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勢いづいた挑戦者ほど怖いものはない。夏の甲子園。春夏通じて初出場の新潟産大付が甲子園Ⅴ経験の花咲徳栄に逆転勝ち。粘って走って「下剋上」

勢いづいた挑戦者ほど怖いものはない。それが高校生となれば、なおさらだ。夏の甲子園。春夏通じて初出場の新潟産大付が甲子園Ⅴ経験の花咲徳栄(埼玉)を下した。粘って流れをつかみ、走って勝機を広げての逆転勝ち。新潟の選手たちは地方大会で強豪を次々下して勢いをつかんだ。それが甲子園でも続いている。新潟産大付が新たなヒーローに躍り出た。

大会3日目の9日。甲子園にフレッシュな高校が登場した。新潟県柏崎市にある新潟産大付だ。春夏通じて甲子園に出場するのは初めて。対戦相手は2017年の夏の甲子園を制した花咲徳栄だ。

挑戦者が王者に立ち向かう。勝つためには、どうすればいいのか。方法は2つのうちのどちらかだろう。電光石火の早業で先制し流れをつかむ。あるいは、相手の猛攻を粘りに粘って耐えて勝機を手繰り寄せる。新潟産大付は後者の道を歩んだ。

二回に1点を奪われた。初出場校なら慌てふためき、このままズルズル失点を重ねてしまいかねない。

しかし新潟産大付は粘った。先発マウンドに立った宮田塁翔投手は落ち着いていた。5回を投げ最少失点でリリーフの田中拓朗投手にマウンドを譲った。五回終了段階で0-1。「うちとしては120点」と吉野公浩監督は手ごたえを感じた。これで後半勝負に持ち込める。

六回に新潟産大付はこの回の先頭打者がヒットで出塁すると、犠打などで走者を進めて、2死三塁のチャンス。ここで千野虹輝選手がタイムリー二塁打を放って同点に追いついた。

そしてラッキーセブンの攻撃では、この回先頭の戸嶋翔人選手がライトへヒットを放ち出塁すると、次打者の打席で二盗を決めた。

持ち前の機動力を生かしてチャンスを広げる。こうなれば、流れは新潟産大付のものだ。走者が入れ替わって、2死三塁。多田大樹選手がレフトへのタイムリーヒットを放って勝ち越した。

六回からマウンドに上がった田中投手は相手打線を1安打に抑えて、好救援。新潟産大付は2-1の逆転劇で初出場初勝利を手にした。

春夏通じての甲子園初出場校が夏の甲子園で優勝経験校に勝つのは9年ぶりの快挙だ。2015年に三重の津商が智弁和歌山を下して以来となる。今回の新潟産大付も見事な戦いぶりで「下剋上」を成し遂げた。

新潟産大付は地方大会では、日本文理、中越、新潟明訓と甲子園で活躍した強豪を次々と下して甲子園切符を手にした。挑戦者として戦ってきたから、甲子園でもその意識は変わらない。

粘りに粘って流れをつかみ、持ち味を生かして得点を奪う。新潟産大付は「下剋上」のお手本ともいえる試合運びを見せてくれた。

強者と対峙する時に、ひるんではいけない。その段階で相手にリードされてしまう。向こうが攻勢をかけてきても粘りに粘る。流れがこちらに来たら、一気にたたみかける。これこそ挑戦者の兵法といえるのだろう。

甲子園で初勝利を挙げて波に乗った新潟産大付。次戦はさらに落ち着いて試合に臨めるだろう。挑戦者の勢い。新潟産大付の戦いぶりに注目だ。

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