夫婦の在り方も幸せも“十人十色“でいいと感じられたドラマ『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』最終回
初回の感想をnoteで書いたドラマ『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』。最終回のタイトルは「幸福」。
半年前「夫婦とは何か?」の答えを見つけるために夫婦で週末旅を始めた真澄と仁。
最終回は週末旅の始まりの地・箱根へ再び。2人が泊まった旅館は「箱根・強羅 佳ら久」。これまでのどの宿も素晴らしかったけれど、今回は最終回にふさわしく、まさにラグジュアリーで異空間なお宿でした。
ディナーは、これまでのビュッフェとは違い、懐石料理をベースにした和食のフルコース。
「味覚・触覚・嗅覚・聴覚・視覚・それとここでの体験。“六つの喜びを満たす“というコンセプトなんだって」という仁の言葉通り、五感をフル活用しないとすべてを味わい尽くせないような一品一品まるで芸術品のような料理たち。
「食事って、何を食べるかももちろん大事だけど、やっぱり誰と食べるかが一番大事だったんだなぁって…。ありがとね。仁」
何かを悟りきって覚悟を決めたかのような真澄の表情とこの言葉に、これはまさか離婚に向かって進むの?とちょっと不安になりました。
前回の旅で、本音はやっぱり自分の子供がほしいことを真澄に告げた仁がいたので、最終回の展開が気になっていました。
「仮に女の人生の一大イベントが出産だとすると、すべては逆算でプランしないといけなかったんだ。学校では性教育と一緒に、その辺もちゃんと教えるべきだよ。いつかコウノドリが運んで来るなんて…。そんなファンタジーに逃げてる場合じゃなかった」
真澄のこのセリフはとても深いと感じました。仕事にやりがいを感じてきた真澄だからこそ、女が出産でそのキャリアを諦めなければいけないことに対して抵抗したい気持ちもあっただろうし、恐れもあったかと。
一方で、もしも予想外にコウノドリが運んで来てくれていたなら真澄は素直に子供のいる人生を選択できたのかもしれないとも思えたし、夫婦の人生設計は本当に難しいものだと感じました。
「仁……私は仁からたくさん幸せをもらったよ。だから、仁にも幸せでいてほしい。私は、仁を父親にはしてあげられないと思う。子供がいないってことは、私が死んだら仁は一人になっちゃう。仁はさ、子供を産んでくれる人と、人生をやり直すってことも…できるんだよ」
涙ながらに言葉を絞り出す真澄。やっぱりこう来たか…。私が真澄でもこう言ったと思います。
ここからの夫婦の会話があまりにも素敵だったので、この二人の空気感はドラマを観ないと完璧には伝わらないかもしれませんが、あえてほぼすべてのセリフを書いてみます。
なんだかジーンときてしまいました。
ドラマをずっと観てきて、仁があまりにも優しすぎると誰もが感じたのではないかと思います。
仁が夢だった海外赴任を会社から提案された時「一緒に行かないか? 真澄に付いて来てほしいんだ」と言った…。2人がどの選択肢を選ぶのかあれこれ想像していました。まさか、仁がそれを断る決断をするとは…!驚きでした。
正直真澄はただ自分の仕事を諦めたくないだけの、単なるわがままな妻に映ったときもありました。子供のことにしてもずっとそうでした。
でも、最終回。仁の気持ちはこのセリフに集約されているんだと感じたセリフがありました。
週末旅で毎回、後ろ姿の真澄の写真を撮り続けていた仁。なぜ後ろ姿を撮影してきたのか尋ねる真澄に、
「真澄が見ている景色、真澄ごと全部残したかったんだ。≪愛はお互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである≫(サン=テグジュペリ)」
仁は常に真澄のすぐ傍にいて、同じ景色・同じ方向を見つめながら共に手を取り合い生きていくような夫婦で在りたかったんだと。
もちろん夫婦なんて最初は他人だし、育ってきた環境も違う。そんな2人がお互いの考え方をなんとかすり合わせながら、時間をかけて少しずつ本物の夫婦になっていく…。
子供を持つ選択、持たない選択…人生色々な選択肢があるけれど、夫婦2人が互いに納得し合って同じ方向さえ見つめていれば、きっとそれで十分なんですよね。それこそが″夫婦として生きていくということ″なんだと思えます。
色んな夫婦がいて、幸せの感じ方も人それぞれ。今自分たちが感じていることを信じて生きていけばいいんだと感じさせてくれたドラマ『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』。深い深い名作ドラマでした。
長い文章最後まで読んでくださり、ありがとうございました。