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龍あるいは流

リュウは今日も飛んでいる 雲に紛れて遊んでいる 陽炎のようにゆらゆらゆらゆら 時折雲が、雲…

遠くかみなりが鳴っている
音も光も間隔も不規則に
夜闇の中で遠く遠く……

まるでねこのお腹の中みたいだ
あの不規則な音はノドを鳴らす音
あの不規則な光は獲物を見つけた瞳

時折ねむりを妨げられながら
ねこのように丸くなりながら
夢のように、うつらうつら

種には意思がある 自分はどこで咲きたいのか 明確な意思をもって 産まれた土地で 川や山を越え…

窓際に活けられた一輪の花が 無機質な壁のそばの優しい彩りが 「まだ私はあなたを忘れていま…

君は嘘をつく
キレイな瞳で嘘をつく
瞳を逸らさず嘘をつく
優しく笑って嘘をつく

自分のための嘘じゃない
目の前の誰かのための嘘
だから悪気なく何気なく
ためらいもなく嘘をつく

君は今日も嘘をつく
自分のことすら欺いて
嘘でないような嘘をたくさん
誰かのために嘘をつく

銀河に星を撒く仕事をしている

銀河に星を撒く仕事をしている 永遠に拡がり続ける宇宙の、その先で 暗闇に挫けそうな時は過…

星がひとつ、 君のためなら死んでもいいよ、と笑った 僕は君を目がけて進む 止まれないんだ、そうは見えなくても 君は僕とぶつかり、流れ星になった 泣き笑いの顔で、しょうがないね、と 星がひとつ、空から消えて 無邪気にたくさんの人が願いをかけた

いつか私の育った街を案内しよう
かつては毎日行き来した道を

手と手を取り合って案内しよう
友達と笑いあったたくさんの場所を

いつか私の街を案内しよう
通い慣れた路線を店を

そしていつか私たちの街になるように
だからいつかあなたの街も案内してほしい

あなたの知らない刻(とき)を…

ねぇ私はあなたの知らない刻を歩いて行くよ あなたの見られなかったさまざまを見て あなたの感…

命を覚えよう

命を覚えよう 心に深く刻んで 命が逃げないように 鎖を短く持って 暴れる心は抑えつけて 檻か…

ロッカールーム

整然と並んだ灰色の箱 こんなどこにでもありそうな こんな誰にでも想像できそうな景色が いず…

遺伝子

私はあなたにそぐわない 何を成しても何度成しても 所詮私はその程度 物差しはいつでも違う …

優しい声が呼んでいる
名前を、名前を
世界に一つだけの声音で

音は夏空に溶けていく
木陰にまで声は響く
はやく行っておやりと木々が言う

名前を呼ばれるのはくすぐったくて嬉しい
少し恥ずかしげに駆け寄って
ただ一つの優しい声音を心に閉じ込める

歴史

今、歴史のなかにいる 誰もが知りうる偉人とともに 誰もが覚える名前とともに 彼は彼女は今、どのように見えるのだろう? キラキラしい光をまとい、神様のように 誰からも崇められているのだろうか? 死してのち広く名前が知られるのなら まだ時代が追いついていないのなら 彼は彼女は一体どのように見えるのだろう? 誰もが覚える名前とともに 誰もが知りうる偉人とともに 今、歴史のなかにいるのに……