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ネタバレ全開研究「探偵はBARにいる2ススキノ大交差点」 前作を上回る極上のエンターテインメント

前作もとてもおもしろい作品だったのですが、この「探偵はBARにいる2ススキノ大交差点」は前作を上回る。素晴らしい作品でした。詳細に研究していきます。

ネタバレ全開で行きます。犯人の名前もすぐに出てきます。

結末を知りたくない方はここで左様なら。また会う日までお元気で。

総評

◇4.5点(5点満点)★★★★☆

黒澤明監督についてよく知られた話だが、脚本は複数の人間で書いていた。まず脚本家Aに絶対に切り抜けられないようなピンチを書かせる。それを脚本家Bに渡しどうやってそのピンチを切り抜けるかを考えさせる。
そうやって何本もの名作を残したのだそうだ。

ではここで問題である。

熱烈な人気を持つ政治家の演説が公園で行われ、たくさんの人が集まっている。
ヒロインは大切な人を亡くしているが、彼を殺したのはその政治家だと思っている。
ヒロインは復讐を誓い、包丁を持って会場に来た。政治家を暗殺するつもりである。
主人公の探偵は彼女の意図に気づき相棒と二人でヒロインを追ってきた。

探偵と相棒は二人で以下のことをしなくてはいけない。

◇大勢の人々の中からヒロインを見つける。
◇ヒロインの暗殺計画を阻止する。
◇それらを周囲に気づかれないように行い、彼女が罪に問われないようにする。

条件として探偵は携帯電話を持っていない。
仲間の脚本家からこのようなプロットがまわってきた。
彼女はもう政治家に迫っている。時間はない。

さて脚本家のあなたはどうやってこのピンチを解決するか?


●北海道の魅力と、そこに生きる人々の抱えている悲しさをさりげなく


最初のシーンで探偵はヤクザの相田たちからスキーのジャンプ台の上で縛られて脅されている。のっけからやっかいごとに巻き込まれているわけだが、同時に観客を札幌、あるいは周辺の北海道の市町村の美しさで魅了するというのがこのシリーズの大きな魅力の一つだ。

パート1では冒頭で雪の積もるすすきのの路地裏での乱闘シーンだったが、こちらのジャンプ台のシーンの方がすぐれている。なぜならパート1は機能していない(カットしても作品は成立する)のに対し、こちらのシーンは明確な役割を持っているからだ。

被害者のマサコと親しかったトオルを探しに室蘭の製鉄所の団地を訪ねたシーンでの、団地の情景カットは素晴らしかった。

団地の全景をうつし庭では子供たちが遊び、赤ちゃんを背負う母親、帽子をかぶった老人、遠くにはアドバルーンが浮かんでくる。クロスディゾルブすると同じ団地なのにところどころ朽ちかけている人気のない建物に変わり果てている。

昭和の時代は工場が元気で労働者があふれ活気があったが今ではすっかりさびれてしまったということなのだろう。北海道の人々の抱える悲しさでもあり、同時にマサコや弓子がどんな人生を歩んできたのかが感じられる。「一行のセリフで人生を表現することは可能だ」と誰が言ったか忘れたが、そんなカットだと思う。

前作のパート1では北海道の人々の悲しさを表現するセリフで、放火犯の父親でろくでなしの男(有薗芳記)が「炭鉱が続いていりゃこんなことにならなかった」と泣くシーンがあったが、セリフだけだと「そうですか」としかならないが、映像で表現されたらこういうことかと腹の底にストンと落ちた。

その団地のシーンでは面白い小技が使われていた。

「戸籍は男、心は女」であるトオルがどこにいるのか聞いて回るが、最初団地はここだけじゃないからそんな若者は知らない、と言っていた住人も、「オネエ」なんだけどと尾野真千子がジェスチャーで示すと「だったらチヨちゃんの息子だよ」と住人は思い出す。実家で美容師見習いをしていると教えてくれる。

なにげないシーンだが、これはのちに登場するミス・リーディングにむけた種まきである。

若者と言ってもたくさんいる。しかしこの街には「戸籍は男、心は女」の人は珍しいから目立つ。

と観客に植え付けている。


後のシーンでマサコについて訪ねて回った時、住人は

「子どもがいたような気がするけれど、あれは男の子だったか、女の子だったか……」と思い出せずにいると

相棒の松田龍平の
「女の子みたいな男の子だったんじゃないの」
のセリフに登場人物も観客も納得するが、種まきのセリフによって
「住人たちは普通の子どもは忘れるが、かわった子のことはおぼえている」のだろう
と思い込まされているのだ。


