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No.11【配布後のよもやま】どうやら珈琲にも性格があるらしい

装い新たになった世田谷十八番No.11、
お手に取っていただけましたでしょうか。

インタビューした先達(せんだつ)は、橋倉ビーンズ珈琲の店主・橋倉功さん。今回は、橋倉さんに関するこぼれ話をお届けします。


コーヒーを淹れ続けて見えたもの

実は我が家、数年前から橋倉さんのお豆で淹れたコーヒーを飲んでいます。
というのも、コロナ禍で在宅勤務になった夫が、家で豆を挽いてコーヒーを淹れるのが日課になりまして。時間があれば自転車を走らせて、様々なお店でお豆を買うようになったのです。
もはや、世田谷中の自家焙煎店を回ったのではないか思うほど。
その時に、橋倉ビーンズにもお邪魔していました。

夫は少なくとも1日に1回、多い時は1日に3~4回コーヒーを淹れていたので、この5年で軽く2000回はドリップしているでしょう。会社員なんですけどね、もう素人とは思えないほど美味しく淹れてくれるんですよ。

そんな夫が、橋倉さんのお豆でコーヒーを淹れている時に言いました。

橋倉さんってすごく優しい人だと思う

コーヒーを淹れているうちに、そのお豆を焙煎した人の性格もわかるようになった(気がする)のだそうです。

ざっくり言うと、すごく淹れやすいお豆もあれば、クセがあって淹れるのが難しいお豆もある。それが、そのお豆を焙煎した人から受ける印象とほぼ同じ、なのだとか。

クセがあるとか難しいとかいうと悪く聞こえるかもしれませんが、そういうことではないですよ。抽出温度や注ぎ方、抽出時間などの各工程をそのお豆に合ったやり方にしないとうまく淹れられない、ということ。
淹れやすいのも難しいのも、ひとえに珈琲豆への愛の表れですから、どれも素晴らしいのです。

夫はそういう違いを楽しむタイプ。淹れやすいなら嬉しいし、難しいお豆をうまく淹れられた時の喜びもある。私から見ると、ものすごい笑顔で千本ノックを受けている感じです。
そのコーヒーを飲む私は、千本ノックの恩恵を受けまくりなんですけどね。

それを踏まえて、橋倉さんの珈琲豆はとても淹れやすい。「1人でも多くの人にコーヒーを楽しんでほしい」という大きな気持ちを感じたのだと言います。
千本ノックを続ける夫だからこそわかる感覚なのでしょう。

でも、これってコーヒーの真髄なのでは?と、私はひそかに思っています。

そんなわけで、世田谷十八番として橋倉ビーンズさんにインタビューすることが決まって、とても楽しみでした。


橋倉さんと珈琲豆の関係

店内は、扉を開けた瞬間から空気がとても柔らかい。そして、お豆の種類がとてつもなく多い。

これはまだ半分ぐらい

ご夫妻は、一瞬物静かな方々かなとも思いましたが、全然違いました。
口を開いた瞬間から言葉に温かさが溢れていて、目をくしゃっとさせる笑顔も素敵。
そして、お二人ともおしゃべりがお好き。

「お客様の話を聞くのが楽しみ、お客様に励まされている」そう何度も仰っていたけれど、お二人のおしゃべりにこちらが元気をもらいました。

さらに印象的だったのはこの言葉。

届いたときの生豆の性格を見抜いて
どの程度焙煎するかを決めている

(左)生豆の袋を開けてくださる橋倉さん
(右)これが焙煎前の生豆       

そう言いながら、生豆をそっとすくって掌に乗せる橋倉さんを見て、私は確信しましたね。

この人はお豆と話をしている

橋倉さんには笑って否定されるかもしれないけど。
きっとたぶん絶対そう。
だって、掌に乗るお豆たちがとても心地よさそうなんですよ。

焙煎仕立ての珈琲豆

そのお豆たちは店内の焙煎機で煎るわけですが、焙煎機に向かうとき、柔和な橋倉さんの目がスッと鋭くなる様がとてもカッコよい!
焙煎にどれほどのこだわりを持っているかは紙面にも書いているので、よろしければお読みくださいね。

橋倉さんのお話を聞けば聞くほど、焙煎とは珈琲豆と密にコミュニケーションをとることなのだ思いました。

そう思うと、夫が言っていた「お豆を見ればお店の人の性格もわかる」の意味も理解できる気がします。


淹れやすいコーヒーとは

奥様がコーヒーを淹れてくださったのですが、これがまたおいしかった!

イートインはないけれど
インタビューの時は特別に淹れてくださいました

何かこだわりがあるのか聞いてみたのですが、
「えー、普通ですよ。最初に蒸らして、あとはゆっくり注ぐことですかね」
とのこと。

たしかに一般的によく言われている淹れ方。
でも、これこそが重要だとわかったのです。

夫が言っていた「淹れやすい」は、きっとこれ。特別なやり方でなくても、皆が家でやっている方法で淹れたらそれが一番美味しい。
そういうお豆を焙煎しているのが橋倉ビーンズさんなのです。

ただ1点気になったのは、橋倉さんは終始コーヒーを「淹れる」ではなく「点(た)てる」と表現していたこと。
お茶をたてる、の点てる。

私はまだ、あえてこの言葉を使う真の意味を理解できていません。でもそれがわかるとき、橋倉さんのコーヒーのさらなる奥深い境地を知ることができるような気がしています。
それは、千本ノック好きな夫にお願いしよう。

つい先日、久しぶりに橋倉ビーンズさんへ行ったら、店内がクリスマス仕様になっていました。これもお二人で相談して飾ったのかなぁと思うと、それだけでほっこりします。

ご主人が「自分でもいいお店だと思う」「ここに毎日来るから元気でいられる」と仰るお店。

珈琲豆と優しさでできていると言っても大げさではないほどに安らげる場所です。

2024年末は31日17時まで、年始は5日から営業されるそうですよ。
コーヒーに詳しくなくても、相談にのってもらえるし、豆も挽いてもらえますからご心配なく!
駅からは少し距離がありますが、お散歩がてら是非行ってみてくださいね☕️

いつまでも仲良くお元気でいてください

文:Marie Amano

橋倉ビーンズ珈琲
〒155-0032 東京都世田谷区代沢4丁目7−1
営業時間:10:00-18:30  
定休日:水曜
HP:hashikura-coffee.com
instagram:@hashikura_beans_coffee

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