セックスには戦争を終わらせるほどの力がある
「戦争をやめないならセックスしません」
そう掲げてペロポネソス戦争を終焉に導いた──のはあくまでギリシャの喜劇、『女の平和』の話だけれど、今まで世界中でセックスは、実際に争いを止め、銃を減らし、殺人率を下げ、道路の修復までさせてしまった。しかもこれ、古代ギリシャ時代じゃなくて全然最近の話。セックス・ストライキを企画して大統領になり、ノーベル平和賞を授与された女性までいる。
平和じゃなきゃ、セックスなんかできない。平和じゃなきゃ、子どもを産み育てることも出来ない。
戦争に勝ってどれだけ莫大なお金を得たって、国が大きくなったって、それは全部バーチャルだってことに、少なくとも多くの女性たちは昔から気づいている。もちろん男性が気づいてないって話じゃない。ただ、「バーチャルな幸福感」を「本当の幸せ」と履き違えてしまっている人たちは一定数いて、「セックス」っていう圧倒的リアルは、彼らを「本当の幸せ」に気づかせることのできる強烈な平手を打ち込む力がある。
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一体私たちは何のためにセックスするんだろう、と時々思うことがある。
さっき書いたような、平和への切り札としても使える。子どもを作る行為であることは、もちろん動物界として大前提。ボノボのようにコミュニケーションツールとして私たちは使うし、愛を確認する手段の一つでもあるし、支配欲を満たすことだって出来る。性欲を解消するためでもあるし、ストレスだって解消してくれる。性癖を満たされることで自己肯定感が上がることもあるし、幼少期の傷を癒すほどの圧倒的な安心感に包まれる行為でもある。
セックスって、自分たちが思っている以上に万能。多分、スマホくらいは万能。
スマホで誰かに感謝の言葉を伝えることもできるし、お金を稼ぐことや友達を作ることも、アートを作ることも犯罪に使ってしまうことさえ出来る。
大事なのは、「今の自分はそれを使って何を感じたいのか」を分かっておくことだ。それを分かっていたら、無闇に自分や相手を傷つけてしまうことも、依存してしまうことも防げる。そうでないと、スマホであれセックスであれ、万能な道具であるそれに自分の人生を乗っ取られてしまう。
もし、セックスが「良いこと」だとか「悪いこと」だとか、あるいは「タブー」だとか「はしたないこと」だって思ってしまうなら、「自分がどう使いたいのか」をはっきりさせるといい。包丁は確かに危ないけれど、「包丁は良くない」って言う人はいないし、包丁のことを話すのはタブーだ、なんて思う人もいないはず。
それは、「どう使うか」をちゃんと分かってるからだ。人に向けないこと、ちゃんと使ったらしまうことで危険を回避できること、それなしに料理を作ることはほとんど難しいこと、そしてなにより、「包丁を使って作った料理は人を幸せで満たすことができる」ってことを、みんなが当たり前のように分かっているから。
セックスは、いくらでも自分と相手を幸せにできるんだよ。戦争だって止めることが出来るし、命を産むことも、途方もない愛を心の奥底まで届けることだって出来る。だから、どうか「セックス」から目を逸らさないでほしい。私たちの可能性から、目を背けないで。いやらしいと言ってきたり、変に冷やかしてしまうような人に出会ったら、セックスが争いを止めた歴史の話を大真面目にしていい。自分たちの可能性をまっすぐに見つめて向き合う強さのある心に、体温の通わない言葉で貶めるような行為やセクハラ、わいせつ行為なんか、一ミリたりとも届かせなくていい。……いつかきっと、そういう人たちも思い出す。自分にもその強さが本当は備わっていたんだ、って。
いつも支えてくれる人たちに、一緒に性に向き合うメンバーシップの人たちに、そして誰よりも私自身に、何度だって言い聞かせていきたい。
私たちは、戦争を終わらせるほどの力を持って今日を生きている。
メンバーシップ“Anone,”は、「安心安全に女性が性のことを話し向き合うことのできる場所」です。性のことを一緒に学び考え、向き合うメンバーたちがいます。初月無料なので、お気軽にご参加ください。
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