トンネルを抜けると、大雨の白星だった。西武が開幕からのロッテ戦連敗を16で止める。先発の渡辺投手が6回途中まで無失点の白星。佐藤選手が先制2ランで流れを呼ぶ
トンネルを抜けると、大雨の白星だった。西武が開幕からのロッテ戦連敗を16でストップした。長い、長い連敗のトンネルだった。先発の渡辺勇太朗投手(23)が6回途中まで無失点の好投で白星を挙げた。打線は佐藤龍世選手(27)が先制の2ランを放って勢いを生んだ。終わってみれば、8-0の大勝。雨が降るスタジアムに希望の光が差し込んだ。
29日に千葉のアウェー戦に臨んだ西武。前日、延長十二回に暴投によるサヨナラ負けを喫して開幕からのロッテ戦連敗を16としていた。
嫌な流れが続きそうな予感。それを振り払ったのが西武の4番佐藤選手だった。2死三塁の場面で、相手の先発カイケル投手の129キロのチェンジアップを捉えた。打球はレフトスタンドへ。先制の2ラン本塁打だ。
相手の左腕はメジャーリーグで2015年にサイヤング賞を獲得した36歳。好投手から放った一発はチームに勇気を与えた。
味方打線の援護を力に、西武先発の渡辺投手は初回をきっちり三者凡退に抑える。投打の歯車ががっちりかみ合っている。
渡辺投手は三回、四回と走者を抱えながら、粘りの投球で相手に得点を与えない。味方打線は六回に2死二、三塁から古賀悠斗選手(24)が2点適時二塁打を放って4-0とリードを広げた。
ただ好事魔多し。六回裏、渡辺投手を相手の4番打者の打球が襲う。右足に当たり、投手交代。嫌な流れになりかけた。それでも、リリーフ投手が封じた。
九回、西武は4点を追加して、勝負あり。8-0と大勝して、今季の開幕戦から続いたロッテ戦の連敗を16で止めた。開幕からの同一カードのプロ野球ワースト記録をようやくストップした。
スタジアムには大雨が降り続いた。試合後のインタビューで渡辺投手は傘を差しながらの受け答え。それでも歓喜のシャワーとなっただろう。
ロッテ戦の勝利は昨年の10月3日以来331日ぶり。その白星をメジャーのサイヤング投手から奪うのだから、西武は不思議なチームだ。
パリーグ最下位で低迷する西武。ロッテ戦で続いた長い黒星のトンネルをようやく脱出した。嫌な流れを断ち切った。渡辺久信監督代行の「1勝までが長かった」とのコメントに実感がこもっていた。
この試合に負ければ、ポストシーズン進出の可能性が完全に絶たれるはずだった。土俵際に追い込まれながら、大きな1勝を挙げて踏みとどまった。
可能性が低くても、可能性がある限り全力野球を続けてほしい。西武の巻き返しに期待したい。