「単純接触効果」は単純ではない話 【実践心理学】
某検索ツールに「単純せ」まで入力するとトップに出てくるくらいザイアンスの提唱した「単純接触効果」は有名です。端的には「繰り返し接すると好感度が上がる」と表現されますが、これが単純な問題ではないという問題です。
恋愛相談やらエセ心理学やらでしばしば遭遇する言葉ですが、よくわからずに利用しようとすると失敗する恐れのある仕組みです。一方、セールスやCMなど世の中には単純接触効果を利用した有象無象が蠢いているのも事実です。
例えば単純接触効果はほとんど意識しないレベルの短時間の接触でも生じることが知られていて、その累積効果や長期持続性の可能性も検討されています。冒頭の緒言にザイアンス以降の歴史も簡潔にまとまっていたため、参考文献として記載しておきます。
さて、私は理論より実践が好きです。
私見で注意点を列記させていただきます。
<受け手の注意点>
■やばいと感じたら初めに「嫌い」と強く念じてみる:単純接触効果は対象に嫌悪感を抱いている場合には十分な効果を発揮しません。初めが肝心です。
■そういうものだと諦める:好意を抱き始めてしまったら手遅れです。実験的にある程度の信憑性のあるものですから、単純接触効果を利用された場合には好感度が上がってしまうという事実は受け入れましょう。
■諦めてから疑う:上がった好意に疑問を持つことで訂正のチャンスが訪れます。
<使う場合の注意点>
■単なる接触でいい:この心理効果の最も重要な点です。
■第一印象が悪かったら諦める:接触する度にマイナスです。諦めましょう。
■効果は日毎に累積する:短期間に複数接触するよりも、すこし間隔を空けたほうが効果的な可能性も示唆されています。
■せいぜい十回まで:青天井ではありません。頭打ちです。それどころかしつこいと「飽き」やマイナスの影響も出てくる可能性があります。諸説ありますが、概ね十回程度が「単純接触効果として期待できる回数」の上限のようです。
■対象の色々な側面を見せる:先の論文で効果的な可能性も示唆されています。
■期待しない:世の中そんなに甘くありません。
長くなってきたため、このあたりで切り上げたいと思います。
向き不向きもありましょうから、自分で確かめるのが一番です。うまくいくかもしれないし、いかないかもしれない。楽しみですね。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、なんやかんやで好きの溢れる素敵な世界になりますように。