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綿帽子 第五十九話

ダンボール、ダンボール、ダンボール、どんどんとダンボール箱が積み上げられて行く。

親父が使っていたオーディオルームに荷物を整理したダンボール箱を運んで行く。
必要なものにはマジックペンで必要とかリビングとか書き込んで行く。
必要ないものにはゴミと書く。

オーディオルームを経由して離れとの間にあるドアから荷物の搬出をする予定だ。

親父の趣味だったオーディオシステムは既に無い。
もう一つの趣味だった釣竿とそのアクセサリー類が残されている。

これも全部捨ててしまえとのお袋からの命令だったが、買い取れるものなら買い取って欲しいので、釣具買取の店をネットで検索する。

予約を取って近日中に来てもらうことになった。

釣具なんかさっぱりの俺は唯一親父との思い出の品と呼べるルアー用のタックルボックスを三つほど残して、他の物は全て買い取ってもらうつもりでいる。

屋根裏部屋に登り、部屋の中からオーディオ関係の品と思えるパーツを幾つか運び出す。
多分真空管だと思うのだが、これもまたオーディオマニアでもない俺にはさっぱり見当もつかない。

親父が集めていた品なので、多分価値があるんじゃないかな?くらいには思っている。

結局俺は親父の趣味には全くついて行けてないというか、上手く説明できないのだが親父と同じ路線のものを深く追求しようとは思わなかったのだ。

親父の影響を受けて飛び込んだジャズの世界も、もしかしたらそんなには好きではなかったのかもしれない。

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