読んで日が入る本の虫 Vor.1
こんにちは。今回から始まりました連載企画、その名も「読んで日が入る本の虫」。あらすじだけで、めちゃくちゃ続きが気になってしまう本をお届けします。(わたしのプレゼン能力が試されます。)
1冊でも「読みたい!」と思った本があれば、ぜひ♡をお願いします。
それではいってみよ〜!
1冊目 砂の王国 / 荻原浩
ひとことで説明すると、「大手証券会社勤務からホームレスに転向してしまった主人公が、所持金3円で公園のいつメンである占い師&美形ホームレスとともに新興宗教を立ち上げる話」。この愉快なあらすじと、「路上に寝て街を眺めれば、人生観は確実に変わる。」というまるでキャッチコピーのような本の1行目で完全に心を掴まれた作品です。
本書は上下と分かれています。上巻ではホームレス時代の奮闘をおもしろおかしく、下巻では、宗教をテーマに人間の愚かさを描いたドンデン返しの展開。「砂の王国」というタイトルからなんとなく結末は想像がつくかと思いますが、小さな砂をいかにして集め、どうやって崩れていくのか、全ての展開が面白い1冊(2冊)です。
どこか笑えて、ドキリと刺さる文章が得意な荻原さんはコピーライター出身の小説家です。読んでいく中でキラッと光るコピーのような文章が隠れているので、チェックしてみてね。
2冊目 PK / 伊坂幸太郎
なにより帯が良い。伊坂幸太郎の良さがぎゅっと詰まった「伏線バリバリ」のこの帯が良い。「彼は信じている。時を超えて、勇気は伝染する、と。」
3つの短編小説で構成されるこの本。帯の言葉通り、勇気と臆病が連鎖し、3つの物語がどこかで繋がる。だんだん繫がっていくストーリと回収されていく伏線にニヤニヤが止まらない伊坂ワールド全開のお話です。
特に好きなのはタイトルと同じく「PK」。
ワールドカップアジア予選の最終戦、PK戦になりキッカーに選ばれた小津選手。誰もがゴールを願う緊張の場面で、真っ青な顔の小津が心の中で反復していたのは「絶対にゴールを決めてはいけない。」ということ。そんな中、幼馴染であり同じメンバーである宇野選手がとっさに小津選手のもとに駆け寄り、ある言葉を耳打ちをする。その言葉を聞いた瞬間、小津選手の心は晴れ渡り、華麗にゴールを決めたのだった。
このお話は、宇野選手が、小津選手になんと声をかけたのかを推測していくのですが、本当に面白い。勇気と信念が試される1冊です。
3冊目 Q&A / 恩田陸
都市郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。
死者69名、負傷者116名、『M』という大型商業施設で起こった事故。
大きな事故だったにもかかわらず、原因が全くわからない。
監視カメラを見てみると、不思議なことにすべての階同じタイミングでパニックが生じていたとのこと。
小説の構成が「すべて対話形式」になっており、インタビュアーと被害者・目撃者とのQ&Aのみで話が展開されています。説明や背景描写を省き、「会話」以外の情報が与えられないなかで読者の想像力と推理力が試される。小説を超えて、実際に自分が推理しているような気分になれます。
食い違う証言から「真実を見ることの難しさ」を伝えたかったのかもしれません。
最後にわかる事件の真相からは、集団心理や人間の不思議さ、そして「わからないことに対する恐怖」を感じます。
さて、今回はミステリー・SF作品の中から3冊ご紹介いたしました。
続きが気になりましたでしょうか…。ぜひ読んでみてください!
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