じっさいは男の子と女の子二人がいた。マサコと弓子は実は兄妹でふたりはその街に住んでいた、と終盤で明かされることになる。

●ギャップを楽しむ笑い

冒頭のジャンプ台のシーン。縛られて恐怖に震えているのに、ナレーションは「北の都我が街札幌、こうしてみるとその美しさに心が洗われる」

ナレーションと行動が乖離しているわけだが、ギャップがおかしいギャグがこれでもか、と次々と登場する。

〇上品そうなバイオリニストである弓子(尾野真千子)が「指一本でもふれてみい。チ〇ポかみ切るで、ドチンピラが」と関西弁で凄む。

〇「俺と相棒で真実を暴き出す」と探偵が自信満々に言うその隣で高田はいびきをかいている。

〇ナレーションで「依頼を受けた探偵が取れる最初の行動は充分な休養を取り、頭脳明晰に保つことだ」と言いながら探偵は自分の部屋のベッドで爆睡する。

〇探偵を縛り上げていたやくざの組長が「(離れて暮らしている)お嬢さんはバレーを始めた」との報告を受けると顔色が変わってだらしなくにっこりする。

〇探偵が「この車車検通っているの」と聞くと高田は「ばっちりだよ」と答えるがその瞬間大きな音をたてて煙が出る。

……など

こういう手法は「飽きる」と紙一重なのだが、観客はパターンを覚え安心感を抱く、そしてまた出てくるのだろうと期待するようになる。

そんな積み重ねの効果もあって、次のシーンで私を爆笑させた。


トオルを訪ねた後帰ろうとする3人にトオルが追いかけてくる。「役に立ててください」と金を渡そうとする。

「助かるよ。俺たちスカンピンなんだ」と探偵はありがたく受け取ろうとする、が弓子が止める。

弓子は「あなたがとっておきなさい、君の人生に必要なお金よ」と年上の女性が包み込むようにやさしく微笑んだ後、探偵に振り返って

「おい」と凄む。

探偵は頷くが封筒から手を放そうとしない。

弓子は探偵の手を叩いて、金はトオルの元に戻る。

トオルに対するやさしいお姉さんらしい態度を高い声で、探偵に対するぞんざいな態度を低い声で、尾野真千子は顔をどちらに向けるかで一瞬にして変えていく。

(松田龍平はそばで三人のやりとりを笑いながら見ているのだが芝居ではないような気がする)

あらすじ

「戸籍は男、心は女」のマサコ(ゴリ)がマジック大会の全国大会に出場しテレビで放送された。その二日後に殺された。

なにかと問題児のバイオリニスト弓子(尾野真千子)と出会う。ファンであるマサコの励ましで救われたとのことで独自で真相を探っていた。

弓子は探偵の依頼人となりマサコ殺しを一緒に探ることになる。マサコの生まれ故郷である

マサコはかつて政治家のトチワキ(渡部篤郎)の愛人だったことがわかる。関わったらヤバイ人だとみんな口を閉ざすようになる。ポン引きの「学生」が事件当日マサコのマンションからトチワキが戻っていくところを見たという。

探偵がトチワキを探ると妨害が入る。トチワキの関係者、トチワキを支持する市民団体、トチワキの父親を襲った過去のあるやくざと3方向から探偵は攻撃を受ける。

トチワキの関与は間違いないと疑いを深める探偵。しかし万策尽きた。「刑事告訴しよう。仲間たちが協力してくれるはずだ」それを聞いた弓子は「ありがとう」と言って探偵のもとを去る。

真犯人はトチワキではなかった。ポン引きの「学生」だった。マサコのような人間を嫌悪しスポットライトを浴びたことが許せなかったのだ。

記者の松尾からマサコと弓子は生き別れた兄妹だったことを知らされる。

なぜ弓子が執拗に事件を追うのかやっと腑に落ちた。
探偵は気づいた。弓子がトチワキを殺そうとしていることを……。

登場人物

【主人公】〈探偵〉- #大泉洋
【相棒】高田 -#松田龍平
【ヒロイン】河島弓子 - #尾野真千子

【被害者】マサコちゃん(常田鉄之輔) - #ゴリガレッジセール

【大きな敵】
【ターゲット 政治家】橡脇孝一郎 - #渡部篤郎
【橡脇の秘書】新堂艶子 - #筒井真理子

【小さな敵】
佐山 -#波岡一喜
泥酔男 - #池内万作
野球男 - #矢島健一
市民団体の人々

【腐れ縁 敵にも味方にもなる】
やくざ相田 - #松重豊
桐原組組長 - #片桐竜次
ヤクザの手下ブッチョ - #土平ドンペイ

 【主人公の身近な世界で生きている仲間】
【情報提供者】記者・松尾 - #田口トモロヲ
【マサコの仲間】フローラ - #篠井英介
【喫茶店の店員】峰子 - #安藤玉恵
【客引き】源ちゃん - #マギー
【客引き】モツ - #徳井優

【客引き 意外な真犯人】学生 - #近藤公園

監督 - #橋本一
原作 - #東直己 『#探偵はひとりぼっち』(#ハヤカワ文庫)
脚本 - #古沢良太 、#須藤泰司


詳細分析

★オープニング【探偵はスキーのシャンプ台の上でやくざの相田の手下たちに縛られている】(ピンチ)

ナレーション「北の都我が街札幌、こうしてみるとその美しさに心が洗われる」
 →ナレーションと行動が激しく乖離している面白さ

前作同様冒頭でいかにも札幌らしいロケ地で魅了する。舞台となる美しい街に観客は連れていかれ観光気分を楽しむことができるのも本シリーズの魅力である。

前作は夜のすすきのの路地での乱闘だったが、本作の方が優れていると思う。なぜなら前作は作品の中で機能していない(そのシーンがなくても作品は成立する)、このシーンは作品全体の中でちゃんと役割を持って機能している。

起【友人のマサコちゃんが手品の全国大会に出る。その後殺される】(ピンチ)

●フローラの店
でマジックを披露するマサコ。趣味で始めたが本格的にのめりこんでいく。

●バー
探偵大会にでることを勧める。
マサコ「迷惑をかかる人がでてくる」
 →当初政治家のトチワキと思われていたが、妹の弓子を思っての事だった。

●マサコはマジックコンテストで全国大会に出場する。

●フローラの
泥酔した男が暴れる。
探偵が助けに来る、一度は倒すが銃を乱射する。
裏口から逃げようとするがビールケースがふさいでいてドアが開かない。 →小さな伏線。終盤市民団体と乱闘になった時ビールケースのため高田が店に入るのにてこずった

高田が店にやって来る。「なんのイベントだ」ととぼけた表情。男から銃を取り上げ引き金を引く。本物だったことに激しく驚く。
 →偽物だと思っていたところがおかしい

高田、男を倒す

〇省略の効いたテンポの良いカット割り
高田蹴る→泥酔男倒れる→高田決めのポーズ→(シーン替わり)相田のアップ→泥酔男、手下に抑えられて血だらけになっている

●ビルの屋上
泥酔男はやくざの相田の手下たちに殴られている。
男は組の金を持ち逃げした。

探偵は相田に貸しを作った。

「チャカはどうした?」「捨てちまった」
 →その後拳銃は出てこない。このセリフはいらないのでは?

