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激辛の鏡

味覚を視覚化する「味覚を映す鏡」は、開発者たちの期待通り、食べる前に味を確かめる安全な方法として注目を集めていた。
酸っぱい梅干しを映せばしっとりとした雨の景色が、苦いコーヒーを映せば深い森の映像が浮かび上がる。
こうして人々は、事前に食べ物の味を見て選ぶことができるようになった。

ある日、レストランのオーナーがその鏡に「激辛カレー」を映してみたところ、鏡が突然、異常な反応を示した。真っ赤なカレーが映った瞬間、鏡の中で小悪魔たちが現れ、激しく踊り狂い始めたのだ。
彼らは笑いながら、まるでカーニバルのようにスパイスを振り回し、激辛の炎をまき散らしている。

オーナーはその様子を見て驚き、肩を落とした。
「激辛を映すと、鏡がこんなにお祭り騒ぎをするなんて。これじゃあ、この店の激辛カレーもおしまいだ。」

ところが、その場にいたお客たちは、その踊り狂う小悪魔の映像に見入ってしまい、激辛カレーを次々に注文しだしたのだ。
どうやら人間は、激辛という魔力に強く引き寄せられてしまう生き物のようだ。

文字数:438字

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