RADWIMPSにできることはまだまだある〜8.14「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」@マリンメッセ福岡
台風10号をギリギリ押しとどめて決行されたRADWIMPS福岡公演を観た。昨年末リリースの『ANTI ANTI GENERATION』を引っ提げてのツアー。開演前から前方観客エリアを取り囲むように伸びる長い花道に、さすがこの規模を掴みきってるバンドだなぁと唸ってしまう。「PAPARAZZI」の歌詞にもある通り、10余年アリーナツアーをやってきたその経験値は伊達じゃない。1曲目「Tazuna」からウォータースクリーンがゆらめく様は壮観であった。ピアノの調べとともに、ぐいっと引きずり込まれるようなオープニングだった。
アルバムからの楽曲は多くがこのツアーで初披露。「NEVER EVER ENDER」の底抜けの高揚感、多幸的な合唱を煽られる「万歳千唱」と早くもがっちりと観客と心通わせる曲が多い。終盤で披露された「IKIJIBIKI」なんかもう全員に共有されまくってた。新作ツアーでは新曲たちの盛り上がりって過去曲と比べると劣りがちなイメージだけど、そこの差異が一切ない。一方で、花道にせりでてしっとりと演奏された「I I U」や、そこから続き優しく会場を包み込んだ「そっけない」など、ロマンチックな楽曲も当然の仕上がりだ。
本公演ではタブゾンビ氏率いるTIE TONGUE ZOMBIESなるホーン隊が様々な楽曲に彩りを添えていて。「カタルシスト」においてはファンファーレのように鳴り響き、「アイアンバイブル」ではメインフレーズをつかさどる華やかな存在として。そして「TIE TONGUE」ではどっしり&キャッチーに楽曲を牽引するなど、とにかく様々な役割!大人っぽい魅せ方をバンドに与えていて、完全に新たな風が吹いていた。てっきりストリングス/エレクトロモードかと思っていたので、面食らったし、つくづく貪欲なバンドだと思った。
その「そっけない」から「洗脳」へとつないだ流れはやはりRADWIMPだなぁと思わざるを得ない。純粋さも狡猾さも、美しさも愚かさも、束にすることで時代と対峙する表現にまとめ上げたアルバムの雑多な楽曲群はそれ自体はあまりにもバンド美学を映しすぎている。あれほどの歓声を一転して静まり返らせた「PAPARAZZI」における、花道での大立ち回りとマイクパフォーマンスは圧巻の一言である。その両極端の位置に、この日台風でこれなかった400人の観客に向けられた「夜の淵」の存在が輝いていたのも印象深い。
本編ラストは、宇宙を想起させるモニター映像とウォータースクリーンが再登場した「愛にできることはまだあるかい」。スケールが会場に収まりきれなくて溢れかえりそうになるほど、切実にきらめく問いかけである。きっとこの自問自答を繰り返し、RADWIMPSは次の表現へと向かっていくのだろう。アンコールでは「スパークル」で壮大な安心感をもたらした後に、至上の前肯定でかっ飛ばす「会心の一撃」でシメ。曲調もばらばら、曲間をたっぷり取ってもダレずにむしろ浸らせられるって比類なきことだなぁ、と!
8.14 RADWIMPS「ANTI ANTI GENERATION 2019」@マリンメッセ福岡 セットリスト
1.Anti Anti overture
2.tazuna
3.NEVER EVER ENDER
4.ギミギミック
5.カタルシスト
6.万歳千唱
7.アイアンバイブル
8.IIU
9.そっけない
10.洗脳
11.PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~
12.おしゃかしゃま
13.DARMA GRAND PRIX
14.夜の淵
15.IKIJIBIKI
16.君と羊と青
17.いいんですか?
18.愛にできることはまだあるかい
-encore-
19.スパークル(original ver.)
20.会心の一撃
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