この男はこの後殺しはしないが生かしはしない。

→泥酔男は機能していない。(この後登場しない。作品全体に影響を与えない)
→このシークエンスは探偵は相田に貸しを作ったということだけか。

この時点では探偵は相田に対してアドバンテージを持っているが
いずれ探偵は相田からジャンプ台から縛られることになる。
どんな逆転があったのか、観客は知りたいと思う。

●マジック大会
中継されるマサコ。
店で応援する探偵、高田、フローラそのほかの仲間たち。盛り上がる。
ナレーション「二日後に殺された」

楽しいエピソードのあと殺される。天国から地獄へ。
(事件 物語の核)マサコが殺された

●教会
マサコの葬儀。
(よく考えてみれば葬儀に弓子が列席していないのはおかしい。普通は喪主として取り仕切るだろう)

●回想 店 
戻ってきたマサコ。仲間たちから祝福される。
首にかけていた十字架にキス。
 →アップで映し印象付けるがその後大きな役割は果たしたか?
 →初見では気づかなかったが、室蘭の実家にキリスト教関係のものが放置されていた。マサコは信仰をずっと持ち続けていた。

●ゴミ置き場
横たわるマサコの死体

●マサコの部屋
十字架
仲間たちと遺品整理
(バイオリニストとして)マサコが河島弓子(尾野真千子)のCDを何枚も持っている

★【探偵は女に溺れて仕事をおろそかにしていた コメディリリーフ】
ゴージャスな女に溺れる。エロシーン。
ベッドから出られない。いくつものナマ卵を飲む。
ススキノの街にも顔を出さなかった。

●太鼓
夏が終わった。


●雨の道
女「金もねえくせに格好つけてんじゃねえよ」とタクシーで去っていく。
(ギャグ)「金はなくても愛はあるから」と叫ぶ

 
おかしかった。しかしなぜこのシーンはおかしいのだろう?

雨が降っていて傘もささない過酷な環境。
探偵は泣きながら女に懇願する。
おそらく本当の愛ではないだろうし、探偵にとってはそんな女と別れた方がいいだろう、と観客は考える。

しかしいまは本人は本気で彼女を愛していると思っている。
……からおかしいのだろうか?


探偵本人は「愛がある」と思っている。
それ以外のほぼ全員が「本当の愛であるわけがない」と思っている
からおかしいのか?

→女性の裸が出てくるエロシーンをコミカルに描く。必然性のないエロはリスクが大きいと思っているがこのシーンは嫌悪感は感じなかった。

プロットポイント 自堕落な生活は終えて仕事に戻る

承【マサコ殺しの捜査を再始動。皆口が堅い。マサコが有力な政治家の愛人だったことがわかる。バイオリニスト弓子(尾野真千子)と出会う。自分で真相を突き止めようとしていた。探偵の依頼人になる】

●探偵、マサコを思い出す
自分の頬を平手打ちする。

●牛舎 藁の上
高田に電話。始動すると電話。
高田の本業は酪農を勉強する大学院生である


●テーマ曲、タイトル「人口190万、アジア最北の大歓楽街~」と決まり文句。
テーマ曲はホレスシルバー「Song For My Father 」によく似てるね。まあいいけど。

●フローラの店
マサコ殺しの捜査を再開すると告げるがフローラをはじめホステスたちはみんな冷たい。口を閉ざしている。
いままで姿を見せなかった探偵の薄情さに対する怒り。

もうひとつの大きな理由。

店の片隅に座る女。サングラスをかける。弓子(ヒロイン登場)

●すすきのの路地
客引きたちに挨拶、ゲンちゃん、モツ、「学生」(真犯人)

学生「オカマなんて所詮真っ当な生き方してないですよ。」
探偵「そんな言い方ねぇだろ?マサコちゃんの街の仲間じゃねぇのかよ。」
→学生は差別主義者。真犯人である彼の悪い印象付ける。しかし演じている近藤公園が童顔のためそこまでの嫌悪感を感じない。

政治家が絡んでるって話なんだわ。→トチワキの事
マサコちゃんは政治家の愛人だった。政治家の闇に触れて消された。

「どうせガセだろ」→(シーン替わり、バーで記者の松尾がこのセリフを受ける)「それがガセでもないかもしれんのだよ」

●バー
(新聞記者・松尾から情報をもらう)
トチワキ(渡部篤郎)圧倒的な支持される政治家。脱原初のリーダー。
男女両刀使いで陰では有名。マサコは以前愛人だった。

回想、マサコ「自分が有名になったら迷惑がかかる人がでちゃう。」
→それは最初政治家だと思ったが、実はそれはバイオリニストになった妹のことだった。

電話「トチワキのことでオタクの社長と話がしたい。そう伝えてくれ」
 →社長はだれか明らかにしない。相田の親分の事だろう。
 →相田たちは探偵がトチワキを探ろうとしていることをこの電話で知る。
 →顔を突っ込むなと警告するために探偵をジャンプ台でしばりつける

