宣誓から考える嘘の仕組み【実践心理学】
世の中には数多の嘘が溢れています。
善意の嘘もあれば、悪意の嘘もあるでしょう。無知の嘘や、誤解の嘘も紛れているかもしれません。真贋を見極めることは、ときに大きな困難を伴います。
嘘を見抜くためには、「そもそも嘘とはどういうものか」という着眼点が必要です。疾患を知らずに診断を下すことが出来ないように、嘘を知らずに嘘を見抜くことは出来ません。
嘘とは、どういうものでしょうか。
例えば「私はブッダの生まれ変わりです」は嘘です。真っ赤な嘘です。ブッダは悟りを開いて輪廻転生から解脱したはずですから、再び人に生まれ変わることはありません。よってブッダの生まれ変わりを名乗る人は例外なく嘘をついているということになります。これで幾らかカルト宗教が減りましたね。
しかしながら、嘘はこのように分かりやすくストレートなものばかりではありません。アメリカの法廷等で用いられる表現に注目してみましょう。
真実を述べると誓う「宣誓」に頻用される文章があります。
直訳すると、こうなります。
言葉遊びのようにも見えますが、この一文には嘘を赦さない為の極めて巧妙な仕組みが備えられています。
嘘の構造の根底は、次の3通りがあると考えます。
①真っ赤な嘘
②言わない嘘
③誤解させる嘘
そして先の宣誓文は、これらの嘘を全て赦さないことを明言しているのです。順番に考えてみましょう。
例えば、私の元上司がダブル不倫旅行に興じたことがありました。なんやかんやあってお互いの伴侶にバレて修羅場が訪れ、相手側は離婚、元上司は慰謝料&辞職に至りました。このときの嘘を振り返ります。
①the truth:真っ赤な嘘
「不倫なんてしてない」という釈明は、真っ赤な嘘です。
②the whole truth:言わない嘘の防止
「学会参加のために出張で京都に行った」と説明し、不倫相手との逢瀬に触れなかったら、それは「必要な情報を敢えて言わない」という嘘です。
③nothing but the truth:誤解させる嘘の防止
「不倫しているのでは」という質問に対する「俺は飲み会には行くけど、妻を愛しているし、結婚生活に不満はない」という回答は、無関係な事実を述べることによる印象操作です。真っ赤な嘘ではありませんが、述べられている情報は質問者の誤解を招くものであることが明白ですから、これも広義の嘘に相当します。
嘘を見抜くにはどうしたら良いでしょうか。
端的には、狙い撃ちの質問をぶつけることです。ここで狙うべきは、②と③の嘘です。なぜならば②と③を述べる当事者は嘘を言葉にしているわけではないので、言葉の真偽を見極めたり発言の矛盾をつくことが困難だからです。それに比して①には限界があります。真っ赤な嘘を塗り重ねていくと、どこかで必ずボロが出てきます。それは情報の矛盾だったり、怪しい態度だったりしますが、その隙が出てきたら指摘するか、録音しておけばいいのです。
嘘を見抜く会話シミュレーションを提示します。
質問を重ねるうちに①の嘘が増えます。この会話では事実と異なる情報が得られたことから、より重大な「嘘」の存在を疑います。
「真っ赤な嘘」を見抜く方法には色々ありますが、非言語情報が有用と思います。例えば視線で見抜くような手法も実践的です。
さて、色々と述べましたが、重要なのは「直感」です。何かおかしいと感じたら、じっと見極め、疑問を投げかけるのが良いでしょう。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、悪意の嘘が暴かれて、因果応報が巡りますように。
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