京都府南山城村:中窪製茶園さん②
取材先:中窪製茶園
所在地:京都府南山城村
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<初めに>
こんにちは、SHARELOCAL MAGAZINE編集長の笹島唯です。第一弾の記事に引き続き、京都府南山城村の中窪製茶園さん5代目中窪良太朗さんにインタビューさせていただいた内容をまとめています。今回は、お茶作りのやりがいや今後の展望、そして南山城村の魅力などについてです。ぜひ最後までご覧ください。
・繁忙期の1日の流れ
やはりお茶の摘採時期が繁忙期です。
毎朝6時〜7時頃に茶畑へ行き、お茶刈り作業を始めます。遅くとも正午には刈り取った生葉を茶工場に運び、30分ほど昼休憩をとり、製茶を始めます。時間がないときは機械が茶葉を揉み込んでいる最中に軽く昼食を済ませることもあります。お茶が完成するのは早ければ午後5時くらい、遅ければ午後10時を超えることもあります。その後、できたばかりのお茶を家族で飲んで反省会をよくしています。
忙しく体力仕事で大変ではありますが、良いお茶ができた時はやっていてよかったと感じます。
・1年間のスケジュール
2月〜3月の間は肥料をあげるなど準備をしています。一番茶(4月末〜5月末)→刈直し(5月末〜6月初め)→二番茶(6月初め〜7月中旬)というように茶農業の繁忙期はほぼ休みなくお茶作りを続けています。7月末〜8月は茶農業が落ち着き、催事出店や商談会などに行ったりもします。そして秋番茶(9月末〜10月中旬)で1年を通してのお茶作りを終えます。翌年の茶農業が始まるまではまた催事出店に行ったり、他の仕事に行ったりします。
・やりがいを感じるのはどんな時?
他の人の価値観とは関係なく、自分がいいと思えるお茶が完成した時です!その時に充実してやりがいを感じます。これは、自分の成果物に対する自己評価で満足度を得ているような感じです。
また、自分のやりたいことに集中できることもやりがいを感じられる部分です!一つのものを極めていくという点では、芸術アートやスポーツ選手の価値観に近いかもしれません。それでも100%を作り上げることは難しいですが、そこを目指して試行錯誤している過程が楽しいです。
・良太朗さんにとってのお茶の魅力とは?
お茶作りってめちゃめちゃおもろいですよ、先述の成果物ができる満足感があるから。一つ一つの工程を修正して目的のものに近づけていく、思っていたものが完成したときのアドレナリンがすごく強いです!
必ず自分の理想像に近づけなかった場合の原因があるので、それを探しながら改善していきます。良いものができるまでトライアンドエラーをしていきます。
ここは本来楽しいと感じる部分だと思っていて、それを楽しめる人はお茶作りには向いているかもしれません。そのくらい作る人の熱量が、お茶の味にも現れてしまいます。逆に、完成したお茶に対する愛着が強くなりすぎることもあります笑。正直商品を売っていても、売り切れて欲しくないと感じることもあるんです!
・今後の展望は?
自分たちが良い品質のお茶を作っている自覚はあるので、良いお茶を広めていく活動はやめたくないですし、少しでも知ってもらうための努力を続けていきたいです。
・茶園の後継者問題をどう感じる?
全国の一次産業/農業での後継者不足は喫緊の課題で、特に耕作放棄地の悩みがあります。これらの問題が解決されていってほしいと思っています。中窪製茶園さんとしては、世代交代をしたばかりなので、自分の茶園の後継者のことはあまり考えていないけれど、他の茶農家さんの後継者は絶対いた方がいいと思っています。
・南山城村の魅力
よく村の良さでいう「人」だと思います。南山城村においても、人は良いと感じています。これは、具体的なものじゃなくて抽象的な感覚だと思うのですが、あえて言語化してみると、外から来た人たちがすごく受け入れられる環境、全員が全員ウェルカムな状態のことです。この背景には、人以外の村の魅力があまりないと人々が感じていることがあると思います。村には「何もない」「お茶しかない」と感じているから、外からいろんな人に入ってきて手伝ってもらって、村をより良くしてもらいたい、村には伸び代しかないから、様々なことを吸収していこうという心持ちでいます。
村に何もないと感じているからこそ、外からの人を温かく迎え入れる精神を手に入れることができて、「何もない」ことを悪いことや悲しいことではなく、ポジティブに捉えています。
<終わりに>
第1弾と合わせて、中窪良太朗さんの熱い想いをまとめてきました。普段何気なく飲んでいたお茶には、すごく強い想いが込められ、試行錯誤を経てきたからこそのお味なのだと知って、お茶への見方が大きく変わったような気がします。また、南山城村の人の良さを教えていただき、すごく素敵だと思いました。筆者は田舎出身で何もないことが、マイナスなことだと感じていたので、プラスに捉えられる価値観はこれからの少子高齢化社会の中でとても大切だなと思いました。