女の指。(弓子だろう)

●マンション
(ピンチ?)
探偵の後ろ女が後をつけている。

エレベータが開き、若い男が出てくる。男はバストサイズ。
弓子は若い男とぶつかった後エレベーターに乗り込む。
 →若い男はエキストラだったが、印象が強くて意識が彼にむいてしまう。ぶつかることで何かが変化するわけではないし、エキストラはいないほうがよかった。(登場させるのであればそのことでなにか変化しないといけない)

「怪しすぎなんだよ」と探偵は弓子をとりおさえる。フローラの店から気づいていた。

弓子、スタンガンを探偵の股間に当てる。

探偵、弓子を殴って気絶させる。

「使い物にならなくなったらどうするんだ」とパンツの中をみて「しっかりしろ」と自分のものを叩く。固く伸びているのがわかる。(ギャグ)

帽子とサングラスがとれた弓子の素顔を見て探偵驚いた表情。
 →探偵は尾行してきたのは男だと思っていた。だから殴った。ということか?

エレベータが開く。高田が立っている。
気を失って倒れている弓子とズボンを脱いで立っている探偵。
「これはだめだろ」と高田は探偵を殴る。

●弓子の夢 バイオリンを弾いている弓子(バイオリニストとして)
●探偵の部屋
探偵と高田、眠る彼女の顔をCDと見比べてバイオリニストかどうか判別している

「指一本でもふれてみい。チ〇ポかみ切るで、ドチンピラが」と関西弁で凄む。
 →上品にバイオリンを弾く姿と下品なセリフのギャップ

●喫茶店
「化粧を浴びて2割増し、スポットライトを浴びて3割増し、バイオリンで5割増しだ」
 →コンプライアンスの厳しい現在ではできないセリフかも。

おいしそうにナポリタンを食べる弓子。おかわりをする。
 →弓子はこの店のナポリタンが大好物だが、探偵たちに別れを告げるシーンではナポリタンを食べない。

店員の峰子は弓子が気に入らない様子。近づいてくる峰子、太もものアップ、胸のアップ。
 →激しくやきもちを焼いている。

「マサコさんは私の大切なファンよ。昔からファンレターを何通もくれた」
警察の捜査が進展しないことに業を煮やし、自分で犯人を捜すことにした。

「誰かが勇気を持って動き出せば、あとに続くものが出るはず」
 →弓子の原動力。何度も出てくるセリフ。

いちファンのためにどうしてそこまでするのだという探偵に対して
「いちファンの励ましのおかげで今の私がある。そういうことだってあるの」
  →いいセリフ

弓子は探偵の依頼人になる。
「俺と相棒で真実を暴き出す」その隣で高田はいびきをかいている。(ギャグ)
 →威勢のいい言葉を口にするが、行動は怠惰であるというギャップ

連絡先の交換。バーのカードを渡す。
「俺はたいていこの店にいる」探偵の決めセリフ。

弓子「携帯持てや」
 →原作が書かれたのは1990年代。現代の観客の誰もが感じることについてのエクスキューズ。(持たないのが主義という人はたしかにいる)

転 探偵はトチワキを疑う。トチワキにまつわるものたちが次々と探偵に襲い掛かり、探偵はトチワキの関与は間違いないと確信する。
★【トチワキが怪しいと捜査を始めたら次々と敵が襲い掛かる。トチワキ関係者、反トチワキ派、狂信的に支持する市民団体】

●探偵の部屋
ナレーション「依頼を受けた探偵が取れる最初の行動は充分な休養を取り、頭脳明晰に保つことだ」
爆睡する(ギャグ) 
→セリフと行動のギャップの面白さをついたギャグが何度も繰り返される。観客はパターンを覚えて安心感を抱く。また同じパターンのギャグが出てくるのだろう、と期待するようになる。

●部屋
ノックされる。「ずいぶん早かったな」と高田だと思って出るとやくざだった。
手下に殴られる。

●ジャンプ台
サッカーボールをこなすと下まで転がっていく。
(ピンチ)ジャンプ台で縛られている。

冒頭に戻る。
→観客はここでやっとなぜ探偵はジャブ台で縛られていたのかを知る。

社長がお怒りなんだ。

探偵がトチワキを探ろうとしていることを知って、スキー場でジャンプをさせたこの件には立ち入るなという脅し。

「俺はマサコちゃんの死の真相が知りたいだけ。あんたらには迷惑をかけない」
探偵は許されるが手下があやまってロープをほどいてしまう。
探偵は落ちていき、ジャンプをして無事着地する。(体を張ったギャグ)

着地して、滑って来る探偵。
恐怖にふるえている表情が最高におかしい。

●車の中
組長と探偵。
昔酔って秘密を話してしまった。

組長はトチワキの父親を襲って再起不能のさせた。それは組の屋台骨を動かす秘密になっていた。
 →このことで逮捕されておらず、知られると組が潰される。だから探偵がトチワキと関わることを警戒した。
 →昔の暴力事件を蒸し返されるのを恐れて、やくざは探偵を妨害する

お嬢さんはバレーを始めた、と報告すると顔色が変わってにっこりする。
 →こわいやくざの顔と、だらしない親バカの顔。ギャップをついたギャグ

相田「シンドウツヤコには気をつけろ」
先代の愛人で女帝と恐れられている。
トチワキを支える父親の愛人。女帝シンドウの登場
→シンドウはそれほど活躍しなかった。弱くないか?探偵とシンドウが対峙した時に彼女の哲学や凄みを感じるような言葉が欲しかった
→バカ殿を守るためなら何でもやる。→派手な攻撃は彼女の指令

