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男性不妊と中医学②精子無力症

こんにちは、誠心堂薬局恵比寿店店長の西野です。
今回は、先日の『男性不妊と中医学』に続いて、ご好意によりご許可を頂いた精子無力症の改善症例をデータの推移とともにご紹介をさせていただきます。

初回来店日:2022年6月11日
性別:男性
年齢:50代前半
主訴:第1子希望
具体的なお悩みは精子量が少ない、運動率が低いやED傾向がみられる点で、
2022年1月より奥様もご相談頂いており、2021年2月の胚凍結時の精液検査では、精液量0.6ml 精子濃度38.0*100万/ml 精子運動率 1%となっています。(図1)


図1 2021年2月 胚凍結時の精液所見

 初回来店の脈の状態は、以下になります。脈は平脈の75回/1分よりもやや遅い事から気血両虚や陽虚の傾向と考えられます。また、血管の柔軟性を示すTP-KS(血流測定器の独自の指標となりますが、中医学の脈診上では緊張度の高い硬脈かどうかの指標)が高く、末梢血管抵抗である総抵抗が高いため血流もあまりよくない状態と考えれらました。(図2)

図2 2022年6月11日の血流測定結果

 体質を年齢や症状、脈を考慮した上で、腎陽虚や瘀血(造精機能などとも関わりが深い腎の陽気が消耗し、血行が悪い状態)馴鹿を用いたサプリメントと、血流を改善する漢方方剤を用いた治療を開始しました。

梅雨時期~夏の時期で高温多湿が続いたためか、舌の白膩苔(べたっとした白い苔)がみられたため、体の中の水分代謝を改善する別の漢方薬に変更を10月上旬などに一度変更しましたが、その後継続服用されましたが、脈に関しては初回以降は平脈=75回/分前後に上昇し、血行不良を示すTP-KSや総抵抗の数字も改善傾向となりました。(図3)

図3 右から7月~12月まで 脈は75ほどで安定し、TK-KSの低下がみられます。

その後の精液検査実施は2022年11月と12月に実施されました。
11月は8.33%と初回と比べて若干改善がみられました。ここで、液量が少ない点などを考慮し、病院の方では逆行性射精に治療を開始され、陰分(津液や血液などの物質的な要素)も補う亀板や鹿角の成分を配合した内容へ調整しました。
その結果12月には、運動率は29.17%へ改善がみられました。

図4 2022年11月5日
図5 2022年12月3日

液量の減少はまだみられるため逆行性射精の影響は引き続き留意が必要ですが、運動率やその他の濃度や精子数などの数値が大きく改善された経過となっています。

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