長い苦しみの先には、きっと明るい未来がある。西武が4連敗後に、今季初のサヨナラ勝ち。ヒーローの若林選手は今シーズン2軍落ちを経験。月が変わればツキも変わる
長い苦しみの先には、きっと明るい未来がある。そう感じさせる試合だった。西武が4連敗の長いトンネルをくぐり抜けて、今季初のサヨナラ勝ち。打のヒーローは今シーズン2軍落ちを経験した若林楽人選手(26)だ。月が変われば、ツキも変わる。チームも選手もここから反転攻勢だ。獅子が地平を駆けていく。
今季、4月末までの段階で西武は8勝18敗とリーグ最下位にもがいていた。特に最近は4連敗。このうち4月27日からのソフトバンク戦では、3試合連続サヨナラ負けを喫する悔しすぎる日々が続いた。4月最後の試合も日本ハムに1-2と競り負けた。
5月に暦が変わった初日。西武はホームで日本ハムと再び相まみえた。ズルズル負けが重なりかねない展開を、プロ4年目の若林選手が振り払った。
二回裏二死走者なし。初球の136キロスライダーを一閃。打球は左中間スタンドに飛び込んだ。若林選手にとって、今季第1号の先制アーチとなった。
七回に西武は追いつかれる。嫌な流れだ。4連敗中は、いずれも1点差で競り負けている。「きょうも、また…」。そう思ったとしても不思議ではない。そこを西武投手陣が相手に勝ち越し点を許さずに踏みとどまる。
そして九回裏。西武は1死からアギラー選手がヒットで出塁。代走の高松渡選手が二盗を決めて、サヨナラのチャンスを拡大した。そして2死後に打席に立ったのが、若林選手だった。
相手はこのイニングからマウンドに立つ3番手投手。若林選手は、またも初球を捉えた。しかも136キロのスライダー。第1打席の先制アーチをなぞらえるように、バットを振り抜いた。打球はレフトスタンド前列に。サヨナラ勝利を呼び込む2ランとなった。
若林選手は一塁ベースを回ってホームランと分かると大きく飛び跳ねた。そしてホームではチームメートたちから、もみくちゃにされる手荒い歓迎。無理もない。ここ最近は、サヨナラ負けを喫する側にあったのだから、西武の選手たちにとっては喜びもひとしおだろう。
打のヒーロー、若林選手は今季開幕から16打数ノーヒットで2軍落ちを経験する悔しい日々が続いた。4月21日のゲームで1軍に再登場。復帰後4試合目となった5月初日の試合で、これまでのうっ憤を振り払うように、2アーチを放った。
西武は今季27試合目で初のサヨナラ勝利。土壇場のサヨナラ勝ちは、なによりもチームを勢いづかせる。5月になって、月が変わってツキも変わった。ここから西武も若林選手にとっても反転攻勢が始まる。
長い苦しみの先には、きっと明るい未来がある。西武と若林選手の巻き返しを温かく見守りたい。