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未来展望委員会は、コロナ禍最大の変化「場の構造変化」を体感しました

「わたしたちは、いままで『経験』したことのない世界に入っています」
 
2020年のコロナ禍で本格化したテレワークによって、1日、1週間、1ヶ月、1年での、会社や学校にいる・家にいるという「ワークとライフスタイル」の場所が変化しています。その場所の変化は、私たち日本人がこれまで経験したことのない感覚のなかにいます
 
社会文化研究家の池永先生と若手社員4名による、未来社会を展望する「第5回未来展望委員会」は、その話から始まりました。前回のコロナ禍を契機とした「場と時間」の構造変化の「時間の構造変化」につづき、今回は「場の構造変化」がテーマで、初めてのオンラインミーティングとなりました


1 コロナ禍を契機として場の構造変化

本日は、オンラインでの「未来展望委員会」なので、パワーポイントで説明していきます

©IKENAGA.HIROAKI

「ずっと気になっていることがあるのですが、2020年から始まったテレワークがどうなっていくのでしょうか?」
と未来展望委員会の1人の女子社員が質問しました
 
まだテレワークの方向は定まっていません。テレワークをたんに新たな働き方と捉えるのではなく、コロナ禍を契機にはじまったテレワークの会社にとって、働く人にとっての意味はなにか?テレワークでなにがおこったの?なにを変えたか?をつかんでおくことは、未来展望において大切な論点です。そこから考えてみましょう
 
まずテレワークにより、ライフスタイルとビジネススタイルが変わろうとしています。都心と郊外・地域と情報空間の関係構造、家と会社・学校、公共施設・病院・物販・飲食・レジャーなどの第3の場所の位置構造が変わりつつあります。都市と郊外・地方という場の使い方が変わると、時間・金の回り方が変わり、ビジネスが変わります。まず、ここをおさえておいてください

©IKENAGA.HIROAKI

2 仕事の場所が変わりました


コロナ禍を契機とした構造変化の起点は、仕事の場所の変化です。テレワークは、仕事の場所を変えました。仕事は「会社でするもの」から、「会社以外でも会社の仕事をする」ようになりました

家で在宅勤務することも、サテライトオフィスやコワーキングスペースやカフェなどで会社の仕事をするようにも、なりました。さらに旅行中でも、移動先でも、会社の仕事をするようになりました

つまり、ライフとワークぞれぞれが拡張して、融合して、ライフとワークが混ざり合っています。そして人によって、選択でき、組み合わせが違うということになりました

人は、日や時間によって、仕事をこなす場仕事を生みだす場仕事を深める場仕事を広げる場など、仕事の内容によって仕事の場を使い分けができるようになりました。

この図のように、さまざまな場でボーダレス化が進み、新たな需要、マーケットが生まれています

©IKENAGA.HIROAKI

【仕事場が変わりました】 
日によって、働く場が変わりました。ある日は都心のオフィス、ある日は郊外の住宅地の家が、仕事場となりました。暮らしの場であった家が、働く場となりました。またサテライトオフィスやコワーキングスペースやカフェで、仕事をするスタイルも増えました

テレワークで、働く場が
会社と会社以外でのハイブリッドになりました

  
それで、どうなったのでしょうか?ここが大切です

いつも同じ場所で、いつも一緒にいる人がいる

環境で仕事をしなくなった。テレワークでコミュニケーションがとれなくなった、と言い出しました。しかしそれほど、単純な因果関係ではありません。詳しく考えていきます

3 会社の仕事をバラバラにした

仕事には、2種類の仕事があります
バラバラに分割しても存在する仕事と、バラバラにしたら存在し得ない仕事があります
 
別の言い方をすると、チームメンバーが仕事をそれぞれ分担しても

⓵ 時間帯をバラバラにしてもできる仕事
② ひとつの仕事を同じ時間帯でシンクロしながらやらなければいけない仕事

の2つがあります。それを区別して考えないといけないのですが、多くの会社・組織は、それをいっしょくたにしています。それを峻別できていないから、なんでもかんでも、会社に来なければいけないという話になっています。本来は

時間帯をバラバラにして1人でできる仕事ならば
いちばん良い仕事ができる時空間ですればいい

 
一方、時間帯をバラバラにしたら破綻してしまう仕事があります。たとえば総務・経理の機能は9時から17時まではオンワークであるという前提で、会社の他の仕事が動いています。つまりこうです

