰することを羊諸兄はご存じだろうか。
まずは次の図を見てほしい。

H2O分子の流出入は均衡している

物質っていう奴らは誰しも、
何らかの【力】が働いて能動的に【純物質】にしようとしない限り、
基本的には拡散して勝手に【混合物】になりたがるエントロピー

水も同じで、放置しておくと仲間しかいない【液体】から飛び出して
他の【気体】と混ざろうとする。

別に火にかけて加熱しているわけでは無いのにだ。
これは何故なのか。

ある1粒の H2O 粒子が液体じっかを飛び出すためには
普通なら100℃相当のしきんが必要だ。
外部からのしきんの供給もなく
自分一粒では飛び出すためのしきんを賄えないので
家族や親戚中しゅういから掻き集めることにした。
結果、彼は見事独立を果たし社会に飛び出すわけだが、
彼に【熱】を与えてしまった液体じっか
親戚全体で割り勘で温度が下がることとなった。

この時の【熱】のことを【気化熱】という。
【液体】【気体】になるために周囲から奪った【熱】のことだ。

1粒や2粒だったらまだいいが、
飛び出そうとする粒子が歯止めが効かないくらい大勢だったら、
液体じっかはどうなるだろうか。

最初の内は派手に沸騰するが、
割り勘で頑張ってたとはいえ液体じっかしきんが枯渇すれば
最終的には【運動】することもままならなくなって凍ってしまうのだ。

但しこれはあくまでも飛び出し先のスペースが無限である
真空状態とか宇宙でとかの特殊な条件下の話、もとい
飛び出す勢力しか存在しない場合の話である

思い出してほしい。
【熱】低いところへと流れて行くこと。
【熱】=【運動】であること。
【運動】が低くなるとは粒子が大人しくなるということ。
大人しい粒子は粒子同士の引き寄せに捕まってしまうこと。

そう、地球上では大気が存在するので、
ヒエヒエの【液体】であるほど周囲から【熱】を奪い
【気体】液体じっか凝縮きょうせいきせいさせるのだ。
夏場の缶ジュースの表面に出来る水滴のように!
その力なんと1気圧!
パネェッ!!

先に載せたコップの水の図も思い出してほしい。
真空状態と違いコップに水を汲んで放置しているだけで
いきなり沸騰を始めないし凍りもしないのは
同時に大気からの流入が存在していて、
【熱】と粒子の輸出入の量はほぼ均衡●●●●しているからである。

ほぼというのは訳があって、
物質の崩壊性エントロピーとか太陽光によるよそからの【熱】の供給とかがあるために、
若干輸出の方が多くなっているためである。
一見すると均衡状態にあるコップの水も長時間放置すれば水量は減るのだ。

湖や海だって常に膨大な量の蒸発凝縮を繰り返しているが、
決して干上がらないのは広大な大気からの凝縮
地下水や河川や雨水の流入があるからだ。

これは加勢ヘルプがあれば均衡を崩すことが出来るという事でもある。

平野でお湯を沸かそうとすると100℃までかかるのに対して
山頂では【気圧】の勢力が少ないので、
100℃にならなくても沸騰させる事が出来るかねつのりょうがすくなくてすむってぇこと。
逆に谷底では【気圧】の勢力が多いので、
100℃以上にならないと沸騰させる事が出来ないかねつのりょうがよけいにひつようってぇこと。

【前提知識③】 【絶対零度ぜったいれいど】について

加熱の話とは逆に、今度は冷却に注目する。

【熱運動】において氷の状態を説明している時に、
分子は完全停止しているわけでは無く、
極僅かであるが【振動】していると言及した。

物質は【固体】になっても完全停止をしないのだ。
宇宙では解らないが地球上では不可能であるといって良い。

空気中には複数種類の分子が存在しているのは話したと思う。
ほら、肉眼では認識できないだけで
空気中は粒子でビッチビチに詰まっているから
さながらボールプールの中を掻き分けて進んでいるようだねと。

そう、地球上は運動●●している粒子●●●●●●でギッチギチなのだ。
だから、他の粒子の【運動しょうとつの影響を常に●●受けることになるので、
温度を下げて下げてひたすら下げまくっても
粒子の【運動】完全停止は不可能なのである。

じゃあ、氷以外の分子が存在しないように真空状態ではどうか。

真空ポンプなどを使って真空状態にしても、
その真空ポンプというか耐圧ガラスケースというか
装置そのものが物質であり、
物質は固体であっても【振動】しているので、
やはり影響を受けて【運動】の完全停止は出来ない

というか、光線的な測定なのかどうかはともかく、
測定器そのものが物質であるので、
「たった今、分子の【運動】が完全停止しました!」
を氷に影響を与えずにそして測定器自信が受けずに
どうやって測定しようというのか、まである。

ということで、
物質で構成されるこの世界で分子の完全停止は不可能なのである。
そして、もし達成できたのなら
それは最早もはや空間魔法であり時間停止なのだ。

目線を【高校化学】に戻す。
分子運動の完全停止は不可能ではあるし測定も出来ないが、
数学的に計算して理論値ならば導き出すことが出来ている。

仮に分子【運動】を完全停止出来たのなら
その値は全ての物質共通●●●●●●●-273.15℃
人はこれを【絶対零度】と呼ぶ。


前提知識は以上だ。
では今回の授業の最後として【絶対温度】の説明をする。
まずは次の動画を見てくれ。

【動画】セルシウス温度(摂氏温度)とファーレンハイト温度(華氏温度)

