人を助けるとはどういうことか

本書は、即効性を期待する、主に情報提供としてのコンサルティングよりも、「プロセス・コンサルティング」(転載すると「プロセス・コンサルテーションとは、支援者が最初からコミュニケーションのプロセスに焦点を当てることを意味する」)の有用性を説いている。

また、「タイミングがすごく大事(Timing is crucial)」であったり、「与える側も受け入れる側も用意ができているとき効果的な支援が生じる」(用意できていないと逆効果にもなりうる)というメッセージも印象的だ。

考えてみればあたりまえのことであるし、例えば読む本なんかにしても「タイミング(読み手の受け入れ態勢)」で感じ方も大きく変わる。

やはりベースになるのは、カール・ロジャーズが提唱した「傾聴」の3つの構成要素(「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」)やアレン・E・アイヴィの提唱した「マイクロカウンセリング」かと(勝手に)思ったが、これらはやはり見事な技法だと再認識した。日常の聴き手としても、より精進したい。

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(以下は「Chapter2 経済と演劇」より一部転載)

 最後に、誰もが心得ておかねばならないことがある。日々の生活の中で、支援そのものが重要な社会的通貨であり、適切な対応がされなければ不均衡が生じるということだ。いつ、どのように支援を与えるか、他人からの支援をいつ、どのように受けるかを知っていると、人間関係はさらに生産的で喜ばしいものとなるだろう。つまり支援とは、あらゆる社会的行動の根底に存在する交換という日常的なプロセスであると同時に、ときには通常の流れを邪魔して、とりわけ気配りを持って扱わねばならない、特別なプロセスでもあるのだ。

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