【わかりやすく解説】介護医療院のサービス内容や入居条件、特養との違いについて
近年「介護医療院」という施設が作られ始めています。名前自体あまり聞いたことがないという人が多いですよね。
この記事では、介護医療院とはどのような施設か、どんなサービスを受けることができるのかといったことを紹介していきます。
医療と介護が必要な高齢者のための施設
介護医療院は、2018年に創設された、日常的に医学管理が必要な重度の要介護者を受け入れる施設です。
今までは介護療養型医療施設という施設が、上記の役割を行ってきました。介護療養型医療施設では「療養」が目的の施設の為「医療」の面では充実していましたが「日常生活」のケア(レクリエーションなど)においては乏しい面が見受けられました。
しかし
入所者の利用日数が長期化しており、医療費と社会保障費が圧迫している
今後さらに慢性期の医療と介護のニーズが増える可能性があり、再編成が必要である
という厚生労働省の判断により、介護療養型医療施設が廃止され、介護医療院が創設されることになったのです。
経過措置として、介護療養型医療施設は2024年3月まで運営することが可能となっています。運営者はその間に、入所者を特養等の別の施設へ移す必要が求めらているのです。
介護医療院って、どんな人が入ることができるの?
ここまで、介護医療院が作られた経緯についてお伝えしてきました。ここからは、介護医療院の入所条件について紹介していきます。
介護医療院の対象となる人は、要介護1から5までの認定を受けた「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」などが必要な人です。
日常的な医学管理とは、下記のような医療的ケアを指します。
喀痰(かくたん)吸引
痰が喉に詰まらないように、吸引装置を使って痰の吸引や排痰を行うこと。
経管栄養
口から物が食べられなくなったとき、チューブなどで必要な栄養を胃に直接注入すること。
介護医療院は入所対象者の状態によって「Ⅰ型」「Ⅱ型」に分けられます。
Ⅰ型の対象者は
重篤な身体疾患を有するもの、身体合併症を有する認知症高齢者などである要介護者
Ⅱ型の対象者は
容体が比較的安定した要介護者
となっています。
特養との違い
「特養でも、喀痰吸引や経管栄養は行ってくれるのではないの?」と疑問に思う人もいますよね。
確かに喀痰吸引や経管栄養は、特養でも看護師が行ってくれます。特養と異なるのは「昼夜問わず医師や看護師がいるので、夜間でも喀痰吸引をしてくれる」という点です。
介護士が喀痰吸引する場合、下記の条件が必要になります。
実務者研修を修了し、介護福祉士の資格を取得する
登録研修機関にて、喀痰吸引等研修の実施研修を受講する
研修修了証明書を発行してもらい、管轄の都道府県へ申請し「認定特定行為業務従事者」として認定を受ける
上記のように、介護士が喀痰吸引を行うというのは、とても難しいです。登録研修機関というのは老健や従来型のような大きな特養では可能なこともありますが、地域密着型特養のように小規模の施設では登録されていない場合があります。
また介護士としての業務を行いながら、実地研修を受講しなければいけないので、時間の確保が難しいです。残業や時間外で研修を受講しなければならないことが多く、介護職員だけでなく、研修を担当する看護師にとっても負担と感じる人が多いです。
その為、認定特定行為業務従事者の資格を取ることは、介護士にとっては非常に高いハードルとなっているのです。
なので、看護師がいない夜間は喀痰吸引を行うことができず、医療的ケアが必要な入居者に対し、十分なケアを行うことが難しいのです。
対して介護医療院であれば、医師や看護師が常駐しているので、喀痰吸引をいつでも行うことができます。
介護医療院で提供しているサービス内容
介護医療院は医療提供施設であるため、医師や看護師、リハビリ専門職、薬剤師に加えて診療放射線技師などの医療職員の配置が必要です。
同時に介護保険施設であるため介護支援専門員や、介護職員などの配置も必須となっています。
サービス内容としては、医療的ケアである投薬や検査、リハビリテーション、喀痰吸引や経管栄養、看取りやターミナルケアなどを行います。
介護分野では、食事や排泄、入浴介助、レクリエーション活動などの生活支援を行うので、医療と介護両方の分野からサービスを受けられるのです。
注意して欲しいのは「料金が他の介護施設に比べて高い」ことです。特に重篤であるⅠ型は医療専門職の人員配置が手厚いので、Ⅱ型よりもさらに料金が高く設定されています。
長期的な生活を想定し、介護医療院で生活できるかどうか考えてから申し込みをしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。この記事では、下記のことについてお伝えしてきました。
介護医療院とは、2018年に創設された、介護療養型医療施設に代わる施設で、医療と介護両方のケアを受けることができる
常時医師や看護師が常駐しているので、夜間でも喀痰吸引を行うことができる
特養など他の施設に比べて料金が高い
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