平和があってこそスポーツは楽しめる。サッカーW杯予選。ミャンマーでの日本戦に思う。開催国は軍事クーデターから3年。生活や治安への不安が広がっている
平和があってこそスポーツは楽しめる。そう感じさせるゲームだった。サッカーワールドカップ(W杯)アジア2次予選で日本はミャンマーでのアウェー戦に臨み、5-0で大勝した。開催国は軍事クーデターから3年経ち、生活や治安が悪化している。地方では内戦が続き、サッカーを楽しめる環境ではないようだ。アウェー戦から日本の平和を実感した。
6日にミャンマー最大の都市のヤンゴンで行われた試合。日本は5-0と快勝し、5戦全勝。B組1位通過が確定した。
前半17分にMF中村敬斗選手が左のスペースへ駆け込み、パスを受ける。切り替えして相手の守備選手を外すと、右足で低いシュートをゴールに突き刺した。
ここからはゴールラッシュ。34分にはMF堂安律選手が追加点。2日に結婚発表してから初となる「おめでたゴール」だ。さらに後半、日本は3得点を積み上げて、アウェー戦を大勝した。
日本の大勝、そして無事に試合が行われたことに安堵した。開催国ミャンマーは3年前に起きた軍事クーデター後、人々の生活に暗い影を落としているからだ。
3年前に起きたミャンマー国軍による軍事クーデター。選挙で選ばれた政権から全権を奪った。国軍による弾圧で民主活動家のほか市民にも犠牲者が相次いでいる。人権団体によると5000人が犠牲になったという。3日には結婚式会場へ国軍が空爆し27人が亡くなった。
ミャンマーはサッカーを楽しめる環境ではない。市民にはサッカーの代表チームを「国軍の代表」と否定的にみる人も少なくないようだ。
選手たちは悪くない。しかし「応援する気になれない」という人たちの思いも分かる。平和があってこそのスポーツなのだ。
一方で、スポーツは平和の使者となりえると思っている。特にサッカーは全世界で行われている人気競技。国際試合を通じて、開催国(地域)や対戦国(地域)に思いを馳せることもできる。平和に向けた道筋は、多くの人に関心をもってもらうことから始まるはずだ。
平和があってこそ、スポーツは楽しめる。右手の人差し指と中指2本を突き立てよう。それは勝利の「Vサイン」。同時に平和を願うサインでもある。ピース!