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早田選手が涙の「3冠女王」!苦境でも勝てる選手に。王手をかけたシングルス。序盤にリードされるも大逆転Ⅴ。全日本卓球

3冠達成の瞬間、早田ひな選手はガッツポーズでしゃがみこんだ。苦しい局面を巻き返しての栄光。22歳のサウスポーは、全日本卓球で女子4人目となる偉業を達成したのだ。昨年はあと一歩で快挙を逃した。それだけに相当な覚悟をもって挑んだ今大会だったはず。早田選手の歓喜の涙は、「苦境でも勝てる選手」だと訴えているようだった。

全日本卓球における3冠。シングルス、混合ダブルス、女子ダブルスの三つを独占する難しさは、自身が一番知っている。

昨年は混合、女子の2つのダブルスを制しながら、シングルス決勝で敗れて、偉業を成し遂げることはできなかった。大会期間中、ピークを持続することは難しいのだ。

来年はパリ五輪が行われる。2年前の東京五輪ではリザーブに回り、出場機会のなかった早田選手。自分が「ナンバーワン」であることを印象付けるためには、シングルスで優勝、そして3冠という偉業を成し遂げたいはずだ。

今大会、26日には張本智和選手との混合ダブルスで1冠、28日には女子ダブルスで伊藤美誠選手とコンビを組んで2冠目を手にしていた。

3冠へ王手をかけていた29日の決勝。序盤は苦しい戦いを強いられた。9-11、11-13と競りながら、木原美悠選手に2ゲーム連取された。

昨年の苦い記憶がよみがえったかもしれない。しかし早田選手は「1回負けを認めた」。この開き直りが、逆にパワーとなったのだ。「逆にこれで勝てたらすごいな。人間、誰だって負けることはあるから大丈夫」と言い聞かせたのが奏功したのだ。

3ゲーム以降、11-5、11-8、11-7と逆転し、3年ぶり2度目となるシングルス優勝に王手をかけたのだ。

6ゲーム目。10-8と「リーチ」をかけながら、木原に追いつかれでジュースとなった。あと一歩で優勝のはずが追いつかれた。精神的にはつらいはずだ。

それでも一度、負けを覚悟した早田選手の心は揺るがない。ここから2点を連取して試合を決めた。史上4人目の女子3冠達成者となったのだ。

いろんな思いが去来したのだろう。優勝が決まり、ガッツポーズをしたまま、しゃがみこんでしまった。3冠の重圧。シングルス決勝での厳しい展開。東京五輪に出られなかった悔しさ。

それらすべてを振り払って偉業を達成したのだ。1960年度の山泉和子さん、2015年度の石川佳純選手、17、18年度の伊藤美誠選手に続く4人目となった。

早田選手は「苦境でも勝てる選手」とアピールできただろう。パリ五輪にはこのような選手が必要だ。

3冠を達成し、これが自信となって、さらなる活躍を見せてくれるはずだ。「3冠女王」の早田選手の活躍を、これからも見守りたい。

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