おばあちゃんへ
今年のアカデミー賞、注目されていた『ミナリ』で助演女優賞を受賞したユン・ヨジョン。
韓国の作品についてはドラマと映画だと、圧倒的にドラマの方が多く見ているが、彼女に関しては映画でよくその姿を見つけていた。
最近だと『チャンシルさんには福も多いね』でもヒロインに関わるとても重要な存在を演じていたし、他にもいろいろ・・・何でこんなよく知っているような気分になっているんだっけと考えていたら、韓国映画では唯一、ほとんど全ての作品を見ている(苦手は暴力描写がほとんどないので)ホン・サンス監督作品の常連だからだ。
前述の『チャンシルさん〜』の監督はもともとホン・サンス監督のプロデューサーだった方で、だから作品自体にも「あ、ホンサンス風味」と感じる部分は所々あるのだけれど、ユン・ヨジョンの姿も影響していたのだなあ。
『ミナリ』ではエンディングに「すべてのおばあちゃんに捧ぐ」と出てくる。
この作品はアメリカでの評価に比べると、正直日本は少し穏やかな反応であり、その理由はやっぱり移民、ということに対する馴染みがないからというのが大きいと思う。
でも、おばあちゃんに対する思いは万国共通じゃないだろうか。
私自身は、この物語はもちろん移民の話ではあるけれど、厳しい時代をしなやかに強く、自分にとっての必要なもの、の横でそっと生き抜くこと
を描いていると感じていた。それはタイトルのミナリ(セリ)のことであり、おばあちゃん、という存在の話でもある。
そんな世界共通のおばあちゃんが受賞したのは、とても喜ばしく、誰もが自分だけのおばあちゃん、を思い浮かべるのかもしれない。