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ポップカルチャーは裏切らない

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”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
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2025年2月の記事一覧

恋が共同幻想だとして/坂元裕二『ファーストキス 1ST KISS』【映画感想】

恋が共同幻想だとして/坂元裕二『ファーストキス 1ST KISS』【映画感想】

脚本・坂元裕二、監督・塚原あゆ子というヒットメイカー同士の初タッグ。主演は松たか子と松村北斗(SixTONES)。事故で夫を亡くした折、タイムトラベルする術を手にした妻が、夫の死なない未来を作るために15年前・2009年に2人が出会った日へと戻り、手を尽くそうとする。何度となく扱われきたSF題材であり、その目的もラブストーリーとして極めてオーソドックスなものだ。

しかしそこは坂元裕二。この夫婦は

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the pillowsとフリクリが見せた夢、米津玄師とガンダムの今

the pillowsとフリクリが見せた夢、米津玄師とガンダムの今

※米津玄師 2025 TOUR/JUNKの若干のネタバレがあります

ガンダムにほぼ触れていない私としても先日鑑賞した『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』は高揚した。色々と興奮した箇所はあったが、やはり"発進"に際したアニメーションの躍動感、それを強調する米津玄師「Plasma」の威力は特筆したい。やはり何かが動き出す瞬間にアッパーな楽曲は欠かせない。特に、飛びあが

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フジファブリックというバンド【後編】2015-/逸脱を引き受け続けること

フジファブリックというバンド【後編】2015-/逸脱を引き受け続けること

フジファブリックの歴史を総浚いし、その稀有な歩みを批評的に紐解く記事シリーズの後編。前編は↓。こちらを先に読んでいただきたい。

志村正彦は“イメージ”を重視しつつ、遺作となった『CHRONICLE』で内省を深めた。3人体制となってからもフジファブリックらしさという“イメージ”に応えつつ、『LIFE』で山内総一郎がフロントマンとして、表現者としての内省を行なった。どちらの時期もイメージから内省とい

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フジファブリックというバンド【前編】2004-2014/イメージと内省の風景

フジファブリックというバンド【前編】2004-2014/イメージと内省の風景

2025年2月6日、NHKホールでのワンマンライブをもってフジファブリックが活動休止に入る。2000年結成、2004年にメジャーデビューして以降、一度も足を止めることのなかったバンドであり、かねてより「解散しない」と公言してきたからこそその驚きは大きい。2009年に当時のフロントマンであり、結成の中心人物だった志村正彦を亡くし、オリジナルメンバーが不在になってなお15年もの期間、人気と活動規模を維

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