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ドラマ『不適切にもほどがある!』はコンプラなんて何のその!クドカン・ワールド全開の笑えて深い意欲作です!
この作品には 不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが 時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み 1986年当事の表現をあえて使用して放送します
このテロップからスタートしたドラマ『不適切にもほどがある!』。クドカン脚本には阿部サダヲがよく似合います。というか、この主人公・小川市郎役は阿部サダヲにしかできないですね。
「おい!起きろ!ブス!盛りのついたメスゴリラ!」
「うっせぇなぁ!クソじじい!」
こんな親子の“不適切“な会話から始まって、一体どんな展開になるのかと思っていたら後半戦は突然のミュージカル仕立て。でも何でも“ハラハラ“の今の時代に一石を投じる、非常に分かりやすい歌詞でした。
台詞で言うとキツく聞こえてしまいそうな内容も、歌に乗せるとワンクッション置けるような気もしました。クドカン、これは考えましたねー!
昭和はバスに吸い殻入れがあったなんて、そんな記憶がなくてビックリでした!思えば″受動喫煙・副流煙″という言葉も昭和にはなかったんですよね。
学校の職員室、校長室で教師がタバコを吸うなんて今じゃ考えられないですが、昭和は許されていたような気もします。
ワイヤレスイヤホン・スマホ、加熱式タバコ(IQOS)、キックボード、コンビニでタバコを確認する時の年齢確認ボタン・スカイツリーetc…。
令和では当たり前のものが昭和にはなくて、タイムスリップした市郎はさぞやカルチャーショックだったことでしょう。
ワイヤレスイヤホンを見て「耳からうどんが、ひじきが垂れてますよ」。この表現にはお腹を抱えて笑いました。
スマホのことを市郎が「この薄くてツルッとしたの」と言うのもやけにおかしかったですね。
プッツン・積み木くずし・ニャンニャン・生徒を「サル!バカ!タコ!」・うさぎ跳び一周・練習中に水を飲むな!・けつバット・連帯責任・チョメチョメ・足で和式トイレを流す・野球部なら「明日までに坊主にしてこい!」・旦那がかまってくれない族・インテリだからかさついてるのか!・カセットテープのメタルとクローム・セイラーズのトレーナー・レトロフォン・VHS・地上波におっぱい・バックトゥザフューチャー
“昭和のおっさん“ならではの台詞オンパレードと、懐かしの昭和グッズたち…。第1話にして実にこれだけの言葉が出てきました(笑)。
市郎がタイムスリップしたことに気づいて居酒屋でリサーチしている時に、メンタルが限界で一か月休職する予定の社員の件で、人事部の″ハラスメント被害聞き取り調査“について確認されていた秋津くん。磯村勇斗くんは、昭和の“ムッチ先輩“と一人二役。令和でもたびたび登場しそうです。以下、秋津くんの“ハラスメント“と認定されそうな言葉たち。
【期待してるから頑張ってね!】
→プレゼン直前にプレッシャーをかけられたというパワハラ。
【早いね。さすがZ世代(スマホのフリック入力を見て)】
→世代でくくるのはエイジハラスメント。
【カガちゃんを嫁さんにする男は幸せだね】
→バーベキューの時に動かない他の女子社員が、まるで気が利かないみたいな空気になってしまったというセクハラ。
自分としてはまったくハラスメント行為とは思っていないのに「君がどんなつもりでも相手が不快になったら、それはもう“ハラ“なんだよ」
そうなんですよね…。“ハラスメント“は受け取る側の気持ち一つで決まってしまうのが、どこかおかしいと私は思っています。
「こういう時代だから」
しょっちゅう無意識で使っている「こういう時代」。市郎がどういう時代か気になるのも当然ですよね。
「頑張れって言われたら、会社一か月休んでもいい時代なんだ…。頑張れって言われて会社休んじゃう部下が同情されてさ、頑張れって言った彼が責められるって、何か間違ってないかい?だったら彼は何て言えばよかったの?」
「何も言わなきゃ良かったんです。何も言わずに見守って、うまく行ったらプレッシャーを感じない程度に褒めてあげる…。ミスしても決して責めない。寄り添って、一緒に原因を考えてあげれば彼女の心は折れなかった…」
「冗談じゃねぇ!こんな未来のために、こんな時代にするために俺たち頑張って働いてるわけじゃねぇよ!期待して、期待に応えてさ、叱られて、励まされて、頑張って…そうやってかかわり合って強くなるのが人間じゃねぇの?頑張れって言われてくじけちゃうようじゃ、どっちみち続かねぇよ」
この市郎の言葉、これ名言でした。人間同士のつきあい方ってこれこそ根本だと私も思いますが、今は相手との距離感が難しすぎます。
ここからがまさかのミュージカル展開(笑)。でも歌詞がなかなか鋭くて深いんですよね。
♪「だから話し合いましょう〜」
「だけど正しいことが正しいとは限らないわ〜」
「それが組織」
「どんな正義もふりかざしたら圧になる〜」
「多様な価値観が認められる社会。だったら幸せだって叫ぶ俺の価値観も認めてくれよ!それが本当の多様性」
なかなか市郎の台詞は心に刺さります。″多様性の時代″って、どこか偏っていると思いませんか?
結局休職したいという部下の言い分は「秋津さんに叱ってほしかった。自分にだけは頑張って!とか期待してる!とかしか言わないから。女だから諦めてるのかって…。ただ“かまってほしかった“だけなのかもしれません」
って、おいおい!それは単に自分の価値観を元に相手に甘えているだけじゃないですか?親にも叱られたことがないカガちゃんは、本音で人とぶつかり合ったりしたことがない人生なんでしょう。自分の気持ちも言わないで、相手に察してほしいは無理ですよね。でも、こういうシチュエーションって近頃増えている気がします。まさに人間関係が希薄になっている証のような気がします。
「頑張れって言っちゃダメですか?」第1話のタイトルが胸に響きます。
それにしても、阿部サダヲはじめ、娘・純子役の河合優実の中森明菜感溢れる不良姿とか、エロいこと大好きなタイムスリッパーと思われるキヨシ役の坂元愛登。この二人の演技が若いのに昭和臭くて最高です(笑)。
社会学者・向坂サカエ役の吉田羊、シングルマザー・犬島渚役の仲里依紗、第2話以降はもっと出演シーンも増えていくと思われるので、こちらも楽しみです。
喫茶店「すきゃんだる」のトイレの壁の穴から1986年と2024年を行き来できる設定かと思いきや、トイレの改装によってそれがどうやら不可能になったみたいで、ここから市郎が令和の時代に一石と言わず何石投じていくのか期待しています。
何でも″コンプラ時代″にこんなドラマがあってもいいじゃないですか!!
長い文章最後まで読んでくださり、ありがとうございました。