見出し画像

ZINEを作る セクシャルマイノリティーの声を届けるために

都内の某大型書店の片隅に、行くと必ず立ち寄るコーナーがあります。
それは、いわゆる「ZINE」と呼ばれる小冊子が置かれている棚。
一冊ずつサンプルを手にする度、「良いなぁ」と心の中で溜息をつき、作った人の気持ちに思いを馳せる。
いつしか、それが僕の習慣になっていました。

ZINEは、別名「リトルプレス」とも呼ばれる、個人または同人が発行する小部数の出版物の総称。
形式も自由、テーマも自由。自作の詩や小説・エッセイなどを載せたものもあるし、写真やイラストだけで構成されているものもあります。
表紙だけ眺めていても、色々な「顔」があって面白い。
それはまさに、作り手の心がそのまま並べられているような光景です。

noteを始めて、文章を書くことの楽しさに改めて気づいてからというもの、「良いなぁ」が、「自分でも作りたいなぁ」に変わりました。
僕がこの場で綴ってきたのは、主にバイセクシャルである自分との向き合い方や、心の葛藤、奥さんや家族、友人への自己開示(カミングアウト)の記録…など。
だから自然と、自分で作るZINEも、「セクシャリティ」をテーマに据えた文章中心のものにしたいと思いました。

「多様性」という言葉が世間に定着して久しいですが、日本はまだまだ、他の先進国と比べれば、セクシャルマイノリティーへの理解が遅れています。
そんな中で、ささやかでも、「LGBTQ+」当事者が抱えている生きづらさや思いに寄り添える「モノ」を、世の中に生み出してみたい。
そしてそれを、「当事者の声を社会に届けるツール」にしていきたいという夢が、日増しに膨らんでいくのを感じています。

もちろん、小部数とはいえ印刷するには費用がかかるし、イラストや写真の配置を含めた、ZINE自体のデザインを考えるのも、なかなか難しい。
さらに、採算を取る(奥さんを説得するにはここが一番大事…笑)にはそれなりのクオリティーが必要だし…と、考え始めるとなかなか一筋縄ではいきません。

でも、障壁が高いものにこそ、「やりがい」や、乗り越えた後の「達成感」が潜んでいるということを、僕はこの30数年の人生で学んできました。
また、夢をかなえるために「挑戦」をするという行為自体が、「自分自身のアップデート」に繋がるということも。

制作したZINEが、一体どのくらいの人に読んでもらえるのか、そもそも需要があるのか。それは現時点では分かりません。
でも、noteで記事を発信して、リアクションやコメントを頂く度に、自分の思いに共感してくれる方や、賛同してくれる方、似た状況に身を置かれている方が実際にいるということを、僕は確かに体験してきました。

そして、本当に有難いことに、繋がれる「仲間」や、「居場所」にも出会えた。だから、少なからずニーズはあると信じたい気持ちがあります。

noteの記事を、遠いどこかの誰かに向かって海へ流すメッセージボトルに例えるなら、ZINEは僕にとって、宛名を書いてポストに投函する手紙に近い。
どちらも魅力的であることに変わりはないですが、実際につくった「モノ」を、求めてくれた相手に送り届ける喜びも、味わってみたいというのが正直なところ。
それが、この夢に向かって邁進するための原動力でもあります。

気がつけば、30代後半を迎え、そろそろ人生の「秋」を迎える頃。
けれど、この年齢になってもまだ、「かなえたい夢」を持てるということに、僕は心の底から喜びを覚えます。
年齢や状況に関係なく、人は命ある限り、「挑戦」を続けることができる。
それは、常に自分自身をアップデートし続けることが可能であるという証左でもあります。

この記事を投稿することが、今の自分と、このささやかな夢とを繋ぎ止める「見えない糸」になることを願って。
決してスピリチュアル系を気取るわけではないのですが苦笑、言葉にしたことが実現する、「言霊」というものの力を、僕は本気で信じているのです。

#かなえたい夢

いいなと思ったら応援しよう!

Shade
「LGBTQ+」当事者同士が繋がる・共感し合える場として、共同マガジン「ゆるく繋がるLGBTQ+座談会」を立ち上げました。無料でどなたでもメンバーになっていただけるので、ご参加希望ございましたら、ぜひお気軽にフォロー、コメントください!

この記事が参加している募集