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走ることに夢を与えてくれた。スーパー店員の市山選手が東京マラソンで日本人トップ。2時間6分0秒は世界選手権の参加標準記録をクリア。自分のペースを信じ抜いた

ポカポカ陽気の首都東京。心も温まる瞬間に出会えた。東京マラソンだ。スーパー店員の市山翼選手(28)が日本人トップで駆け抜けた。タイムの2時間6分0秒は世界選手権の参加標準記録をクリアした。自分のペースを信じ抜いたことが奏功した。走ることに夢を与えてくれた市山選手。心をポカポカにしてくれた。

市山選手はサンベルクス所属。東京、千葉、埼玉でスーパーマーケットを展開している企業だ。埼玉県の「スーパーベルクス青柳店」で働いている。週4日、1日5時間、商品の品出しや発注の仕事を担当している。

大学は中央学院大。一般枠で入学した。同期ですらみんな上の存在だったという。「同期25人ぐらいのうち、下から3番目(のタイム)だった」

そこから着実に力をつけていき、3年時に箱根駅伝に出場。2区を走って17位だった。卒業後、複数の企業を経て、2023年にサンベルクス入りした。

2日に行われた東京マラソンは、今年開催の世界選手権の選考レース最終戦。市山選手はノーマークの存在だった。

レースは序盤、青山学院大の太田蒼生選手(4年)が中間点で日本記録を2分近く上回るペースで走った。その後、日本人トップ争いは、日本歴代2位の記録保持者、池田耀平選手(花王)と、パリ五輪6位の赤崎暁選手(九電工)の一騎打ちに。

市山選手は苦手な下りのある序盤のペースを抑えた。周りがハイペースでも自分のペースを信じた。そして「我慢、我慢で走ることを30キロ以降は意識した」。

終盤勝負。35キロ付近で赤崎選手を、40キロ手前で池田選手を抜き去った。そして日本人トップでゴール。2時間6分0秒は、自己ベストを1分41秒も更新した。

「粘って粘って、気づいたらゴールだった」。自分のペースを信じ抜いたことが好結果につながった。

世界選手権の参加標準記録(2時間6分30秒)をクリアしたことで、候補入りした。ただ、候補の中には市山選手のタイムを上回る選手がいるため、市山選手の代表入りは微妙なところだ。

それでも一般ランナーに夢を与えてくれる存在となった。ノーマークだった選手がスターダムへと駆けていく。コツコツ走るランニングにドラマチックなことが起きるのは素敵なことだ。

市山選手の好走に拍手を送りたい。そして「第2の市山選手」めざして一般ランナーにエールを送りたい。

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