禅の包丁研ぎ
最近、料理に使用している包丁の切れ味が悪くなった。
私がメインで使用している包丁は、タダフサの三徳包丁だ。
さすがのメイドインジャパン。
本来の切れ味は抜群で、青ネギをスパパンと切っても繋がっていることはない。
そんな優秀な包丁も、毎日使用していると流石に切れ味が落ちる。
だから昨日から砥石を水に浸け込み、今夜は包丁研ぎをした。
メインの三徳包丁だけでなく、果物ナイフ(こちらもタダフサ。恐ろしいほどによく切れる)と、IKEAで買った安物の包丁の計3本をまとめて研いだ。
夜更けに薄暗いキッチンで、アラフォー女がスースー包丁を研いでる姿はホラーだ。
今は便利な世の中で、包丁研ぎも気軽に出来るツールが販売されている。
でも私は惚れ込んだタダフサの包丁を購入した際に、ちゃんと手入れして永続的に使いたいと思って砥石も購入した。
包丁研ぎのやり方は教わったこともないので、YouTubeの料理人の動画を見て、見よう見まねで始めた。
そんな感じなので自分の研ぎ方が正しいかどうかは今でも分からない。
でも研いでる時間は最高の癒しだ。
刃物を扱っている緊張感もあるから、手元に全集中力を注ぐ。
まさに禅。
今風に言えばマインドフルネス。
思えば日本の慣習というのは、多くが「禅」な気がする。
私が学生時代にやった習字・空手・茶道は今振り返れば、正にそうだった。
(しかし残念ながら、私は注意散漫な子供だったので、そのどれにも集中出来ていなかった気がする…。)
他にも生け花、盆栽、剣道、日本舞踊、弓道、伝統工芸諸々…あらゆるものは禅に繋がっているように思う。
日本にはとても美しい文化がたくさんある。
外国の人から見ると、ミステリアスで魅力的な国らしい。
でも肝心の日本人は、その良さに注目していない。
日本人は、日本文化より外国に興味を持つのがオシャレだと思っている。
だから当の日本人以上に、海外の日本好きな外国人の方が日本文化を守ろうとしている。
京都の京町のような日本の伝統的な風景は、どんどん姿を消していく。
守りたくても維持費が払えないなど、切実な理由もあるらしい。
そして日本の大事な財産は外国人に買われる。
その多くが中国だ。
私達の伝統的な風景は、他所から来た者たちに勝手にカスタムされていく。
多くの日本人が気づく頃には、時既に遅かろう。