 ●探偵の部屋
ポン引きたちが勝手に入ってたむろっている。
「K点越えに挑戦してたんだよ」

「じゃあカニ食べとけ」(伏線)
→ラスト尾野真千子に刺されたことを、毛ガニをさばこうとして誤ってお腹を刺してしまったと嘘をつく。

「マサコちゃんのマンションの方から戻ってくるところを見た」という学生の目撃談。 (彼が犯人)

●探偵と高田
彼は学生みたいな顔してるから学生と呼ばれている。妻はピンサロで働かせていて自分はギャンブル狂い。ガキには暴力って厳格なパパだよ。でもここで男気見せるとはね。
→犯人に悪い印象を与える

●ビル
高田「誰かさんが言った通りだな。誰かが動けば後に続くものが出るってな」
 →弓子のセリフ

シンドウの姿を写真で撮る

●焼肉屋
(バイオリニストとして)スポーツ新聞にスキャンダル。ホストクラブで泥酔

●店の外のトイレ
(ピンチ)
集団に襲われる。
バットで殴られる。往年の選手の物まね「マルカーノ」
高田が助ける。道で乱闘。

駐車していた車の下に潜り込むが男たちにどかされる。
高田に助けられて逃げる。市電に乗り込む。

喧嘩のことを「運動会」とよぶ。
 →しゃれたセリフ

●市電
新聞屋のおっさんが言ってた。お前狙われるって。

松尾に電話。怒っている。誰かが探偵の名前をかたって記者クラブに電話をした。マサコちゃん殺しのトチワキ犯行説の決定的証拠をつかんだと、松尾に知らせてほしい。そのことは知れ渡った。(おそらく弓子が電話)

車内アナウンス「携帯電話はご遠慮ください」

高田「電話一本でハチの巣をつつくような大騒動になった」
 →こうなることは弓子の狙い通り

トチワキが絡んでいることは間違いない。

(ピンチ)路面電車にマスクをした集団が待っている。
 →観客は彼らが探偵と高田を襲うと予想する

なんの気なくシートに座っている探偵と高田。
電停に到着。窓越しにマスクをした集団が立っているのが見える。
 →探偵と高田は集団の存在に気づいていない。観客が知っていることを登場人物は知らない。観客は優越感を感じる。

ずいぶん風邪流行ってるんだな。

車内で乱闘になる。

アナウンス「車内はお静かにお願いします」

→「路面電車に集団が乗り込んできて、主人公に襲い掛かる」とはなかなか斬新。

路面電車に並走する軽トラック。
相田のものだった。
探偵と高田、乗り移って難を逃れる。
 →相田とは腐れ縁で、敵にも味方にもなることがある。

路面電車の窓からたくさんの男たちが顔を出している。探偵を逃がして悔しがっている。その姿がおかしい。(ギャグ)
 →なぜこれがおかしいのだろうか

◎路面電車での乱闘シーン。このおかしさはなんだろうか
・路面電車の存在がはかない。
日本では大部分が廃止に追い込まれた。線路の上のみという限定的な動き。小さく見える車体(実際は小さくない)
はかない路面電車の中で暴れられ、電車がかわいそうに感じる

・がらがらな車内が一瞬で満員状態になる状況の劇的な変化(現実の通勤電車ではよくあることではある)
・なぜか探偵が電車に乗ったことを集団が知っているという非現実的なこと
・狭い空間で敵も味方も窮屈そう

●サウナで探偵と相田
探偵を狙っているのは3グループ
トチワキ陣営、反トチワキ陣営、フリーの市民団体(トチワキの熱狂的な支持者)

探偵「なんで反トチワキ陣営が俺を襲うんだ。手を組んだらうまくできるかもしれないじゃないか」
相田「しきっているのが花岡組だからな」
探偵「花岡組か!」と納得する。
→ここは理解できなかった。花岡組はシリーズで登場する探偵と敵対する組織だがなぜこの件で探偵を狙うのか動機が分からない。
ウィキペディアにはトチワキに恩を売ろうとしているとあるが、恩を売ろうとしているのはフリーの連中と相田は言っている。

相田「愉快な状況だな」しゃれたセリフ。

相田は「このまま着替えずに出ろ。あやしい動きをする男がいた。気のせいだと思うがな」と注意を与える。
 →スキー台に縛り付けたり、路面電車で助けてくれたり、危険を教えてくれたり 敵になったり味方になったりする相田。
 →このときチンピラから借りたであろうかわいいジャージを室蘭まで着続ける

●バー
オセロをしている弓子と高田。
どや顔をするアップ。かわいい表情を見せる。
 →なにげないカットで、女優をかわいく撮ろうと、俳優も作り手もこだわっていることが想像できる。こういうカットで観客の心臓をつかむのだ。重要である。

探偵がやってくる。
黄色い可愛いジャージを着ている。アップリケがついている。(ギャグ)
 →なぜこのカットが面白いのか
 なぜ彼が自分の服を着ていないのか観客は理解できる。(サウナで敵を避けるためにやくざの手下から衣装を借りた。借りるところは描いていない。観客は想像力で補うことができる)
 いかついやくざとはギャップのあるかわいらしい柄。
 それでいながら若いやくざだったらこういう柄を好みそうだと納得できる。

