読書感想文 #12 『ミゲル・ストリート』
みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
気づけば、9月も後半に入りました。来週は4連休ですね。去年までとは違い、遠出したり、旅行したりというような楽しみはできませんが、リフレッシュできたら、と思います。普通に仕事や学校等の方もおられるかとは思いますが、有意義に過ごしたいですね。
さて、今日は外国人の書いた本を紹介したいと思います。
ミゲル・ストリート
V.S.ナイポール著 小沢自然 小野正嗣 訳
誰? 何の話?という印象でしょうか。
著者は2001年にノーベル文学賞を受賞していて、イギリス人ですが、出身はトリニダード・トバゴで、この作品は初期のもの(1959年)だそうです。
異国のはなし
舞台は、著者の若かりし頃、第二次世界大戦より少し前のトリニダード島にある、首都のポート・オブ・スペインにある下町のミゲル・ストリートという通りに暮らす人たちの愉快な話です。
語り手の「僕」は15歳の少年で、周りの大人たちが、夢を追いかけては、失敗し、街を去っていきます。
ボガート、自称大工のポポ、ジョージ、衛生検察官の試験を受けるエリアス、気ちがいのマン・マン、詩人のワーズワーズ、腰抜けのビッグフット(大足)、花火技術者のモーガン...16章まであるので、この辺にしておきます。
数あるエピソードの中の1つ、腰抜けのビッグ・フット(大足)の話が面白かったので紹介します。
ビッグ・フットはいつも機嫌が悪く、無口な為、皆から恐れられていた。
当時はポートオブスペインじゅうにアメリカ人兵士がうろうろしていて、「僕」がガムをねだると、くれたりしていたが、ある時酔っ払いに言ってしまい、絡まれるが、ビッグ・フットが助けてくれた。
そしてある日、新聞にビッグ・フットがボクシングを始めると記事になり、ひとりのイギリス人がやってきて、戦うことになった。相手は「英国空軍のチャンピオン」と言い、ミゲル・ストリートの仲間たちはもちろん、トリニダードの人たちは大いに期待し、ビッグ・フットが勝つ、と賭けたりし、試合をした。
しかしながら、ビッグ・フットは判定で僅差で敗れてしまう。
ビッグ・フットは子どものように泣き、翌日の新聞の見出しは「健闘家、リングで泣く」と書かれ、笑い者になり、ミゲル・ストリートを去って、採石場で土方になってしまう。
半年後に、相手の英国空軍チャンピオンが、空軍にいたことはなく、チャンピオンでもなかったという事実が、トリニダードで発覚して、話題となり、終わる。
とまぁ、こんな感じで、豪快で単純で、夢破れる人たちのユニークな話が満載で、アホだけどどこか憎めないという感じがします。
興味があれば、読んでみてはいかがでしょうか。
なぜ、村上春樹はノーベル賞を受賞できないのか?
感想文から話がそれますが、ノーベル文学賞について。
何かが足りないというより、選考基準とか、いろんな事情からであって、選考そのものが、フェアなのかもわからないですし、既に世界的に知名度も評価もされているから、受賞しなくても十分な方ではないかと思います。
逆に、ノーベル賞を受賞した海外の作家の作品を読むと、日本人にはない独特な表現とか、世界観があり、面白かったりします。
ネットで検索すれば、でてきますし、それを図書館のWEBで検索すれば、日本語に翻訳されていれば、簡単に借りることもできます。
例えば、国籍はフランスになっていますが、中国から亡命した高行健さんの作品で「霊山」なんかは、かなり独特な表現で、とても面白いのでおすすめです。
それでは、また。