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勘違いの効用/思う念力岩をも通す
中学生の頃、美術の時間に「粘土で手の形を作る」という課題がありました。粘土で手を作るのは小学生の頃にやったことがあるから簡単だ、うまくいくに違いないと思って、黙々と作りました。
テラコッタ粘土を使って形を作っていきます。
どうせなら誰も作らないような形にしようと、私は『蜘蛛の糸』をモチーフに地獄から糸を目指して伸ばす人の「手」を作りました。
自分の左手を参考にしながら一心不乱に取り組むと、苦悶の表情を呈したひどくリアルな「手」が完成しました。タイトルは勿論『蜘蛛の糸』です。
美術の先生は仕上がった作品を見て「むむぅ…」と唸り、しばらく美術室に飾ることになりました。大丈夫ですか、地獄ですよ。
さて、祖父母の家に置いてあった小学生の頃の「手」の作品を見て、私は驚きます。なんというか、手というよりも煎餅からソーセージが5本生えていて、それが丸いパンに巻き付いているような作品だったからです。
煎餅ソーセージパンも作品として味わい深く感じましたが、問題の核心は「(こんなクオリティでも)過去にやったことがあるから自分には出来ると思い込んだら、素敵な作品が作れた」という事実です。
思う念力、岩をも通す。
この諺は、ある将軍が岩をトラと間違えて矢を放ったところ、刺さるはずのない矢が岩に突き刺さったという『史記』外伝の逸話を元にしているそうです。ですから超能力の類ではなくて、思い込みの力を説いているのだと解釈します。
実際に現代の弓道でも、シャッターを貫通するくらいは容易です(良い子はマネしてはいけません)。狩猟用の弓であれば、技術次第では岩を貫くこともできるかもしれない。しかしそれは「できる」と思わなければ普通できません。
自分の能力を見極めることは重要ですが、自分の枠を規定しすぎると、せっかくの可能性を閉ざしてしまうかもしれません。ポイントは言い聞かせるのではなくて、自然に思い込むことです。よほど自己暗示のうまい人でなければ、岩をトラとは誤認できないでしょうから。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の念力が困難を突き破り、進むべき道を切り拓きますように。
松岡修造さんの応援ソングをリンクさせていただきます。
曲名が長いので勝手に『Lemon』と略します。
暑苦しい歌ですが、落ち込んでいるときに聴くと何故か泣けてくる名曲です。
#夢ならばどれほどよかったでしょう
#とは #違う歌です
#松岡修造 #松岡修造 #松岡修造
#踊りましょう #眠れない夜に
#エッセイ #勘違いの効用 #本文に記載しそびれましたが
#危険の伴うことは別です
#事故には細心の注意を払いましょう
#安全管理には注意し過ぎるくらいが丁度よい
#安全の担保された状況で何かに挑戦するとき #積極的に勘違いしながら自分の能力以上を発揮したいと思います
#梶井基次郎 #檸檬 #も名作ですね
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