 探偵は弓子に記者クラブに電話したことを怒る。
「犯人につながる連中が動き出すと思ったの」
 →重複。路面電車の中ですでに説明されている。

怒る探偵に弓子は逆切れ。なかなか真相をつかめないことにイライラしている。

男が入ってくる。鼻をかむ。
→あやしいけれどただの風邪を引いた客。無駄なくだらないシーン

ここまでのまとめ46分/119分
●死んだマサコはトチワキの愛人だった。
●探偵はトチワキに目をつけて。彼を探りはじめた。
●マサコが死ぬ直前トチワキと会っていた。
●トチワキの関係者は探偵を止めようとする。
●反トチワキの人間はヤクザ。彼らもまた探偵を止めようとする。
●トチワキは民衆からカルト的な人気を得ていた。フリーの人間もまた探偵を狙う。
 探偵は3方向から攻撃を受ける

室蘭編
★【マサコの親しかったトオルを訪ねて話を聞く。トチワキとの関係をぽろっともらし脅された。
 マサコの出身地が室蘭だったことがわかり室蘭を訪ねる。住人は男の子か女の子が記憶があいまい。
帰りに即天道場の男に襲われる。バット男に襲われる
トチワキとマサコは殺害当日に会いバラの花束をうけとっていた】
★【男二人と女一人のロードムービー】

●クリーニング店
戸籍は男、心は女であるフローラに声をかける。「安太郎くん」と本名で呼ぶと怒る。「うるせえんだよ、お前はよお」男のように凄む(ギャグ)
 →なぜこのアクションが面白いのか
 現在の女性の姿からもともとの姿である男へと、怒る前と怒った後の優しい態度から暴力的な態度へ、一瞬にして正反対の姿に変化する。そのギャップが笑いを産むのだろうか。

 普段から上品な女の子(こっちが本当)が暴力的な声で凄む(こっちは嘘)は面白くない。
 上品なふりをしている女の子。ぶりっこ(嘘)が暴力的な声で凄む(本当の姿)は面白い。
 嘘の姿の化けをはがして本当の姿をあからさまにすることが笑いを産むのだろうか。

 確かにフローラは偽物のつくった姿であり、安太郎が生まれつきの本当の姿である。

 (結論)隠していることの皮をはがして本当の姿をさらけ出すことが笑いを産む。ただし「隠している」ことが自他ともにわかっていなければいけない。本人が隠しておきたい秘密をさらけだすのは悲劇でありいじめになる。(それが笑いを生むかもしれないがさらけ出された側が笑えるものでなければいけない)

誰に脅されているのか教えてくれよ。

●ビリヤードのあるカフェバー
フローラからトオルのことを聞く。

マサコはトオルをかわいがっていた。マサコが新宿にいる頃トチワキと付き合っていた。父親の地盤を継いだ時自分から身を引いたがそのことをマサコの死後ぽろっともらしてしまった。それからすぐにトオルは消えた。

政治かはやるときはやるんだとみんな怯え、それで口を閉ざしてしまったのだ。
トオルの実家は室蘭だと聞くと弓子は反応する。

●道
探偵が「この車車検通っているの」と聞くと高田は「ばっちりだよ」と答えるがその瞬間大きな音をたてて煙が出る。(ギャグ)
 →「ばっちりだよ」といった瞬間にタイミングよく煙が出る。役者の動きに合わせてスタッフがスモークを出し、後から音をつけたのだろうか。
 →実際は全然大丈夫そうじゃないギャップがおかしい。 セリフと現実が乖離しているギャップのおかしさ。

室蘭に行こうとする探偵と高田に弓子も一緒に行くという。探偵ごっこはここまでだというと弓子は傷ついた表情。

探偵が謝ると
弓子「あることないこと言われることは慣れてる」

「どうでもいいけど早くしようぜ。」と高田
3人の追手が迫っている。
エンストしないでねと唱えながら車を発進させる。車は煙を出して走り出す。
追っては顔が真っ黒になる。

●走る車
遠くに夜の都会。札幌を離れるということ。

●朝 港 室蘭
目覚める探偵と高田。弓子がいない。
ひとりで海を見ている弓子。
そんな弓子を見る探偵。

●工場

(映像表現)製鉄所の団地 遊ぶ子どもたち、あかちゃんを背負った母親、手を振る主婦、帽子をかぶった老人、遠くに浮かぶアドバルーン。にぎやかだった過去(昭和)
クロスディゾルブすると現在の人のいないさびれた建物。
田舎の悲しさ、寂しさ
 →一つのカットで北海度の人々の悲しみ。そしてそんな上にマサコ、弓子、トオルたちの人生があるということをワンカットで表現した素晴らしいカット。

(参照)パート1 放火犯田口のろくでなしの父親は泣きながら「炭鉱さえ続いていりゃこんなことにならなかった」と、セリフだけなのに対して、団地のカットは映像で表現している。

聞き込み。最初は知らないと話していた住民だが「こういう人なんだけど」と手を口元に当ててオネエのジェスチャーを「チヨちゃんの息子か」とわかる。
トオルがオネエであることは街の人たちに知られていた。
 →のちにマサコのことを聞き込みしたとき「男の子だったか、女の子だったか」と悩む住民に登場人物も観客もオネエなので混乱しているのだな、と考えるのだが、実際は男の子と女の子の兄妹だった。(マサコと弓子)
このやり取りはミスリーディングさせるための種まきである。

