目標をみんなで叫べば実現する。サッカーの全日本高校女子選手権で藤枝順心が連覇。言霊は実在する。チーム一丸で「ナンバーワン!」
言霊は実在すると感じた試合だった。サッカーの全日本高校女子選手権で静岡の藤枝順心高が連覇を達成した。試合前に先発メンバーだけでなく、ベンチの選手もスタンドの部員も声を高らかに「ナンバーワン!」と叫んだ。一人ひとりの思いが結集し、頂上決戦で快勝。目標をみんなで叫べば実現する。藤枝順心の強さの一因を垣間見た感じがした。
7日に兵庫県神戸市のノエビアスタジアムで行われた決勝戦。2年連続の優勝をめざす藤枝順心は東京の十文字と対戦した。
キックオフ前のピッチ。藤枝順心の先発11人が手とつないで大きな円を作る。「ジュンシーン」と声を張り上げた後に、手を叩いて右手を突き上げながら「ナンバーワン!」と高らかに叫んだ。右手の人差し指がすっと天を指している。
「一番になる」という思いがスタジアムに響き渡った。先発メンバーだけでなく、ベンチの選手もスタンドの部員も一斉にこの目標を叫ぶのだ。チームが一体になって、優勝をめざす。
心に熱い思いを宿していても、なかなか口にするのは簡単ではない。それだけに「秘めた思い」という言葉が称賛される。
しかし、思いを高らかに叫ぶことは素晴らしいと思う。口に出すことで、大きなエネルギーの原動力になる。しかもチーム全員が一つの目標を叫べば、なおさらだ。
「ナンバーワン!」と叫んだ思いが早くも実現への一歩となった。試合開始早々の前半4分に藤枝順心が先制点を挙げたのだ。
スルーパスに反応したFW辻沢亜唯選手がペナルティエリア外からシュート。相手キーパーが足で弾いたこぼれ球を、MF久保田真生選手が倒れ込みながらもゴールへ右足で流し込んだ。
久保田選手は「来るかもしれないと思って、詰めていた」と話す。GKがはじくことが多いという分析を信じて、ボールを追い続けた姿勢がゴールに結実した。
前半終了間際には、先制点をお膳立てした辻沢選手がスピードに乗って追加点を挙げた。後半にも1点を加点し、3-0で藤枝順心が連覇を達成。これでこの大会7度目の優勝だ。
前回と同じ決勝戦のカード。雪辱を誓う十文字はスピードスターのMF三宅万尋選手が果敢にゴールを狙ったが、藤枝順心の守備陣を崩すことはできなかった。
藤枝順心は今大会5試合で1失点。鉄壁のディフェンスも光った。攻守ともに際立っていた。積極的にゴールを狙う姿勢、堅固な守備、そして、チーム一丸となって「ナンバーワン!」と叫ぶ勝利への意欲。これらが相まって連覇の原動力となった。
目標をみんなで叫べば力になる。熱い思いを口にするのは恥ずかしくない。そう思わせてくれた決勝戦だった。連覇の藤枝順心に祝福を。2年連続の準優勝の十文字もたたえたい。