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綿帽子 第五十八話
空は晴れ渡っている。
俺は元彼女と仲良く写っている写真をビニール袋に一纏めにしてから、ネットで検索した写真の処分方法を実践してみることにした。
ネットにはこう書いてある。
塩(粗塩が良い)を振ってからハサミを入れる。
そして丁寧に白い紙に包んでからゴミとして処理をする。
「あれ?ハサミを入れてから塩だったかな?」
まあいいか
どちらにしてもここまで丁寧にやる必要性は感じないし、それに何かこういうスピリチャル的な行動は自分を極端に萎えさせる。
気にしだしたらキリがない。
ちょっとしたやり方の違いで大事に至るようなことを煽る記事をよく見かけるが、そこは気にしない方が良いのだ。
そのまま破り捨てたってよいのだが、自分も一緒に写っている写真の処分だ。
一緒に破るとなると写真といえど自分を切り刻むようで、気が引ける。
「元彼女よ、あなたのことは全く気にしない俺は所詮そんな男だったと諦めてくれ」
多分女子の方がこういう所は大胆だと思う。
俺は今はもうただの空き地と化しているガレージの中央に新聞紙を広げると、その上に持ってきた写真を置いた。
一枚ずつハサミを入れては粗塩を振って行く。
それを半紙で包み、セロハンテープで閉じる。
結構神経を使う仕事だ。
大体俺は不器用で、半紙で包む時に丁度良い塩梅で包み込めない。
最初のうちは失敗したら新しい半紙を取りだして包み直していたが、段々と面倒になってきた。
引っ越しの準備の合間を縫ってやっているのだから、そもそも時間があまりないのだ。
ハサミを入れる場所にも結構気を使う。
俺の神経質な部分が顔を出す。
ようやくペースを掴んできてテンポ良く進み始めたなと思い出した頃、門扉を開けて人が入って来た。
「何をやってんの」
「え?」
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