トオルは美容師見習いをしていることを知る。

●洋服屋
探偵はまだやくざから借りたジャージを着ている。
洋服を買う。

●美容室
トオルは探偵の髪は手に負えないという。
高田「そうだな。どうにもならねえべ」

●回想
トチワキのことをしゃべってすぐホテルで3人の男たちからすすきのから出ていけと脅された。
3人の中にはシンドウの側近がいたことがわかる。

●道
帰ろうとする3人にトオルが追いかけてくる。金を渡そうとする。
探偵はありがたく受け取ろうとする。が弓子がはそれを返す。

→このやりとりはおかしかった。
弓子は「あなたがとっておきなさい、君の人生に必要なお金よ」とやさしく微笑んだ後、探偵に振り返って
「おい」と凄む。
探偵は頷くが封筒から手を放そうとしない。
弓子は探偵の手を叩いて、金はトオルの元に戻る。
 →徹に対するやさしいお姉さんの表情から、探偵に対するぞんざいな態度へと一瞬で変わる。
  トオルには高い声で、探偵には低い声で、顔をどちらに向けるかで一瞬で態度を変える。

マサコは室蘭出身だった。東京出身ということにしていた。高田「なんでだろうな」
海と工場が見下ろせる場所。
弓子反応する。

●水族館で遊ぶ

●観覧車
海と工場を見おろせる場所はたくさんある。
弓子「あそこに行ってみよう」と言う。
 →弓子は知っている

●聞き込み
「あれは男の子だったか、女の子だった……」と住人
「女の子みたいな男の子だったんじゃないの」と高田
 →ミスリーディング。実際は男の子と女の子。

仲のいい家族だったが奥さんが死んでから夫は荒れた。
子どもたちは置き去りにされ親戚に引き取られた。
窓ガラスの割れた空き家。十字架やマリア像。
 →マサコが身に着けていた十字架。

1:01:26

部屋の中から探偵と弓子。
割れたガラスの破片が探偵と弓子を分割している。
同じものを見ているが感じていることは違うということか。

●海
 一人で砂に何か書いている弓子。
「探偵ごっこは終わりだ。あんたもバイオリン弾きに戻ったほうがいい?
「確かにこれ以上問題を起こしたら?本当に復帰できなくなるんじゃないか?
「復帰はしない。もうやめる。もうやめるのバイオリン」
「バッシング受けて嫌になっちゃったか?」
「確かに。世の中には自分の人生つまんなくて。顔も見せずに他人叩いて喜んで連中がたくさんいる。要は自分が有名になりたいだけなんだ」
「もう飽きた。才能ないねん」
室蘭へのロードムービー終わり。

→ここはもっと愛すべきシーンにできたのではないか

室蘭のシークエンスは物足りなかった。
尾野真千子にとっては久しぶりに訪れる故郷。懐かしそうな顔をしてもよかったのでは。リアリティにかける。
真相はバレやすくなるが深みが出る。
男2人、女1人の黄金バランスの心地よさを表現してもいいのでは。宿泊と食事のシーンが欲しかった。
→参照「寅次郎相合傘」

●中山峠
の上げ芋が食べたい 北海道の名物か?
観光地を紹介。

報告がある峠からずっとついてくる車がある。
追突する則天道場の波岡一喜。
→パート1をみていないとわからないが予想外の人物が出てきて知っている観客には楽しい。
→個人的な好みだが「なんの脈絡もなくいきなり波岡一喜が襲い掛かってきた」らギャグでしかない。それぐらい存在に力強さを持った俳優だと思う。

(ピンチ)山の斜面での車のアクション。
草の原っぱでのカーチェイス。
至近距離で銃を乱射されるが当たらない。
→奇跡的な運の良さ (参照)パルプフィクション

警察がかけつけるが「親切な皆さんに助けられました」とパトカーに乗って去っていく。

●(バイオリニストとして)謝罪会見
一緒にいたのは良き友人です、と二人を紹介する。

●定食屋
探偵と高田がインタビューに答えるテレビ画面。
警察署からの道中は省略し札幌に戻っている。

探偵と高田をテレビに登場させたことでトチワキ側に襲いにくくさせた。
→次のシーンで説明している

●廊下を歩く探偵と高田。
→廊下は二人だが、店内は探偵ひとりで登場。高田は裏口から入る

●フローラの店
(ピンチ)「ポンセ」とバットを振る集団。フローラが人質になっている。

「イッツ・ショウタイム」と探偵。高田の登場を待っているが出てこない。もういちど「ショゥタイム」と奥に向かってつけ部が反応はない。
「ちょっと待て……」(ギャグ)
 →セリフでは威勢のいいことを言っているが、高田の登場を頼りにしている。実は軟弱。セリフと行動のギャップ再び。

相手にがんじがらめにされるピンチ。
スプリンクラーが回る。水が出る
高田が登場。
遅いと文句を言う
ケースが邪魔だったんだよ。
→(伏線)最初に襲われたとき逃げようとしたときビールケースが置いてあり外に出られなかった。

バットで殴られて倒れる高田。
かけつける探偵。
とどめをさそうとする野球男。
高田立ち上がってけりを入れて野球男を倒す。
「お前はターミネーターか」

マサコちゃん殺したのお前らか。
殺したりしませんって
ただの運送屋。頼まれてない。自分たちの意志。有志の集い。トチワキの脱原発運動を支持するもの
→この作品の主人公は他の作品でよくあることだが「圧倒的に強い腕力」を持っている。高田は大勢の敵に対しても一人で倒せるぐらい強いが、これは現実的ではない。
「圧倒的に強力な暴力」を封印して作れないのだろうか。

●バー
トチワキが関連していることは間違いない。
記事に書けというが松尾は躊躇する。
それを責める探偵。

(新聞記者から情報をもらう)
バラの花束が。あったそうだよ。マサコちゃんの殺害現場に。花輪事件当日の夜遅くトチワキが買ったことを認めてる。事件当夜合ってることは間違いない。警察の内部情報だ。
 →内部情報を「学生」が知っていたことによって探偵は「学生」が犯人だとわかる。

