『うつくしい人』限界突破して無職になったHSPの女の子が瀬戸内海の島に4泊5日して何かを置いてきた話
西加奈子さんの小説の中でも特に好きな作品。
後半に向けて心がトリートメントされていく様子が行間から感じられる作品。
作品概要
読むのにオススメのロケーション
三半規管が大丈夫そうであれば、フェリーに乗りながら読むのいいなぁと思ったり。
海が見えるカフェとかホテルのラウンジで読むのもすごく内容とリンクできてオススメです。
苛立ちの傍受
疲労困憊で限界突破した百合さんは
重たすぎる気持ちとスーツケースを引いて羽田空港へ。
そこから高松に向かう便に乗り込んだところで
大声ではしゃぎ、マイペースに荷物収納をして
人待たせの列を作っても気にも留めていない(ように見える)中年女性の集団がいて…
この苛立ちの傍受問題、ほんとしんどいんだよなぁ。
特に閉塞的な空間だと辛い。
「気にしなければいいじゃない」
というクソみたいな正論を吐く人は
とりあえずお口チャックしといてくれ。
傍受機能ついてない人のアドバイスは不要。
それができないからしんどいんだよ。
Wi-Fiオフにするみたく
この本を読んで改めて思ったこと。
Wi-Fiオフするみたいに
適宜HSPスイッチもオフにできたらいいのに
ね。
センサーが常時高性能すぎるからしんどいのであって
思い通りにオンオフできたのならば
HSPの特性ってアドバンテージなのになって。
ちょうどいい他人
詮索されるのはいやだけど、
ちょうどいい他人に身の上話したい時。
感想もアドバイスもいらなくて。
でもそれって相当難しいことで。
脳内会議が進行しすぎてスイッチが入った百合さん
急に3ページにわたって語り出すんです。(p146から)
すると…
「あの、もう一度、ゆっくり言ってください?」
日本語が上手だけど母国語ではないマティアスに早口で捲し立てた百合さんに放たれた最初の言葉。
なかなか理想的な一言だなって。
アドバイスでもなく
決めつけでもなく
聴く気持ちはあることも伝わってくるし
好きなシーンの一つです。
普通の呪い
お金も時間もありすぎて困っているマティアスさん。
お金と時間両方有り余るほどあるって羨ましい限りだけど、そんな彼も大きくて思い呪いを背負っていて…
探し物は
百合さんと坂崎さんとマティアスさんで探し物をします。そんな中で“満タン”になった百合さんに坂崎がかけた言葉。
「ね。ここは、置いていくのに、いい場所でしょう」
って。
旅って思い出作ったり
お土産買ったりも楽しいけど
少しだけモヤモヤ気持ちを置いてくる
のもね。
旅×トリートメント
どちらも好きなジャンルなので
両方MIXされたこの本は
ドストライクど真ん中だったのでした。
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