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おなかを冷やしてはいけない、とは限らない話
万人に共通する健康法は在りません。
それは体質や体調が千差万別だからです。
東洋医学的な視点から、体質と体調と健康法と治療法について、数学的に簡略化して考えましょう。
座標空間のゼロ点を「健康」と定義すると、
①「体質」とはゼロ点から何処かへ遠ざかろうとするベクトルV(x, y, z)のことです。
②「体調」とは現在地点の座標(a, b, c)です。
③「体調」と「体質」の差は「病邪」のベクトルV' と考えます。病邪は複数あることも多く、V'1、V'2、V'3…のように仮定します。
④「治療法」は現在地点からゼロ点に向かうベクトルA(-a, -b, -c)です。これは1/2Aや1/3Aでも構いません。力の量より方向が重要です。
⑤「健康法」は体質によって異なり、体質によって健康からズレるのを打ち消すベクトル -V(-x, -y, -z)を考えます。
例えば、
x軸を表裏(戦いの場所)
y軸を虚実(戦力・抗病反応の強弱)
z軸を寒熱(冷え、浮腫、代謝、炎症など)
…とすると、いい感じにグラフが書けます。
この概略の理解が進むと、自分に合った健康法を見つけやすくなったり、漢方治療の精度が劇的に向上したりします。これは私が漢方医学を学び始めて20年以上を経た、現時点でのひとつの成果です。
例えば胃(裏)に熱がこもりやすい体質の人は、たとえ体力が少なくとも(虚)、温め続けると逆に不調になるでしょう。
この場合には、裏から表に向かい、熱を冷まし、同時にエネルギーを供給する治療が必要です。こういう病態には「六君子湯」や「安中散」よりも、「黄蓮湯」や「半夏瀉心湯」を考えます。
さて、実践的なグラフを公開いたしましょう。
主に風邪や胃腸炎などの急性期診療に特化したグラフで、先ほどの座標空間を図示し、体調不良に対する15種類の頻用処方を書き込んだものです。
ご自身やご家族の体調不良の際に薬局で漢方薬を購入するとき、お役に立てるかと思います。
実臨床に耐えうるものですから、医師や薬剤師の先生方にも参考にしていただければ幸いです。
数ヶ月前に耳鼻咽喉科医2名と小児科医1名にグラフを共有して試してもらったところ、分かりやすく治療効果も実感したと、とても好評でした。
ご興味のある方は、是非この先にお進みくださいませ。
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