★【トチワキと対峙する】
●シンドウと探偵。
シンドウに凄みが足りない
筒井真理子に大物感がない。哲学が欲しい
→どんな悪人でも成功するものは周囲の者を魅了する魅力や哲学を持っているものだ。尊敬できること、勉強になることを悪役のセリフから欲しい。

●トチワキ奥の部屋から出てくる
私が殺したと思っているだろう。そのとおりだ。
ただお祝いを言いたかっただけだ。15年も経てば。お互い良き友人として会えると思ってタクシーを呼んだ
 →タクシーに乗って会いに行った、とここで言っている。

数分当たりさわりのない話をして別れた。私が知っているのはそこまでだ。
「あんたは良き友人として会ったが、まわりはそうは思っていなかった。そういうことか?」
「わからないシンドウさえ知らないのかもしれない」

あんたが石につまずいたら勝手に色んなやつが動き出して、その石を置いたやつを見つけて嬲り殺しにするってのか?

子どもたちが訪れる
「だから新しい原発を作って欲しくありません」
→作品に政治思想を盛り込むことは悪くない。表現の自由である。しかし「原発は土地を壊す」というセリフはいかがなものか。(大人が主張するのは構わないと思う)
子どもたちが本当にそう思っているのか? 
子どもを使うべきではなかった。

★結 解決編
【万策尽き刑事告訴することになったが、それではぬるいと判断したのか、弓子は探偵のもとを去る
 真犯人は学生だったことがわかる。
 弓子の行方が分からなくなる
 弓子はマサコの生き別れた妹だったことが知らされる
 探偵は弓子がトチワキを暗殺しようとしていることに気づく
 弓子の暗殺計画を止め、探偵は自分が刺される】

喫茶店
トチワキにたいして刑事告訴することにした。
誰かが動き出せば。後に続くものが出る。
おもろいなあ、
おもろいやろ?じっくり準備する。だから俺たちに任せてくれ。

ナポリタン頼まなくていいのか。(弓子はナポリタンを頼まない)

弓子は「さよなら。いままでありがとう」と言って去っていく。

高田「案外、あっさり納得してくれた……ように見えたけどな」
 →これでは終わらない

(解決)意外な真犯人がわかる
●トチワキの演説のニュース
「学生」と会う。飲みに行く。

●韓国料理店
学生「あんな真っ赤なバラの花束なんかプレゼントするんだ」
探偵「なんでバラの花束のこと知ってんだよ」
学生「持っていくの見たから」
探偵「いやいや、違うだろう。お前が見たのはトチワキがマサコちゃんのマンションから出てくるとこだよ。出てる時には持ってねいだろう」
学生「いや。違いますよ、俺が見たのは向かっていくところです。トチワキはマサコちゃんのマンションにタクシーで行ってんだよ」

探偵はマサコ殺しの犯人は「学生」だと気づく

学生「処分しちゃったよ。あれ、燃えるゴミだべ」
「毎日ヘラヘラ。こっちは狭い部屋に住んでいる」という叫び。

●走って去ってゆく学生。
車にひかれて死んでしまう。

●電話
弓子と連絡が取れない。マネージャーと会う予定はなかった。

(新聞記者から情報をもらう)
松尾
「マサコちゃんの顔を詳しく調べたんだ。そしたら、すごいことがわかった。新宿で売春して、その金は関西に引き取られた妹に引き取られた」
弓子とマサコは兄妹だった

(ピンチ)
依頼人(ヒロイン)が公衆の面前で殺人を行おうとしている。探偵はそれをどう止めるか、また、彼女に罪が及ばないようにするにはどうすればいいのか?
群衆の中でどうやって尾野真千子を見つけるか
→撮影用のイントレに高田が登の高いところから彼女を見つけ、メガネの反射光で探偵に知らせる
眼鏡を光で反射させて知らせる。

(解決)
探偵が前に出て代わりに刺される。
二人は抱き合うように動かない。人々は去っていきやがて周囲に人はいなくなる。
ドローンで真上から

「どうして?」
「探偵は依頼人を守らなければならない。」決めセリフ

●病院
入院している探偵
「酔っぱらって毛ガニを捌こうとしたら、自分の中を刺してしまった。」ということにした。
→弓子は罪に問われない

★【エンディング】
兄妹の幼い頃の出来事を話す
尾野真千子はバイオリニストに戻る
雪が降ってきて高田がやさしくなる

●バー
手品で花を出す。(手品好きのマサコへのオマージュ)
尾野真千子にフォーカスが合っていて、手品は目立ってない。もったいない
 →マサコへの追悼なのだから手品をみせてほしかった

(バイオリニストとして)演奏家に戻る
ホールでのコンサート。声が聞こえる。
兄の声が聞こえる。「そっともって弾いてみ」

子ども時代の兄妹の回想シーンで泣かせる。感動させるシークエンス
●回想 兄「僕より才能あるよ」
●回想 学校
●回想 海辺
●校庭、台の上
●ホールの弓子
●回想 海
●回想 屋上
●回想 丘の上
●ホールの弓子
●マサコ、部屋で弓子のCDをきいている 
●ホールの弓子
●探偵
●回想 弓子
●弾き終わる弓子。満足した表情
●ススキノを歩く探偵の後姿

●街
高田が探偵のたばこに火をつける。珍しく優しい
初雪が降ってきた。長い冬がやって来る。
高田「でも雪ってなんかワクワクしねえか」

END

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