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綿帽子 第二十三話

「お風呂ショッ〜ク!!」

から三日経った。

相変わらず湯船に浸かっても凍えるような思いをするだけで、体調に良い変化は現れない。
全身に渡る痛みは消えず、足裏の痛みも和らぐことはない。

久しぶりに外に出てみた。

最初はゆっくりと、家からあまり遠出をせずに歩いてみる。
通りすがりに近所の人に声をかけられる。

応対はするのだが、今の俺には苦痛でしかない。
足を一歩踏み出すごとに激痛が走るんだから、それだけで気が気じゃない。

何とか耐えながら歩を進める。

首が相変わらず座らずグニャグニャとした感覚が続いているので、物凄く疲れを感じるのだが、それでも歩かなければ前には進めない。

外を歩く時もどんなことに気をつければ良いのか、どれぐらいのペースでどれぐらいの距離から伸ばしていけば良いかさえ分からない。

「心臓弱ってるよ」とか言っといて、どうやって回復させたら良いのかサッパリな上に、歩いては良いのだろうけどいつになったら走れるの?
とか、そう言った考えが全て頭の中で疑問となってぐるぐると回っている。

何のアドバイスもなかったことが、不思議でならない。

その答えはこの日から約2年後にやって来るのだが、この時点での俺には全く分かってはいない。

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