高校野球で2点取るのは難しいか。徳島商が「勝利の方程式」。エースは夏の各試合1失点以内。投打の歯車がかみ合い初戦突破
高校野球で2点奪うのは難しいだろうか。それを達成できれば勝利を手にできる。徳島商には「勝利の方程式」がある。エース森煌誠投手は地方大会で各試合1失点以内に抑えてくれた。だから2点取れば勝てる計算だ。7日に甲子園初戦に臨み、「ノルマの2点」を奪って勝利を手にした。強豪相手でも2点取れば勝てる。これが徳島商の必勝法だ。
7日の第4試合に臨んだ徳島商。相手は昨夏の甲子園8強の愛工大名電(愛知)だ。12年ぶり24回目の古豪徳島商にとって、難敵とぶつかることになった。
初回いきなり1点を奪われた。1死後ヒットを許し、2死後、盗塁、暴投で一、三塁のピンチ。ここで5番打者にライトへ適時打を浴びて生還を許した。しかし最少失点で切り抜けた。
徳島商にとって、地方大会で最低2点取れば勝てた。エース森投手が全5試合で完投。すべての試合を1失点以内に抑えていたからだ。
つまり徳島商には「勝利の方程式」があるのだ。エースは1失点以内に抑えてくれる。打線は2点を奪えばいいのだ。
1点を追う徳島商は三回に反撃に出る。先頭の高木大地選手がライト前へヒット。次打者が三振に倒れたが、高木選手が二盗。得点圏に進んだ。
3番の森口圭太選手はライトへヒット。一、三塁と好機を拡大した。2死後、5番の下川鏡選手が打席に。一塁走者の森口選手が二盗に成功。二、三塁にした。
下川選手の一打にかかる。そしてカウント3-1からの5球目。高めのストレートを振り抜くと、打球はライト前へ。高木選手に続き、森口選手も生還して逆転に成功した。
2点を取って逆転。「勝利へのノルマ」を甲子園でも達成した。あとはエース森投手が、このリードを守り切れるか。
最速149キロの右腕がうなりを上げる。二、三回と三者凡退。四回は2本のヒットなどを許したが、0点に抑えた。
五回以降は、ヒットを一本打たれただけ。尻上がりにピッチングが上向いていく。最終回には、この日の最速147キロをマークして三者凡退に抑え、完投勝利を挙げた。111球10奪三振で1失点。許したヒットは5本のみ、四球一つのみと安定していた。「これぞエース」と言いたくなるような快投だった。
森投手は「できるだけ力を抜いて投げたらスピードも出たので良かった」と振り返った。それだからこそ、最終回で147キロも出せたのだろう。
徳島商はエースと打線の歯車がガッチリかみ合っている。これで森投手は、この夏、6試合連続1失点以内に抑えた。味方打線は「2点取れば勝てる」のだ。
2点取るのは、けっして簡単ではない。しかしエースは好投してくれれば、打線も勇気づけられる。
徳島商の「勝利の方程式」。次戦も強豪の智弁学園が相手だ。しかし、エースと打線がお互いを信じあって、それぞれの「ノルマ」を達成すれば、決して勝てない相手ではないだろう。
古豪徳島商の復活。次戦も投打で「勝利の方程式」は見られるだろうか、楽しみだ。