与えられるチャンスが少なくても、腐らず努力を重ね続ける。プロ6年目で通算2本目の本塁打がサヨナラ打に。巨人・岸田捕手が劇的アーチ
数少ないチャンスをものにした選手を見るとジーンとする。巨人の岸田行倫捕手(26)がサヨナラ本塁打を放った。プロ6年目で通算2本目のアーチが劇的な一打に。今季の出場はわずか9試合。なかなかチャンスが巡ってこない中でとらえた会心の当たりだった。出場機会が少なくても腐らずに努力を重ね続ける。その結果が一振りに凝縮された。
本拠東京ドームで行われた伝統の巨人-阪神戦。1-1で迎えた延長十回裏。すでに2死。走者なしの場面で、岸田選手が代打で打席に立った。
ネクストバッターズサークルではめちゃくちゃ緊張していたという、そこに阿部慎之助コーチからかけられた言葉は「ホームランを狙ってこい」だった。
初球は145キロのカットボールを見送ってボール。2球目も同じ球種。真ん中やや外目のボールを、岸田選手は一閃。打球は右翼席最前列に飛び込んだ。2020年10月以来、自身2本目となる本塁打がサヨナラアーチに。プロ6年目で初のサヨナラ打だ。
チームは3連敗を喫していただけに、何としても反転攻勢に出たいところだった。その流れを生む岸田選手の一振りだった。
巨人は今季70試合目。ただ岸田選手はわずか9試合しか出ていない。その中で腐ることなく、全体練習よりも早めに練習を行う「アーリーワーク」をシーズンが入ってからも取り組んでいた。
数少ないチャンスをものにするために、多くの練習に取り組んできた結果が最高の形となった。ヒーローインタビューでは「チャンスは多くないので、こういう与えられた場所で自分の力を発揮できるようにいつも準備している」と振り返った。
サヨナラアーチを放ち生みホームに戻ってきた後には、原辰徳監督から熱い抱擁を受けた。指揮官は「日頃の努力が実を結んだ」と、勝利の立役者をたたえた。岸田選手にとって、監督への最高のアピールとなった。
高校時代は報徳学園で「打って、捕って、投げれる」選手だった。2014年の春の甲子園では背番号「2」と付け、2番手投手として4回3分の1を1安打無失点に抑える快投を披露している。
大阪ガスを経てドラフト2位で巨人入り。同期入団の大城卓三選手がレギュラーをつかみ、岸田選手は控えに甘んじている。プロ2年目から毎年1軍出場を続けているが、3年目の34試合が最多。以降、出場試合は年々減ってきている。
今季は出場9試合で打席には8回しか立っていない、その中で3安打を放ち、打率は3割7分5厘。岸田選手がバットを握れば何かが起こる。そんなワクワク感が漂っている。
出場試合が少なくても、腐らずに努力を重ね続ける26歳。少ないチャンスで最高の結果を生んだ。岸田選手にさらなるチャンスを!
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