せつみすい

ショートショートを中心に、物語をかきます。 雪味水、、美味しくなさそうな名前です。

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最近の記事

2000字のドラマ『その先が気になって』

「では次、山田桃香さん。」 「はい!私が御社を志望する理由は……」 ーーーーーー 「はぁ〜、まじふざけンな。どれだけ対策してきたと思ってんだ!それを立った3つの質問で落としやがって。」 「なんだよ桃香、また落ちたのか?」 「うっせぇ、健二はいいよなぁ~?あの角藍商事に受かったんだから。」 「いやいや、俺だって大変だったんだぜ?適性試験とか面接とか対策してさぁ。」 「あぁ、もういい。とりあえず飲も!もう今日は就活とか諸々考えたくない。」 「社会人っぽいセリフだな

    • 『祭り』

      僕はいつもうつむいていた。 周囲の顔色や反応をうかがっていた。 僕は話ができない訳ではない。 ポト、ポトと。 口下手なりにポト、ポトと。 話すことはできるのだ。 みんなは優しいから、僕に近づいてきてくれる。 改めて、人間に生まれてよかったと感じた。 弱肉強食の野生の世界では、真っ先に見捨てられるタイプだろうから。 『祭り』 「なあ、君!」 僕は急に呼びかけられ、少し驚き、警戒しつつ、「なんですか?」と聞き直した。 僕は今、イベント会場にいる。 まだ世

      • 『飛び級』

        「今、好きな人いるの?」 僕がそのような言葉を口にしない限り、恐らくこの関係はこの先ずっと変わらない。もしくは……。 『飛び級』 僕は彼女の顔をあまり見たことがない。 同じ教室内、30ほど並べられた机 ランダムに決まる席順 僕は一番左の一番後ろの席になった。 彼女の席は僕の席から右方向に桂馬を2回動かした位置にある。 だから僕たちは普段話さない。 これは言い訳じゃない、と思う。 僕らの中学は、白と灰の集合住宅が並ぶ、住宅街の中に位置している。 田舎住みの人に

        • 『患者からの挑戦状』

          僕が口下手になったのは、あの頃のいじめが原因だと思う。 でも、人が怖いから人と関わらない訳ではないんだ。 先生は僕を治せますか? ねえ、先生? 『患者からの挑戦状』 「僕は昨日、他人と話せなくなった原因らしきものを見つけました。でもこれを先生には話したくない。」 「なんで?って、まあ、あれです。ゲームですよ。もし先生が導き出した答えと僕の考えが一致すれば、それが人と話さない真の原因って言えそうですし。」 「最初に言っておきますが、確かに私は5年前の中学3年生の時

          『よそ者』

          「タンッ!」 みんな、僕と彼女を見てかたまっている。 まるで、教室にいるみんなが、彼女に叩かれたようだった。 『よそ者』 彼女は休み時間中、いつも教室の角で本を読んでいる。 丸い黒縁眼鏡に長い黒髪、背丈は平均くらい。顔立ちは良い方だと思う。容姿は漫画によく出てくる文学少女そのものだった。 「おい、アイツまた一人だぜ。」 「そりゃそうだろ。転校してきてまだ1週間弱さ。溶け込めないのも無理はないよ。」 僕は、ニヤけながら人を見下すトシキに対し、冷静な言葉を投げる。

          『よそ者』