それぞれの機能が同じ時間帯をシンクロさせて、会社は動いています

だから経理部門全体をテレワークにして、ある人から依頼された仕事は、別の人の用事を済ませてから夜にしますとなると
 
その会社の時間は止まります
 
日本は仕事の流れ、会社全体の影響を踏まえた全体最適、生産性の議論・検討をしないまま、コロナ禍となって在宅勤務・テレワークに入ってしまいました
 
在宅勤務・テレワークには、通勤という不経済はありません。自らの時間も有効利用できます。雑件に邪魔されずに集中して仕事ができます。会社に集まって朝から夕方までみんなが同じ場所に一緒にいなくてもいい仕事もある。行きたくない飲み会に巻き込まれにくい。チームメンバーみんなが一緒にいなくても、やれる仕事は多い。このように
 
そういうテレワークのメリットは多い
 
こういう分脈で、コロナ禍を契機として、「いつでも仕事ができる」という時間革命が起こっています。別の言い方をすれば
 
仕事の時間をバラバラにした
 
このように、コロナ禍から、日本の「働き方」の劇的な変化が進んでいます

4 そんなの、気持ち悪い


コロナ禍に入って1年経ち2年経ち、テレワークはやはり問題が多いね、という声が高まっています
 
いつも一緒にいた人がいなくなった
「密」から「疎」となり
チームワークが弱くなった
コミュニケーションがとれなくなった

だから、2023年5月のコロナ5類への移行で出社スタイルに戻れという声が増えました
 
みんな、事務所に戻ってこい

みんな一緒でないと
肌感覚がつかめない
雰囲気が感じられない
そういう環境が共有できないと
仕事はうまくいかないと、会社は考え
 みんな、事務所に戻ってこい

そんなの、気持ち悪い

みんな一緒でないと
肌感覚がつかめない      → いやや
雰囲気が感じられない       →いやや
匂いが感じられない     →いやや
そういう環境を共有できない →いやや
 
Z世代や若者たちは、いやや、気持ち悪いと思う
 
このように、テレワークの受け止め方は、年代、立場によって、大きく変わっています

5 「いつも」から、「ときどき」に変わる 

コロナ禍を契機としたテレワークによる場の構造変化をまとめます

©©IKENAGA.HIROAKI

「家でライフ・会社で仕事をする」ライフスタイルが崩れ、新たなライフスタイルに変わりつあります。コロナ禍前から大きく変わりつつあります
 
家と会社でのハイブリッドワーク
家と会社とサードプレイス
いつでも、どこでも、仕事ができる
 
いつもいた場所が変わる   
     WHEN・WHERE

いつも一緒にいた誰かが変わる
    WITH・ WHOM

 
「いつも」から、「ときどき」に変わる 

テレワークがどうだこうだというよりも、テレワークが仕事の進め方、会社と家・都市と郊外の関係、家と会社と第3の場所の位置づけが変わる可能性があり、その動きをつかむことが、未来展望において大切です

テレワークによって「会社と仕事はどうなる?」「家と暮らしはどうなる?」「都市と郊外・地方はどうなる?」について、後日、詳細を議論しましょう
 
本日の「第5回未来展望委員会」は以上ですが、次回までの宿題があります。コロナ禍の場と時間の構造が引きおこす変化があります。意外に、これに着目していない人や企業が多いのですが、場と時間の構造変化は、それぞれの「間」、関係性を変える可能性はあります。この関係性の変化こそ、私はコロナ禍を契機とした最大の変化ではないかと考えています。次回の未来展望委員会までに、この関係性がどのように社会を変えていくのかを考えておいてください

©©IKENAGA.HIROAKI

「どんどん深くなっていきますね。最大の変化が『関係性の変化』なんですね。関係性の宿題、頑張ります。本日も、ありがとうございました」と、私たち4名はパワーポイントの関係性の図をノートに書き写しました
 
【ご連絡】 
池永先生にご指導いただき、摂津倉庫グループ若手社員中心になって作成した「コロナ禍後社会を考えるー未来展望・2030年社会はどうなる?」冊子をご希望の方は当社にご連絡ください
【摂津倉庫広報室 (kouhou@settsu-soko.co.jp)まで】
 
次回第7回「note摂津倉庫未来展望委員会」は、来週火曜日に配信させていただきます


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