ブルーレイかHDDか、iPhoneかAndoroidか、きのこかたけのこか。
スタンダードのために世界はいつも戦っている。
温度の測定方式にも実は紛争が存在する。

セルシウス温度ファーレンハイト温度である。
アメリカは米、イギリスは英、みたいな日本独特の略記スタイルで
セルシウス氏が提唱したから摂氏なのはちょっとおもろいが、
そういう細かいなんやかんやは【動画】で見た通りなので省略する。

今、我々が日常使っている温度の方式はセルシウス温度である。
この温度は水の【熱運動】を基軸に設定している。

すなわち、
水が氷る温度を0℃、水が沸騰する温度を100℃とする
と定義されている。

0℃とか100℃とか区切りが良くて凄く便利。
華氏温度?
知らない子ですね。

ところがこのセルシウス温度、日常生活では十分だが、
化学の世界にとってはちょっと信用が置けない代物だった。

それは何か。
あろうことか何と定義そのものに不確かさがあったのだ。

の上で測った100℃と谷底で測った100℃。
温度計の目盛りとしては同じ値を示すが
【熱】量とか【エネルギー】量に換算すると
山と谷底で全く違う値になってしまうのだ。

薬を作るのも精密機械を作るのも今や温度管理は重要。
温度がちょっと違うだけで薬にも毒にもなってしまう世界において、
測定する場所によってデータが違うっていうのは致命的だよね。

そこで登場したのが【絶対温度(ケルビン温度)】である。
物の本によれば、
1848年、スコットランドの物理学者ウィリアム・トムソン、
のちケルビン卿の名前にちなんで制定されたとのこと。

【絶対温度】の定義は次の通り。


【絶対零度】つまり-273℃を0ケルビンとし、
セルシウス温度と同じ尺度メモリを用いて測定する。

天井?無限でいいんじゃね?


である。
これの何が凄いかっていうと、
【絶対零度】は気圧とか他者の温度の影響とか一切関係ない状態で
全ての物質が共通で到達する温度を基準にしているってぇこと。

誰がいつどこで●●●●●測定しても必ず同じ指標データとして表現出来るのだ。
世界中の化学者大歓喜である。

とはいえだ。
既に殆どの国々では【セルシウス温度】で定着してしまっているので、
凄いのは解るが今更全てを修正できない。
世界中の温度計を破棄して新しく作り直す?
過去の実験データを測定しなおす?
コストも時間もかかりすぎてそんなんやってられへん。
そこで化学者は次の変換公式を世界に提示した。


【セルシウス温度】を表す記号はt、単位は℃。
【絶対温度】を表す記号はT、単位はケルビン

【変換公式】  T=t+273℃


である。
好きな方式に勝手に計算して使ってねと使用者自信に丸投げしたのだ。
そこはまあ仕方ないよね。
だがこれで精密とか正確を重要視する化学者も
そこまで正確じゃなくてもいい日常派も両方が大満足である。

96℉?
なんですかその糞中途半端な値は。

ではちょっと練習してみよう。

【問】
(1) 0℃は何Kか。
(2) 100℃は何Kか。
(3) 一般的な室温room temperatureと言われる24℃は何Kか。
(4) 343Kは何℃か。

【解】
(1) T=0℃+273℃
     =273ケルビン
(2) T=100℃+273℃
     =373ケルビン
(3) T=24℃+273℃
     =297ケルビン
(4) 343K=t+273℃
    t=343K-273℃
     =70℃

最後の(4)の単位の扱いについて悩んだ羊はセンスあり。
今後も一層伸びるようにその悩みを解消しておく。
【絶対温度】の定義を思い出してほしい。

セルシウス温度と同じ尺度メモリを用いて測定する

である。
だからケルビンと℃で単位のは確かに違うのだが
1℃分の目盛り=1K分の目盛りなので、
数字はそのまま計算しても何ら問題ないのだ。
但し気を付けないといけないのは「何℃ですか」と問われて
t=で始めている式だから当然最後は℃で回答すべきという事だ。


さて、今日の授業はここまで。
いやぁ長かったね。
文字数見たら過去最長の9,600文字だったよ。
なっが!
ちょっと休憩した後で見直しして編集かけるかね。

羊諸兄もここまでよう頑張った!
羊俺誇。
わ俺誇。
後は次回の中間試験に集中だ!

【化学】だけでなく【物理】もなんか面白そうと思った羊は
良かったらチャンネル登録や good ボタン、
スキボタンやブックマークをよろしくお願いします。

【絶対零度】の英語読みが Absolute Zero であることを
実は知っていた黒歴史家の羊達は
過去の黒歴史とか好きな物理ネタ・化学ネタをコメント欄に
是非コメントして行ってください。

それではまた次回。
本日の授業を終わります。
お疲れさまでした。

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