ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集
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【出版社Webより】
三十代にして迎えた不遇の時代。困窮のなかにあって、その筆致は揺るぎなく美しい。バラエティ豊かな短編小説と秀逸なエッセイ。最後の十年のベスト作をセレクト。
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短篇集『冬の夢』が、『グレート・ギャツビー』に続いていく「プレ・ギャツビー」であるとすれば、本作は『夜はやさし』に続いていく「プレ・テンダー(Tender is the night)」ということができそう。一方、エッセイの方の『壊れる』3部作は、『夜はやさし』の後に書かれた、末期のエッセイ。
僕(=誠心)は『グレート・ギャツビー』よりも『夜はやさし』が好きで、それは既に敗れてしまったけれど懸命に生きようとする姿、やさしさがにじみ出ているからだと思う。
僕の日常はどちらかというと、勝った人、勝ち続けている人というよりも「敗れてしまった人」と出会うことが多い。
誰かが誰かに勝たなければいいのに、と思うけれど、人間はそこまで強くはないのだろう。
僕は負けないように生きていきたい。そのために、誰かに勝たないように気をつけなければならない。
グレート・ギャツビーのジェイ・ギャツビーも、夜はやさしのディック・ダイヴァーも、負けないように、そして誰かに勝たないように生きた人なのではないだろうか。
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さて、2023年も今日で終わりです。
とても落ち着いた気持ちでこれを書いています。
今年よんだ本を並べてみました。
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慌ただしい日々の中でも、落ち着いて本を読める時間はやはり至福の時間です。慎ましく。
来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。