
好きな漢方薬ベスト3
漢方診療を長く続けていると、それぞれの漢方医毎にクセのようなものが出てきます。処方の好み、と言い換えても良いでしょう。
好みの漢方薬ばかり処方するわけではありませんが、これに合致する人がいると内心テンション上がります。
本邦ではエキス製剤で百数十種類の漢方薬があります。これに古典的あるいは代表的な処方を加え、私の脳内には凡そ200の漢方薬が擬人化されております。
お分かりいただけるでしょうか。
ここから漢方医学オタクな漢方医・呼吸器内科医による趣味全開トーク(オタク特有の早口)が始まるということです。#今こんな気分 なので読者の皆様を置き去りにしかねない勢いですが、ご了承いただける方のみ、先にお進みくださいませ。
第三位 柴胡加竜骨牡蛎湯
数ある柴胡剤の中から、柴胡加竜骨牡蛎湯がランクインしました。小柴胡湯を基本とする少陽病位の代表的治療薬たる柴胡剤。柴胡と黄芩を基本骨格に四季折々の発展をみます。
柴胡加竜骨牡蛎湯は小柴胡湯に竜骨(化石)と牡蠣(カキの殻)を加えたもので、オシャレなアクセサリーに身を包んだ物腰の柔らかい紳士です。右眼に片眼鏡、イメージカラーは深緑。パンクロックなキレやすい若者の話に耳を傾け、穏やかに気持ちを受け止めて安らぎを与えます。怒り心頭に達する如く肝が暴走して三陽に及ぶ複雑な病態を呈するとき、彼が颯爽と現れるのです。
なお、右眼の片眼鏡は本処方の適応者に右側の胸脇苦満が顕著であることを匂わせます。
第二位 帰脾湯
補気剤のカテゴリーから帰脾湯が躍り出ます。
彼女はヒーラーです。聖女です。イメージカラーは黄金色。身体の疲労が極まり精神に達したとき、彼女の出番が訪れます。
漢方医学における脾とは、胃十二指腸や膵臓あたりの消化器系を包括する機能概念です。参耆剤の中でも特殊な構成生薬を有する帰脾湯は後世派の処方ではあるものの、補中益気湯を凌ぐ傑作であろうと私には感ぜられます。
彼女は様々な生薬とのコラボが真髄で、加味されることで真価を発揮する処方なのだと思います。有名なエキス製剤で加味帰脾湯というと、柴胡と山梔子を加えたものを指しますが、元来は自在に生薬を組み合わせるオリジナルブレンドだったそうです。
私も帰脾湯を自分好みにカスタマイズしたい。
第一位 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
疝の代表的治療薬です。
疝とは寒が積もり行き着く先の病で、粘膜の浮腫を特徴とする血流障害と寒冷の病です。
最も基本的な漢方薬たる桂枝湯の発展系とみることもできますし、四逆散と対をなす四逆湯を基本骨格にみることもできます。手足が冷えて身体の何処かが痛むとき、それが疝ならば彼女の出番です。
四逆とは、四肢の寒冷を治す意です。四逆散が熱証に適するのに比して、四逆湯は寒証に適します。症状が酷似しても反対の治療を見極めねば、危険な副作用が起こり得るのです。
なんといっても呉茱萸でしょう。もうね、呉茱萸が主役な感じです。熱量の有り余る元気な子、呉茱萸ちゃんが宇宙戦艦・四逆湯に搭乗して当帰や生姜の大砲を乱れ撃ちです。イメージカラーは赤。
ただただ気持ち悪い文章になったような気もしますが、どこかに需要があるでしょうか。ないかもしれないし、あるかもしれません。考えるのも面倒くさいので、このまま投稿してしまいましょう。
コメント欄に好きな漢方薬の名前を書いていただけましたら、私の擬人化キャラを返答いたします。
拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、漢方医学は楽しいものだって、皆様に伝わりますように。
#私の推しキャラ #柴胡加竜骨牡蛎湯 #帰脾湯 #当帰四逆加呉茱萸生姜湯
#今こんな気分 #エッセイ #漢方医 #漢方医学
#漢方薬の擬人化 #絵心ないのでイラストなし
#誰かイラスト付けてくれたら嬉しいなぁ
いいなと思ったら応援しよう!
