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「愛は距離を超えられないの。」 【ボッサードの法則/心理学】

 私が学生の頃に出会った、とある破天荒なドクターの話です。臨床も研究も教育も一流のS先生は、飲み会が大好きでした。ある飲み会の席で、酔っ払った彼は語り始めます。

「愛は距離を超えられないの。」

破天荒ドクター・Sの名言

 それは2年後に卒業を控え、進路選択に悩む学生にとって興味深い話題でした。

「俺も昔は距離なんてしゃらくせぇ、愛は全てを乗り越えるんだ!って思って単身赴任したんだけどね、無理だったわ〜♡」

酔っ払うとオネェ系の口調

 S先生は単身赴任後に離婚し、他の人と再婚したものの絶賛不倫中という恋多き男でした。
 だから付き合っている相手と結婚したかったら遠距離恋愛にはならない方がいい、なんなら卒業後も2人で大学に残りなさいと、そういう勧誘に帰結しました。

 そんな雑な勧誘あるかい。

 さて、遠距離恋愛は難しいのでしょうか。

 ボッサードの法則と呼ばれる心理学領域の研究成果があります。
 これは「物理的な距離が近いほど心理的な距離も近くなる」と説明されているのをよく見かける法則ですが、原著は米国の心理学者J.H.S.ボッサード(James Herbert Siward Bossard,1888-1960)が1932年に報告した研究です。色々と省略してまとめると、以下の通りです。

婚約中のカップル5000組を調査したところ、
33パーセントが半径5ブロック以内に住んでいた。2人の距離が離れているほど結婚に辿り着く確率は低かった。

James H. S. Bossard (1932). Residential Propinquity as a Factor in Marriage Selection. The American Journal of Sociology. vol.38,No.2 pp.219-224
  

 ツッコミどころは色々あります。
 5ブロックってざっくりし過ぎですし、そもそも研究対象は婚約中のカップルです。同棲中のカップルも含まれています。因果関係を証明する研究ではありませんから、これを根拠に「物理的な距離が近いほど心理的な距離も近くなる」とあたかも因果関係があるように説明するのは少々飛躍的な論調です。
 しかも1932年の研究ですから、通信手段や交通手段の発達した現代にも通用するかというと、悩ましいところです。


 ところが現実的な問題として、遠距離恋愛が難しいことを実感します。するとボッサードの法則にも幾らかの妥当性があるのかもしれない。

 人間の恋愛行動の目的を種の保存と考えれば、遠距離恋愛が成立しづらいことは容易に想像がつきます。そもそも恋愛とは何ぞやという命題に関しては、テーマが大きくなり過ぎるため別な機会に考えていきたいと思います。

 なお、私は遠距離恋愛が出来ません(断言)。

 
 遠距離恋愛が上手くいく方々は一体どのような秘密があるのか、わたし、気になります。

 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の恋が成就しますように。


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