色の名、色々。
「どうしてミドリなのにアオシンゴウなの?」
信号機を前に息子が訊ねます。私は幾度か疑問を呈しては解決しなかった記憶を紐解いて、技術的なことだったか、法律的なことだったか…と悩みながら、調べても忘れてしまうような内容だったような気もしてきて、素直に応えます。
「調べたような気がするけど忘れちゃったよ。」
「ズコー。わすれたんかーい。」
「どうしてだろうね。どうしてだと思う?」
「うーん…わかんない。ミドリだなっておもう。」
「だよなぁ。」
情報を収集して正誤を吟味し、以て息子に伝えましょう。
そもそも電気式信号機の誕生は1918年のアメリカに遡ります。当初から色は「赤・黄・緑」の3色でした。この3色は国際照明委員会によって規定され、世界中の交通信号機の色が統一されています。赤色は最も波長が長く遠方まで視認可能な色であることから警告の意味合いで「止まれ」として選択されました。すると補色の関係から「進んでよい」は緑色になります。この中間色として黄色が選択された、というのが通説です。
当然、日本の信号も「赤・黄・緑」の3色です。
青信号は緑色であって、青色ではありません。
日本に電気式交通信号機が導入されたのは1930年のことだったようです。当時の法律をみますと、青信号について「緑色信号」と明記されています。そう、諸国に倣って当初は緑色信号でした。ところが誰かが「青信号」と言い始めて多くの国民に浸透し、遂には法律のほうが「青信号」という表記に変わってしまいました。マジかよ。マジだよ。
一応の根拠のようなものを示しますと、ひとつは日本の緑色信号が色覚障碍者に配慮して青色に近い波長を選択したという事実があるようです。それに加えて日本文化では実に広い範囲の色調を「あお」と表現しますから、その信号の色をみて「みどり」と思う人よりも「あお」と感じる人が多かったのでしょう。
色の認識は文化圏によって異なりますが、日本は特に色の表現が多彩であることが知られています。
例えば日本の伝統的な色彩表現で「青」に分類されるものを調べると、70種類ほどの言葉があります。見分けられるかどうかと、命名しちゃうのでは大きな隔たりがあります。クールジャパンのサムライブルーですね。空と君との間には今日も冷たい雨がブルー。失礼いたしました。
そんなわけで、息子に回答いたしましょう。
「昔、初めて信号機が作られた頃には『緑色信号』って名前だったらしいよ。でもたくさんの人が青信号って呼ぶようになって、名前が変わっちゃったんだってさ。青を好きな人が多いのかもねぇ。」
「へぇ。みどりいろしんごう、かってになまえをかえられちゃって、かなしそうだね。」
ふと見上げると無機質に夕暮れを彩る直立の影が、あら私そんなこと気にしてないわ、と囁いたような気がしました。
拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、デジタルの中にも懐かしく忘れ得ぬ音色が響きますように。
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