過ぎれば、毒。【ライチ編】
お子様ランチのデザートにライチがひとつ付いてきました。その昔、楊貴妃が好んだと噂の果実、ライチ。硬い果皮を手で剥くと、白く艶のある瑞々しい果肉が顔を見せます。爽やかな風味は根強いファンを魅了して、ひとつ食べるとまたひとつ食べたくなる不思議な果物です。
見た目のキモいライチを前に、子ども達は怪訝な顔をしています。無理して食べることもなかろうと、私はライチをふたつ食べました。
ライチの過食は有害で、死亡例もあります。
私はそんなことを思い出しました。
2017年の論文に分かりやすいものがあります。この研究はインドのある地域で毎年100名以上の子どもが特殊な急性脳炎で死亡していることに注目し、その原因を探索する目的で設計された症例対照研究です。
詳細は本文に譲りますが、長いので超訳します。
https://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(17)30035-9/fulltext
これらの毒素は体内で糖新生を阻害し、急激な低血糖を引き起こします。急性低血糖脳炎と呼ばれる病態を回避するためには、体外から素早く適切な量の糖分を摂取する必要があるものの、その地域では充分な食糧が手に入らず医療システムも脆弱であったために、悲劇が繰り返されているようです。
ライチを詠む漢詩に次のような一節があります。
300個は食べ過ぎです。低血糖やばば。
しかしながら「適正量がどれくらいか」という判断は悩ましいところで、明確な指標はありません。ライチの原産国である中国では概ね300g以内を1日の果物摂取量としていることを根拠に、10〜15個以内とする説明もあります。日本では厚労省の推奨によると果物200gとありますから、10個以内と考えるのが妥当でしょう。
食べ過ぎても低血糖症状に気付くことが出来れば、糖分摂取で事なきを得るかもしれませんが、敢えて危ない橋を渡ることはありません。たとえ南国でサバイバルを強いられ飢餓状態でライチを見つけても食べ過ぎなければ大丈夫。未熟な果実ほど毒性が強いそうですから、どうしても食べる場合には熟したものを選びましょう。
また、糖尿病を罹患している方は特に注意すべきフルーツであろうと私は考えます。病気と治療のバランスが崩れて予期しない血糖の乱高下を起こしかねないからです。
なんやかんやと書きましたが、要点はひとつ。
過ぎれば、毒。
ということです。
万能の健康食品など存在しません。何事もほどほどが素敵です。陰陽五行のバランスをとりながら、気楽に構えて参りましょう。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、子どもたちに加護を。
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