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tapioca
2024年10月6日 15:41
遅くはないとかいつでもいいとか人は耳障りのいいことを言うけれど今言わなければ永久に口を噤むしかないそんな言葉がいつも私の周りを取り囲んでいる今言うしかないのに飲み込んでしまった言葉が蝕んだ細胞をかき集めたらこの部屋は埋まってしまうだろうどうして言えなかったのって後悔したくなくてどうして言わなかったのかって後悔したくなくて愛を愛を愛のことばを溢れる気持
2024年8月22日 11:30
恋とは断末魔の叫びではないか奇をてらった文言をひねり出そうとしてふとそんな並びが浮かんでくる時間を引き延ばしてみると当てはまるものはたくさんある死まであと一秒なのか一年なのか一光年なのか明日死ぬなら今日の私の言葉は全て断末魔のそれであり必死のセミの叫びもそれでありマンションの廊下に転がる彼の突然の咆哮もやはりそれであり言葉は全て死を前にした命の断末魔の叫びと言えようぞ
2024年7月14日 15:20
世界の縁に触れたと思った手で僕らは時の砂に埋もれてゆく突然砂浜に空いた穴に落ちたみたいに一瞬で生き埋めになってそうして二度と這い上がれなくなる世界の淵に触れたら溢れ出して全てがこぼれ始める入れすぎた珈琲みたいに飲みすぎたアルコールみたいに僕らを汚してゆく恋はいつも僕らを世界の果てまで連れて行ってくれるけどその後僕らは世界にどんどん吸い込まれ引き寄せられ埋もれて溺
2024年4月20日 10:17
知らない、野菜を手に取ってでもそれは、知ってるものと似ている何にも似ていないものは段々と私の世界から減ってきたそのことを苦く寂しく思っているだろうかわからない父の書棚からこっそりでなくヘッセ詩集を抜き取り誰にも言わない旅に連れていく私の日常は肉感を失っている繋がりへの希求は煩わしくなりバランスを欠いているのは世界ではなく私であるかゆるやかに死にゆく誰かを見送る時
2024年4月5日 03:35
その気配に怯えながら愛した血の呪いからも輪廻の鎖からも本能の質量からもついに逃れることが出来なくてもそれがわかっていても君の手を取ったのはどんなに汚くてもそれを愛と名付けるしかなかったどんなに痛くてもそこへ向かうしかなかったあの頃の僕を
2024年3月25日 01:44
何かと関わる手段を何かに倣うことをやめてみたいどうやってそれと関わるかそれは自然と現れてくるもの浮かび上がってくるもの媒介者を限定しなくていいある手段をもって関わることが困難であっても確かに何かと常に関係して生きているのだから僕はどう世界と関わる?僕はどう君と関わる?それを規定した途端全てをつまらなくしてしまう想いの望む姿を探り出して掘り当てていく感情の行く先
2023年12月6日 02:50
君が死んだら僕も死ぬそれって心中って呼ぶかしらいやいや後追いと言うのだよ君を殺して僕も死ぬそれなら心中と呼ぶのかないやそれは無理心中というやつだ無理じゃなければいいのかいそうそうお互い望んで死ぬのが無標の心中の指すところ一家心中はどうなのさ子供は同意していないでしょうそうだね三人以上は複雑だね夫婦心中って言葉はないねそうだね夫婦はたぶん別れるか殺し合うんじゃない
2023年11月8日 06:48
魂とはいつもどこかへ出て行きたがるそして出た先で園を作りその外へとまた出たがる繰り返し繰り返しそうやって浸かっては上がりを重ねて創っては壊しを重ねて拾っては捨てを重ねて入っては出てを重ねて魂とはいつもひとところに留まりたがらないだのに人はいつもそれをどこかへ縛り付けようとしている己を誰かに誰かを己に心を思想に身体を現世にどこにも依らない魂はいつも宙を舞ってい
2023年9月26日 06:21
言葉の羅列お行儀よくそれはあるべき場所に大人しく座っているべきで飛び出した言葉は消しゴムで綺麗にされてゆく美しさは模様均等に配置された目鼻ならどんな軌道を辿ろうとも輝く善は悪の対極にあるべきであり混ざっていては胸が悪くなる水平線に重なりたいのに嵐は駒のようにぶつかり弾け続ける止まって転がることもなくきっとここには重力がない風にさらわれたいのに錨は絆より頑丈な鎖
2023年7月27日 19:05
僕のバスローブがベランダで空に祈ってる袖が速く乾きますようにって僕の小鳥が籠で喋ってる僕の名前 好き 好き 大好き靴ひとつなきゃ傷だらけになる脚の裏で大地踏みしめて小石に悲鳴を上げる僕等にんげん 人間 ニンゲンさ闇の奥で正気でいられるか?全てと切り離された時君に残るものは何だ誰も連れてはいけない門をくぐりどんな言葉で祈りを捧げる知っていたか気付いていたか本当はす
2023年7月19日 00:05
「そんなもんさ」で済ませられるように時が過ぎるのを待っていた「僕はこうなのさ」で逃げられるまで目を逸らしてうつむいた水面に映る顔が問いかけてももう暗いからと後にした息さえ出来ればいいさとひとつひとつ夢を投げ捨てた本当のことはみんなもう埋め立ててしまった命綱が焼き切れて底へと落ちる間だけ僕は心残りと出会う君に言えなかったこと僕に言わせなかったこと聞こえないふりをし
2023年7月1日 09:41
生まれたらもう胎には戻れないそれが悲しいのか悶え苦しみ泣く胎が空っぽになり次はまた別の場所から栄養を吸い取られるタンクになる変化は強制され上手く変態を遂げない蛹は死ぬ生まれるか死ぬか時はそのどちらかへと命を押し出す地球にとどまる人間が宇宙へ生まれ出ることがあるのなら二度と呼吸を必要としない身体へと変化するのだろうか筋肉も骨も無用となり臍の緒のごとく剥がれ落ち
2023年6月13日 01:05
真新しさも一瞬ですぐに始まる粗探しパターンに飽きてこないかいぐるぐる廻って酔わないかい初めてだから信じることさえ知らずに愛した時が流れるものだとも雪が溶けるものだとも口を開けて待っている闇に恐れもまだ感じない光に触れる前ならば音と肌のせかい何も言わなければ嘘もつかなくて済むね知ってるなんて思っても思ってるだけさ僕だけだ静かなんだここは他に何も要らない隣に
2023年4月16日 05:41
そんな覚えはないというのに僕等は何故か確信している当然のように僕たちに与えられるべきものとして完全な愛も平和も終ぞ味わうことなどないのに求めている期待している苛立っている世界に投影している平和じゃなきゃいけないんだ愛されてなきゃいけないんだ理解されるべきなんだ満たされるべきなんだなぜ?エデンの記憶が僕等にささやく知っているでしょう?完璧な調和をただ光に包まれ